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「電通→トレンダーズ→フリー」はあちゅう氏のキャリア論を聞いてみた
 

作家・ブロガー はあちゅう(伊藤春香)
はあちゅう(伊藤春香)(いとう  はるか)
作家・ブロガー

1986年生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒。在学中にブログを使って、「クリスマスまでに彼氏をつくる」「世界一周をタダでする」などのプロジェクトを行い、女子大生カリスマブロガーと呼ばれる傍ら、レストラン、手帳、イベントをプロデュースするなど、「はあちゅう」名で幅広く活動。2009 年電通入社後、中部支社勤務を経て、クリエーティブ局コピーライターに。2011年12月に転職し、トレンダーズで美容サービス、動画サービスに関わる。2014年9月からフリーで活動中。おもな著書に『自分の強みをつくる』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『恋愛炎上主義。』(ポプラ社)などがある。最新刊『半径5メートル野望』(講談社)が好評発売中。

引っ込み思案だった自分を打開すると決めた大学生活

―はあちゅうさんは、大学時代をどんなふうに過ごされていましたか?

  私は高校時代まですごく引っ込み思案で、あまり人と関わることができなかったんです。でも、大学に入ったら、今までの人生で我慢していたことを全部やってみようと思って、積極的に活動の幅を広げましたね。いろんな講義を取ってみたり、アルバイトを始めてみたり。サークルもいろいろなものに入りました。

  メインでは、準体育会のチアリーディングと女子大生の就職活動を応援するインカレのサークルに入っていて。とくに、インカレのサークルに入ったことは、私にとって大きな転機だった気がします。

―具体的には、どんな点が転機になったのでしょうか?

  そのサークルは1年生と3年生しかいなかったので、3年生が就活で引退するタイミングで1年生から代表を決めなければならなかったんですね。それで、私が代表になっちゃって。あるとき、HPでイベントの告知をするように頼まれたんですけど、私は当時、ネットのことに全然くわしくなくて更新作業ができなくて……。簡単に更新できる方法はないかと調べていたとき、ブログの存在を知ったんです。それをきっかけにブログを始めて、もう10年以上続いています。

  インカレサークルにはネットにくわしい先輩がたくさんいたんです。そこに入っていなかったら、あの時期にITの世界やブログのことも知ることができなかった。そういった意味でも、インカレサークルに入ってみたというのは、いい選択をしたなって思いますね。

学びの連続だった、アルバイト・世界一周・就職活動

はあちゅうさん語る

―アルバイトもしていたとのことですが、どのようなアルバイトを?

  人生初のアルバイトは、高校2年生だったかな?ファーストフード店でアルバイトを始めて、大学1年生くらいまで続けていました。大学生になってからは、それ以外にも個人指導の塾講師をしたり、派遣でウェディング会場のサービススタッフをしたりしましたね。あと、これはアルバイトとはちょっと違うかもしれませんが、朝日新聞の学生記者として、記事を書いていたこともあります。

―アルバイト経験を通して得たことがあれば、教えてください。

  ファーストフード店でのアルバイトは、自分がどう見られているかとか、働くってこういうことなんだとか、それまで考えたことがなかったことに対して考えるきっかけをくれました。接客をしていると、なかには態度が横柄な人もいて、相手から見下されていると感じることもあったんです。それを経験して、私は人が不快に感じるような態度は取らないようにしようって思いました。それから、ファーストフード店には、お年寄りの方も結構いらっしゃるんですよ。おばあちゃんたちが集まって、井戸端会議をしている様子を見て、飲食業には人の居場所をつくる役目もあるんだなという意外な発見があったり。ウェディング会場のバイトでは外国人の方と一緒に働くこともあったので、普段、大学では会わないような人たちや世界との接点を、そこで持てたような気がします。

―大学の卒業旅行では、スポンサーを募って、世界一周を経験されましたよね。世界を旅してみて、どんなことを感じましたか?

