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子どもが売られない世界をつくる! 学生の力が活きる、かものはしプロジェクトの活動とは

認定特定非営利活動法人かものはしプロジェクト かものはしプロジェクト

幼い子どもたちがだまされて売られ、心身に一生消えない傷を負う――この「最悪の形態の児童労働」から子どもたちを守り、“子どもが売られる問題”に真正面に取り組んでいるのが、認定特定非営利活動法人かものはしプロジェクトです。共同代表の村田早耶香さんに、団体を立ち上げた経緯とその想い、今後についてお話いただきました。衝撃的な内容が含まれますが、どうぞご覧ください。

認定特定非営利活動法人 かものはしプロジェクト
共同代表:村田 早耶香(むらた さやか)さん

1981年生まれ、東京都出身。フェリス女学院大学国際交流学部卒。大学2年の時、国際問題の授業で、東南アジアの売られた少女の話を聞いて衝撃を受け、子どもが売られる問題に取り組むことを決意。2002年、20歳の時に青木健太[あおき けんた]氏・本木恵介[もとき けいすけ]氏とともに、かものはしプロジェクト(本部最寄り:広尾駅)を設立。2004年9月22日に NPO法人格取得、2014年4月1日より認定NPO法人に指定される。現在は主にカンボジア・インドなどアジアを中心に、職業支援など、根本的解決に向け活動を続けている。

“子どもが売られる”問題――その実態とは?

かものはしプロジェクト共同代表 村田早耶香さん


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―かものはしプロジェクトの活動についてお聞かせください。

  子どもが売られる問題をなくすことに取り組んでいます。
  カンボジアやインドといった国の貧困地域かつ法執行力の弱いところでは、子どもたちがだまされ、売春宿などに売られて売春を強要され、精神的にも肉体的にも傷つけられています。

  この問題は、子どもが働かされる問題のなかでも最も子どもの心と身体を傷つけるので、「最悪の形態の児童労働」と国連で定義されています。被害に遭ってしまうと虐待を受け、それがもとで亡くなったり、病気の予防ができずエイズを発症して亡くなってしまうこともあります。

  また、「悪い商売に加担した」といわれて差別を受けやすく、家族のもとにも帰れず結婚もできず、自ら命を絶つ子もいます。そういった被害者をなくし、また子どもを買う人を減らすため、2002年に団体をつくりました。

―実際にそういった被害は、世界にどのくらいあるのでしょう?

  18歳未満を子どもと定義をしていますが、その子どもだけで約180万人の被害者がいると言われています。神戸市福岡市の人口がそれぞれ約154万人(2015年現在)なので、それよりも多い数ということになります。

―かものはしプロジェクトがこれまでに取り組んできた具体的な内容を教えてください。

  当時、この問題について最も深刻だった国がカンボジアでしたので、そこを活動拠点としていました。カンボジアでは「子どもを売らせないようにする活動」「買わせないようにする活動」の2つを行っています。

  「子どもを売らせないようにする活動」というのは、具体的には職業訓練と仕事をつくる支援です。
  農村の、特に片親または両親がいない家庭の子どもが被害に遭いやすいので、そういった家庭のお母さんかお姉さんに仕事を提供して日々の暮らしを改善してもらい、子どもが出稼ぎに行きにくい状況をつくっています。

コミュニティファクトリーで働く女の子 団体名は村田さんが好きだった動物の「かものはし」の語感が“カンボジアと日本の架け橋”に近かったこと、また“早く問題解決して短期間で使命を達成できるように”という想いをこめ、比較的短期間で終了するイメージの「プロジェクト」という言葉が組み合わされてつけられた。

  かものはしではコミュニティファクトリーという工房を運営していて、これまで200世帯の最貧困層の女性が働きに来てくれました。そこではカンボジアで生産されている「い草」を使った雑貨をつくっていまして、世界遺産のアンコールワットがあるシェムリアップという街で観光客向けに販売しています。

  ここで収入を得た家庭の子どもの小学校の就学率は100%になり、働きにきた女性のなかには、実際に企業に就職した方も出てきています。

  「買わせないようにする活動」とは、具体的には警察支援です。
  当時カンボジアには、子どもを買わせない法律はあっても現場の警官が訓練を受けておらず、摘発の仕方がわからないという状況でした。

