バイトしている人必見! 源泉徴収された所得税が返ってくる可能性
バイト代でいくら稼いだら所得税が生じるのか考えたことはありますか? 実は所得税には “引かれる” / “引かれない” といったボーダーラインがあるんです。
意識したことなかった……というそこのあなた! 今すぐ給与明細書を確認しましょう。「控除」欄の「所得税」という項目に金額が記載されていれば、その分がバイト代から差し引かれています。でもなぜ、バイト先が勝手に所得税を引くのでしょう?
そこには「源泉徴収」という制度が関係しています。所得税が生じるボーダーラインについても、この源泉徴収制度と一緒に把握すると理解が深まるでしょう。
この記事では、所得税や源泉徴収の概要だけでなく、払い過ぎている所得税を還付金として返してもらう「年末調整」や「確定申告」についても解説しています。正しい知識を持っていないと損をしてしまうかもしれないので、この機会に理解しておきましょう。
源泉徴収とは所得税を代わりに納付してくれる制度
バイトで稼いだ給料は、一定額稼ぐと源泉徴収されて所得税が差し引かれます。そもそも源泉徴収とは何でしょうか? この章では、なぜ源泉徴収を行う必要があるか解説していきます。
▼源泉徴収をすれば雇用主が所得税を代わりに納税してくれる▼
源泉徴収とは、雇用主が従業員の給与から所得税を差し引いて、代わりに納税する制度のこと。1月1日~12月31日の一年間の給与が対象で、あなたの手元に入るバイト代はすでに源泉徴収額が差し引かれています。
日本では、所得を得た人が自分で申告して税金を納める「申告納税制度」が採用されています。しかし、所得を得ている人全員が各自で申告していては、取りまとめる側に大変な手間と労力がかかってしまいます。そのため、雇用主(会社)が従業員に代わって毎月の給与から所得税を差し引いて納税しているのです。
参考:国税庁 「源泉徴収制度について」
▼12月には年末調整が行われ、納めすぎている場合は返ってくる▼
雇用主が給与から差し引いている源泉徴収額と、実際に支払うべき所得税額を照らし合わせて再計算するのが「年末調整」です。
源泉徴収はいわば “所得税の想定額を事前に仮払いしている” ようなもの。ところが、源泉徴収のタイミングでは考慮されていない所得控除(※)があるため、支払うべき所得税額より多めに源泉徴収されるのが一般的です。
そこで、払いすぎている所得税を返してもらうため12月に年末調整を行い、納めすぎた分を還付してもらいます。
(※)2018年12月現在、日本で設けられている所得控除は以下の通り。
参考:国税庁 タックスアンサー 「所得金額から差し引かれる金額(所得控除)」
源泉徴収の実施はバイトの月収が88,000円以上の方!
この章では、源泉徴収が行われるケースと行われないケースを解説していきます。なお以下で展開する内容はすべて、
・扶養控除等申告書をバイト先に提出している
・バイトを掛け持ちしていない
ケースを想定しています。掛け持ちしている人は、別に設けたこのコラムを読んでみてくださいね。
⇒バイトを掛け持ちする前に!知らないとヤバい注意点&おすすめの仕事
▼バイトでも月収88,000円以上だと源泉徴収が行われる▼
源泉徴収は正社員だけでなく、アルバイトやパートといった非正規雇用者にも適用されます。
バイトの年収が所得控除額の103万円以下であっても、給与が88,000円以上の月は源泉徴収されます。ただし年間の総収入が103万円以下であれば、所得税はかかりません。年末調整や確定申告を行えば、還付金と返ってくる可能性が高いのです。
「書類の記入や確認が面倒」と思う人もいるでしょう。しかし、支払う必要のない税金を返してもらうのですから、面倒がらずにきちんと年末調整や確定申告をしてください。でないと税金を払いすぎていることになります。
参考:国税庁 タックスアンサー 「No.1800 パート収入はいくらまで所得税がかからないか」
▼月収88,000円未満は源泉徴収なし▼
ひと月の給与が88,000円未満であれば、所得税の対象にならないので源泉徴収は行われません。ただし、88,000円以上になった月は源泉徴収されます。
たとえば、普段の月収が88,000円未満の場合、源泉徴収されていません。しかし、繁忙期に勤務時間を増やした結果、月収が88,000円以上になったという場合、その月だけ源泉徴収されて給料から所得税を差し引かれます。
参考:国税庁 「給与所得の源泉徴収税額表(平成30年分)」
海の家やスキー場といった繁忙/閑散期の差が激しいバイトなど、月々の所得にバラつきが生じやすい人は、必要以上に源泉徴収されていることがあります。そのため、バイトしている人ほどしっかりと年末調整や確定申告を行うべきなのです。
源泉徴収された所得税を還付金として返してもらうには
還付金とは、払いすぎている税金がある場合に、納税者へ返還される金銭のこと。源泉徴収された所得税は、どうしたら還付金として返ってくるのでしょうか?