  旅は目的地到達よりも、プロセスに意味があるんだなと感じました。ずっと見てみたいと思っていたピラミッドやマチュピチュの遺跡を実際に見ても、感動というよりは「(テレビや雑誌で)見たことある!」って思っちゃって(笑)。大きな感動っていうのは自分の心の中にはなかなか生まれないんだなって思いました。それよりも心に残ったのは、旅行中友だちとの会話だったり、たどり着くまでに苦労した出来事だったり。そういった小さことが、自分の人生の中では重要なんだなと感じたことで、プロセスが大事って思えたんですよね。人生に通ずる学びだったと思います。今でも日々、思い出すんです。

  やっぱり、人間って結果を求めちゃうんですよね。たとえば、本を書くことも、早く出したいという気持ちがあると、書き続けている間は、苦痛だし、しんどいなって思っちゃうんです。でも、そうじゃなくて、プロセスにこそ意味がある。じつは、この本(『半径5メートル野望』/講談社)も一度、全部書き直しをしているんです。だけど、その考えのおかげで、ボツにした原稿にも意味があったと思えるんですね。書きながら新たに気づいたことや、書くために過去に立ち返ったことこそ、私の人生にとって意味のあることだろうなって思えるので。

  あとは、世界のどこにいても、私は変わらないんだなって思いました。ウユニ塩湖を見たら世界が変わるとか、ガンジス川に飛び込んだら人生観が変わるとかって、よく言われますけど、そんなことはまったくなくて。日本にいたって、今、人生を変えようと思ったら、その方法は自分でいくらでも見つけられるんだなって思ったんです。

―就職活動もご経験されていると思いますが、どんなことを意識して取り組んでいましたか?

  就職活動を始めたときは、自分が何をしたいかもよくわからなくて……。ただ、作家になりたいという最終目的はあったんですね。そんな中、ある方にOB訪問をしたんです。その方は「俺は日本でトップクラスのお給料をもらっているけど、それは我慢料だと思っている」とおっしゃったんです。それを聞いたときに、自分の生きている時間とお金を引き換えにするというのは、もったいないなと感じてしまって……。私は、楽しくお金をもらえる仕事をしようと思ったんです。最終的には、広告代理店とCA(キャビンアテンダント)とで悩んだんですけど、広告代理店の電通を選びました。

理想とのギャップにもがいたコピーライター時代

はあちゅう(伊藤春香)さんとコピーライター時代

―電通を選んだ決め手はどんなところにあったのでしょうか?

  ご縁を感じたというのが一番しっくりくるかもしれないですね。私は、エンターテインメントなコンテンツに興味があったんです。その分野で考えると、作家を目指すには、出版社という選択肢があってもよかったのかもしれません。でも、もし、出版社で自分より才能のある作家の担当をすることになったら、嫉妬してストレスを感じちゃうんじゃないかって(笑)。それで出版社は選択肢からは消えました。テレビもあまり見ないので、テレビ局などの映像系もちょっと違うなと。そんな中で、広告は好きな分野でしたし、大好きな作家の林真理子さんがコピーライターをされていたこともあって、コピーライターに憧れていたというのも大きかったですね。

―コピーライターは、言葉を生み続けなければならない仕事だと思います。それに対して大変さを感じたエピソードは何かありますか?

  大変なことはいろいろありましたが……たとえば、化粧品のクライアントさんのコピーの仕事を依頼されたとき、薬事法の関係で「シワが消える」という表現が使えないので、言い換えの表現を100パターン考えたことがあって。これはかなりしんどかったですね(笑)。コピーライターって華やかな印象があるかもしれませんが、結構泥臭いお仕事が多くて。それに、自分が言いたいことではなくて、クライアントさんが言いたいことを言葉にするお仕事なんです。私は、自分を表現したい欲求が強いから、ちょっと言葉の使い方が違うのかもと思って。言葉を扱うという意味では同じ仕事だけど、作家とコピーライターは全然違うんだなっていうことを、強く感じました。

  あとは、自分の意見がいかにおもしろくないかということを、1日に何回も思い知らされたのもつらかったですね。先輩の書いたものは、やっぱりおもしろいし、筋が通っているんです。会議をしていても、みんな私のことをつまんないって思っているんだろうなって……実際は違うかもしれないんですけど、妄想癖が激しいので、そんな被害妄想が広がっちゃって。他人の目を気にするあまり、ブログの更新ができなくなっちゃったこともありました。

“5年後の理想の自分”のために……転職を決断

常に理想を目指すはあちゅうさん

―その後、トレンダーズに転職をされますね。転職を決めるまでにはどういった経緯が?