  そこでまず現場の警官の、犯罪への意識と逮捕能力の向上を目指す実習やトレーニングを、国と一緒に取り組みました。

  その結果、子どもを買う人の摘発数が9年間で9倍にまでなり、子どもを働かせている売春宿も営業をしにくい状況になりました。各所でホットラインも設けられて、怪しいと思った場合にすぐ通報できる仕組みも整いつつあります。
  加害者の取締りができるようになったため、警察支援は2016年3月で終了いたしました。

  こういった取り組みが実を結んできていまして、カンボジアでの被害者数は減少しています。そこで、2010年からインドをはじめとした南アジアで活動も進めています。

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活動範囲は南アジアへ。しかしそこで新たな問題が……

―インドというと現在はIT産業が発達し、経済発展しているというイメージがありますが……。

  都市部では確かにそうですが、農村の最貧困層は存在しています。ただ、子どもが売られる状況に関して、カンボジアと取り組み方に違いがあります。

  子どもが売られてきているのは、主にインドのムンバイ(マハシュトラ州)という大きな都市で、ここに売られてきている人の約半数が東側にある西ベンガル州の農村地帯から連れて来られています。しかし、加害者が逮捕され、有罪になる確率は非常に低い数値です。

  なぜかというと、インドはアメリカのように州としての自治が強く、州ごとに法律が違うためです。警察同士でも連携が取れておらず、州をまたいでしまうと他州にいる加害者を逮捕しづらいという状況なのです。

  たとえ逮捕までいっても、被害者の証言以外に証拠がないため、自分をムンバイまで連れて来たのは誰か、ということに関して被害者が声を上げて裁判で証言をし続けなければ、有罪判決まで結びつきません。

  インドでは性的被害を受けた女性に対しての差別意識が色濃く、被害者は助け出されても社会的に厳しい現実にさらされてしまいます。裁判で戦い続けるための資金がなかったり、証言自体が非常に精神的な負担になるので、証言をすることをためらってそのまま泣き寝入り、加害者は野放しになる……というのが、西ベンガル州の現状なのです。

  かものはしでは、被害にあった子どもや女性に対して、精神的なケアのためのカウンセリングや自立のための経済的な支援裁判にかかる費用の支援をしています。

―なるほど。カウンセラーを育てる支援もされているんですか?

  そうですね。そのほか、被害にあった子どもや女性にカウンセリングを提供している団体への支援はもちろん、そういうケアを受けている人と受けていない人でどの程度回復に差があるのか、という調査を行い、より良いケアを提供できるような支援もしています。

―インドでは被害者支援をされているとのことですが、被害を受けた方が支援側にまわることもあるのでしょうか?

  はい、そのような例もたくさんあります。
  回復した人たちはすごく自信にあふれ、なかには「自分の経験は、神様からもらったギフトである」と、言っていた人もいました。正直「人はここまで力強くなれるんだな」と思ったほどです。つらい経験を乗り越え、輝いていました。


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自分のすべてを変えた“出会い”。――その女の子の命は、1万円

かものはしプロジェクトで職業訓練を受ける女の子 職業訓練を受ける女の子。(画像の人物は被害者ではありません)

―聞けば聞くほど悲惨で、途方もなく根深い問題だと感じますが、村田さんはそもそもなぜ、この問題に取り組まれようと思ったのですか?

  大学で国際交流学部に通っていまして、とある授業で新聞記事が配られたんです。ミャンマーからタイに売られた女の子の話でした。

  その子のお父さんは体が悪く、お母さんは病気で亡くなっていて、長女である彼女しか働き手がいませんでした。そこで12歳で出稼ぎに出たところ、だまされて売春宿に売られてしまったのです。

  逃げ出せないままひどい虐待を受け、結局HIVに感染した彼女はエイズを発症し、20歳で亡くなりました。亡くなる直前、彼女は「学校に行きたかった」と言っていたそうです。

  当時、私は大学2年生でした。自分と同じ歳ほどの女の子が、3000バーツ……約1万円ほどで売られ、虐待され、勉強がしたいと思いながら亡くなった。いっぽうで、自分は日本で何百万という教育費をかけて中高、私立の大学に入り、単位は軽く取れればいい、なんてことばかり考えている。学費の1/100でもあれば、何人もの命が助かったはずなのに。

  同じ時代に生きているのに、生まれた場所が違うだけで人生がこんなにも違う――そのことに、ものすごい衝撃を受けたのです。

  調べて見たら、この問題が世界でも最悪の形態の児童労働であると知り、どうしても現場を見たいと思ってカンボジアに行ってみました。そこで、たったの6歳で1万円で売られてしまった女の子と被害者保護施設で出会いました。

  売春宿での経験から、保護された時は人と会話がほとんどできない状態でしたが、その後カウンセラーの方の努力で少しずつ回復していました。彼女はそのように厳しい状況にいた経験があるにも関わらず、外国人である私に、とても優しくしてくれたのです。

  本当にいたたまれなくなり「守れる子がいるなら、絶対に守りたい」と強く思いました。それで、この問題に取り組むことにしたのです。

―かものはしプロジェクトを立ち上げるにあたり、まずは何をされましたか?