この章では、源泉徴収された所得税を還付金として返してもらうには何をするべきか解説していきます。
▼12月末にバイトしている人は所属先の「年末調整」を経て還付される▼
12月末の時点でバイトしている場合は、雇用主が年末調整を行うケースがあります。アルバイトスタッフは、書類に控除できる項目を記入するだけです。
還付金が返ってくるタイミングは、12月分の給与が確定したあと。早ければ12月分の給料と合わせて支払われます。ただし、企業によってタイミングが異なるため、詳細は店長や現場の責任者へ確認してみるとよいでしょう。
関連記事:しないと負担増! バイトの年末調整にまつわる疑問を徹底解説
▼年の途中でバイトを辞めた人は「確定申告」が必要▼
年の途中でバイトを辞め、12月末の段階でどこにも所属していない人は、自分で確定申告をすることになります。確定申告しなければ、余分に払い過ぎた所得税が返ってきません。必ず行いましょう。
関連記事:バイトでも確定申告が必要なケースを整理、準備すべき書類も徹底解説
▼還付金の有無は源泉徴収票を見ればわかる▼
源泉徴収票を手にしたら、支払金額(年間給与の総額)と、源泉徴収税額(年間で納めた所得税)をチェックしましょう。
支払金額(年間給与の総額)が103万円以下で源泉徴収税額が記載されていれば、その金額分を還付される可能性が高いと考えられます。学生の場合は、勤労学生控除が適用されるとそのボーダーラインが130万円に引き上がります。
参考:国税庁 タックスアンサー 「No.1800 パート収入はいくらまで所得税がかからないか」
参考:国税庁 タックスアンサー 「No.1175 勤労学生控除」
確定申告での必要書類と申請方法を紹介
自分で確定申告する人は事前に知識をつけておきましょう。必要な書類やどこで申告できるかといった基本的な情報を解説していきます。
▼確定申告には確定申告書の証跡となる「源泉徴収票」が必須▼
自分で確定申告をする場合は「源泉徴収票」が必要です。この源泉徴収票には、
①給与の支払い金額
②給与所得控除後の金額
③所得控除の額の合計額
④源泉徴収額
がまとめられており、確定申告では再計算によって概算である「④源泉徴収額」が調整されます。これによって税の追加徴収や還付金が生じるのです。
源泉徴収票は、勤めていたバイト先から発行してもらってください。紛失してしまった場合、バイト先に依頼すれば再発行してもらえます。
この源泉徴収票を証跡に、「確定申告書」にある記入項目を埋めていきます。手元にない場合は正しい金額を記入できないので必ず用意しましょう。
初めて確定申告をする人には、以下の記事がおすすめです。確定申告書の入手方法や書き方、提出先をわかりやすく紹介しています。画像と照らし合わせて必要項目を埋めてくださいね。
⇒【画像付き】分かりやすい確定申告のやり方!バイト・パート初心者向け解説
参考:国税庁 「確定申告特集」 - 確定申告書の様式や手引き
▼確定申告は税務署かインターネットで▼
確定申告はそれほど難しくありません。税務署では確定申告の時期になると、案内コーナーや「確定申告の方はこちらへ」という目印が出ています。わからないことがあれば、税務署の職員や担当者に聞けば丁寧にサポートしてくれるでしょう。
『e-Tax』を活用すれば、インターネット上で確定申告を行うこともできます。ただ、初めての人は間違えないよう税務署へ行って確定申告書を作成したほうが安心でしょう。
まとめ
この記事で解説した内容を、改めておさらいしましょう。
●「源泉徴収」は、雇用主が従業員の月給から一定額を差し引いて所得税を代納する制度
→給与明細の “控除” 欄にある「所得税」の項目に差し引かれた金額が記載されている
●必要な納付額より多く源泉徴収されていた場合は、払い過ぎた分が返ってくる
→「年末調整」を行えば、払い過ぎた所得税が還付金として返ってくることがある
※12月末の時点でバイトしている人は勤務先が年末調整を行ってくれる
●年末調整ができない場合は、自分で「確定申告」する
→確定申告書の内容を証明するために “源泉徴収票” が必要となる
バイトの給与から引かれる所得税は、払い過ぎている場合返ってきます。損をしないためにも、ぜひこのことを覚えておきましょう!
税金の仕組みについてもう少し理解しておきたい! という方は、以下のコラムをぜひチェックしてください。アルバイトの月収と税金の関係をご紹介しています。