  ある日、経沢さん(経沢香保子氏/当時トレンダーズ株式会社代表取締役、現・株式会社カラーズ代表取締役)にランチにお誘いいただいて。それまで一度しかお会いしたことがなかったんですけど、半年ぶりくらいにお会いしたんです。そのときに「はあちゅうは、5年後、何をしていたいの?」って聞かれて。「世界中を巡りながら、本を書いていたいですね」って答えたら、「それは、今の会社にいれば実現することなの?」って。そこで初めて、このままの生活を続けていてもダメなんだな、って思ったんです。もちろん、トレンダーズに行ったからといって夢が必ず叶うわけではないんですけど、今とは違う未来にたどり着けるんじゃないかって思いましたね。

―一見、まったく異なるお仕事のように感じますが、コピーライターとメディア運営には何か共通点はありましたか?

  どちらも、お客様の気持ちを考えるのが大事だというところです。広告のお仕事はクライアントが何を伝えたいか、消費者側に立ったときにどういうコピーがわかりやすいか、ウケるか、ということをすごく考えるんですね。トレンダーズでメディアの編集長をやっていたときも同じで、ユーザーさんはどこを見て、何を考えているんだろうというのを考えながら、毎朝晩、自分でサービスを使って気づいたことをメモして、改善を繰り返すようにしていました。

―逆に、ここは全然違ったということはありますか?

  トレンダーズは、すべてのことにおいて、KPI(目標の達成度合いを示す指標)が明確に設定されているんです。全員が数字に対する責任を持たされるんですね。最初は驚きましたけど、そこで初めて、目標を達成することが本来の仕事なんだってわかりました。電通のときは、感性のお仕事だったので、そういう感覚を持っていなかったんです。クリエイティブの世界と一般的なビジネス社会は見ているものさしが別物なんだと思いました。本当に別世界に飛んだような感じでしたね。

自分の充実した人生を作品として伝えていきたい

―昨年(2014年)からフリーで活躍されていますけど、フリーで活動してみようと思ったきっかけは?

  もともと会社には、個人と会社のお仕事を並行してやることを認めてもらっていたんです。でも、個人の活動が増えてきて、うまく回らなくなってしまったっていうのが一番大きい理由で。今まで受けてみたかった仕事も、会社の仕事の都合で断っていたこともあり、きっと今、フリーにならないと、自分の中に、どんどん後悔が生まれちゃうなって思いました。そのとき担当していたサービスが好きだったので、迷いがなかったわけではなかったんですけど、「今だ!」って感じて。

―社会人になってからは3年くらいの周期で転機が訪れていますよね。次の転機が訪れるとき、どんな自分になっていたいと思いますか?

  今は、たくさん仕事がしたいって思っているんですけど、そういった自分の価値観が変わっていたらおもしろいなって思いますね。結婚や出産を経験することによって、やさしくなる部分があったりとか、頭で考えても割り切れない部分がわかるようになったりとか、相手のわがままを受け止めてあげられるような、自分の心の余白が広がったりとかするかもしれない。そういう心の変化があったら、それは充実した人生だと思うんですね。心が変化しているというのは、すごくいいことだと思っているので。そういうことを、作品を通して誰かに伝えられたら幸せなことだなって思います。

―はあちゅうさんが、働くうえで大切にされているポリシーってありますか?

  一緒に働いてよかったと思われるような、お仕事の仕方をしていくということですね。たとえば、コラムを書くお仕事だったら、私の場合、ただコラムを書くだけでは仕事が終わったと思っていません。公開されて、それをツイッターで宣伝するところまでが、自分の仕事だって思っているんですよ。宣伝力、拡散力といった面を含めて、私を選択してくれているんだな、という意識があります。そういうことを考えて、一個一個のお仕事に対して誠実にできたらいいなって思います。

―働くということ、仕事に対して悩みを持っている人にメッセージをお願いします。

  悩むからこそ、成長があると思っています。何も考えていない人は悩まないんですよ。これから上昇気流に乗る手前というのは、自分自身と戦っている状態だと思うんですね。だから、悩むっていうことをちゃんと受け入れることが大事だと思います。

  あとは、悩んでいるときってやっぱりつらいから、逃げがちな思考になっちゃうと思うんです。そんなとき、逃げる方法も考えていいと思うんですけど、逃げない方法もきちんと考えてみることで、結果的に逃げなかった自分のことを好きになれるかなって思います。転職をするときも、円満に辞められなかったりすると、次の自分の選択に自信が持てなくなっちゃうじゃないですか。だから、つねに自分に自信を持てるような選択をするためにも、よく考えるということが大切かなって思いますね。

[取材] 高橋秀明、渡辺千恵 [執筆] 渡辺千恵 [撮影(インタビュー写真)] 真田明日美

[取材場所]「BOMA Tokyo」〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町33-8 塚田ビル8F

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