  本を読んだり、関連のある講演会に参加したりしていました。
  2001年12月には、横浜で外務省主催の「児童の商業的性的搾取に反対する世界会議」に日本の若者の代表として参加し、各国代表にアピールをする時間をもらえました。

  「自分たちがアピールをすれば、何か変わるかもしれない」。そう期待して一生懸命準備をして、各国の代表者にお願いをしたのですが……結局、進展することはありませんでした。

  1番上の人たちに訴えられる場でダメだった。それならもう、現場でできることをやろうと考え、2002年に学生団体「かものはしプロジェクト」を立ち上げました。共同代表の青木と本木に出会ったのもこの時です。

―実際に立ち上げてみて、周囲の反応はいかがでしたか?

  親や親戚からはものすごく反対されました。公務員や企業で働いたほうがいい、意義があるとは思うけど危険だと。……ちょうど日本人人質事件などが報道されていた時期でもありましたから、無理からぬことではありましたが。

―でも、反対を押し切って活動を始めて……。

  そうですね。勘当だと言われました。反対され、親不孝をしてまで本当にこの活動をする必要があるのだろうか?と、正直、とても悩んだんです。

  そこで1か月くらい活動を抜けたんですけれど、考えていても答えが出ませんので、お金をはたいてカンボジアへ1か月、暮らしてみることにしたのです。

  そこで暮らしているうちに、自分が本当に解決したいと思えて、1人でも2人でもこの問題に苦しむ人が守れるのなら、いろいろなリスクはあってもやる価値があると思いました。それで家族をなんとか説得していったんですね。


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団体分裂の危機――自分が大きく成長できた時期だった

「子どもが売られる問題」に取り組む村田早耶香さん

―想像しえないご苦労があったかと思いますが、団体を立ち上げてから当たった最も大きな壁といったら何ですか?

  大学を卒業した2004年、カンボジアでの事業として、都市部の孤児院にいる子どもたちへ職業支援としてパソコン教室を開きました。120人の修了生を出し、就職が決まった子も出るなど事業は徐々に成果を上げていました。

  しかし、都市部の貧困層をサポートするなかで農村部からやってくる子も増え、事業内容も変えていかなければならなくなりました。売られてくる子のほとんどは貧しい農村部出身であるなど実態も明らかになっていき、事業モデルと本来のミッションである「子どもが売られない社会をつくる」という部分が合わなくなっていたのです。
  日本とカンボジア、それぞれのチームで意見がぶつかり、対立し、団体内で大きくもめました。

  私自身もものすごく迷っていました。カンボジアと日本を行き来して双方の事情も分かっていましたが調整役というのがとても苦手で……互いに理解が進まず、私自身もひと月3万5000円というギリギリの生活をするなかで、どんどん精神的に追い詰められました。

  そんななか、カンボジアでは、治安がいいと言われた場所に設立していた事務所が泥棒に入られ、ノートパソコンがすべて盗まれるという事態がありました。ほかにも現地でNGOの登録をしようとすると何回も書類の書き直しを命じられてしまったり……。

  助けに来ても攻撃されるし、助けに来た人をこういう扱いをするのか、と怒りを感じている時に、さらに衝撃的なことがありました。

  ある日本食レストランで、日本人の男性が「15歳を5000円で買ったんだ。ここではお金を出せば子どもが買える。一緒に買いにいこう」とか話しているのを聞いてしまったんです。しかも、それを通報しても、警察は動いてくれませんでした。

  ……もういろいろなことが重なって、もうだめだ、自分のせいで団体がおかしくなってしまったんだと、自分を責め続け、寝られなくなってしまいました。代表を下りたい、とも考えました。

―そのような状況から、どのように克服したのでしょう?

  帰国してから、母親に言われました。「そこまで苦しいなら、もうやめていいよ」と。その時、初めて「やめていい」という選択肢があることに気づいたんです。それで少し落ち着くことができました。

  あとどこかしら、私には「助けに行ってあげよう」という気持ちがあったんです。こんなにリスクを覚悟で挑んでいるのだから、人に感謝されたいと。だからうまくいかないと、我慢ができなくて心が折れるんですね。

  「自分がやりたくて来ている」と思えた時、いろんなことが許容できるようになっていきました。ひとつの人生のターニングポイントだったなと思っています。

  こうして持ち直して、日本とカンボジアそれぞれのスタッフに渡航費用を出し、互いの現場の意識をすり合わせたところ、意思決定がすごくやりやすくなりました。それでパソコン教室は2007年12月で閉じて、新しく職業訓練所を農村につくろう、と決めました。

  この時は正直、団体としても個人としてもだいぶつらい時期でしたが、自分ひとりでは限界があり、いろんな人たちと協力してもらうことで、やれることが広がると知りました。

  厳しい状況になると、自分の嫌な部分と向き合う時が訪れます。そんな時は、人間的に成長ができるチャンスだと受け止めるようにしています。


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運営・運用面でも学生が大活躍!かものはしプロジェクトでできること

かものはしプロジェクトで働く

―この仕事をするうえで、信念としていることはありますか?

  皆様から預かったお金をいただいて活動していますので、「信頼できる団体であること」が第一です。ですから、“誠実であること”がまず大事だと思っています。

―これから求める仲間の人材像を教えてください。

  重なりますが、誠実であること。この問題に対して少なからず共感でき、モチベーションを持って取り組めること。そしてそれぞれ立場が違っても、いろんな人と協力し合える人が大前提ですね。

―こちらではインターンの学生もたくさん働いていますね。インターン生はどんな活動をしていますか?

  日本の事務所では、主に広報とファンドレイジングといわれる活動資金集めをしています。WEBサイトの運用、ブログやフェイスブックを使ったイベントの告知、集客をしています。

  カンボジアでは、先ほどご紹介した「い草」の雑貨の商品開発や販売に携わったり、働いている人のケアやサポートをしたりしています。

  取り組むテーマはヘビーですが、月に1回、スタッフと面談の機会や、インターン生同士でフィードバックし合う環境もありますし、多くの出会いからより多面的に自分を見据え、向き合い、人生を振り返る機会も多く得られると思います。

  頭の回転が早くリーダーシップを発揮する人、つまずきながらも一生懸命で周りを巻き込む力のある人など、それぞれ個性を発揮して活躍しています。私も学生さんから学ばせてもらうことがたくさんあります。

―学生の力で実現したことはありますか?

  たとえばパソコン教室の時など、最初のカリキュラムは学生さんが調べて、土台をつくってくれました。

  また、支援して下さる方を増やすために講演やイベントを行っていますが、そのセッティングや運営は、全部インターン生ががんばって実施しています。そのおかげで、現在3900人の方が月々の寄付をする会員として応援してくださっています。

―それでは最後に、読者へメッセージをお願いします。

  「社会に対して何かをしたいけど、何をすればいいかわからない」という質問をよくいただきます。まずは、自分の関心があることから調べてみたり、講演会に参加したりしてみるといいのではないでしょうか。そこからどんどん、人ともつながり、やれることが広がっていきます。

  もし“子どもが売られる問題”や、かものはしの活動について興味をお持ちになりましたら、是非、説明会へお越しください。支援の方法も、学生向けですと「ゆるかも」という学生団体がありまして、気軽に参加していただけます。

  もちろんお金や本の寄付のほか、楽しいチャリティーイベントに参加したり、「い草」の手づくり雑貨をWEBサイトで販売していますので、買って支援することが可能です。

  また、月々の継続した寄付で応援していただくこともできます。
  たとえば1日約30円の寄付で2人の警察官を教育することができます。1日約100円の寄付ですと、1人の女性が職業訓練を受けることができます。皆さまの応援、どうぞよろしくお願いいたします。

かものはしプロジェクト村田早耶香さん
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『gooddo』はgooddo株式会社が運営する、社会貢献団体支援プラットフォームです。
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<認定特定非営利活動法人 かものはしプロジェクト>
本部
〒150-0012 東京都渋谷区広尾5-23-5 長谷部第一ビル402号
東京メトロ 広尾駅より徒歩約7分
JR恵比寿駅より徒歩約10分

[取材・執筆・構成・撮影(インタビュー写真)]真田明日美

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