よくわかる労働基準法! バイト先が違反した時の対処法を学ぼう

労働基準法はアルバイトの皆さんにも適用されます。
バイトスタッフを雇う人は、休日や休憩時間などに関する労働基準法を守らなければなりません。労働基準法に違反している契約を結んだとしても、第13条で定められている通り、法に違反している部分は “無効” になるのです。
- 労働基準法第13条
この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となった部分は、この法律で定める基準による。
参考:e-Gov「労働基準法第13条」
この記事では、労働基準法をはじめとする “バイトしている人が気になる法律” をわかりやすく解説していきます。社会で働く一員として、労働基準法をきちんと理解しておきましょう。
なお、この記事で紹介する内容はすべて2019年2月現在の情報です。
労働基準法で定められている休みや休憩時間

労働基準法で定められている休日や有給休暇、休憩時間について解説していきます。休ませてくれない、長時間働いても休憩をもらえないというのは、労働基準法違反かも!? きちんと体を休めて、健康的に働きましょう。
▼休日は原則週1日、例外で4週を通じて4日▼
労働基準法第35条では、労働者の休日について定められています。
- 労働基準法第35条
使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない。
※読みやすさのため、一部表記を変更しております。
参考:e-Gov「労働基準法第35条」
労働基準法に則ると、原則週1回は休みをもらえます。たとえ、日2時間程度の短時間勤務で本人が毎日働きたいと希望した場合でも、原則(※)雇用者は休みを与えなければなりません。
(※)労使協定を締結し労働基準監督署に届け出たうえで、休日割増賃金を支払う場合は、適法に勤務させることができる場合があります。
また、上で紹介した労働基準法第35条の次の項では、以下のような定めがあります。
- 労働基準法第35条2項
前項の規定は、4週間を通じ4日以上の休日を与える使用者については適用しない。
※読みやすさのため、一部表記を変更しております。
原則としては週1回の休みが必要ですが、例外で4週を通じて4日以上の休みでも問題ないということです。
労使協定の締結や割増賃金の支払いなど法律に定められた対応をせずに、「バイトで短時間勤務なんだから毎日出勤してもらわないと困るよ!」と長期の連勤を強要してくる店長がいたとすれば、原則労働基準法違反ということになります。本社や各都道府県に設置されている専門の相談窓口に話すか、辞めることを検討しましょう。相談については、記事後半で詳しく解説します。
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■バイトの連勤が違法になるボーダーライン
▼バイトでも有給休暇を取得でき、代わりを見つける義務はない▼
労働基準法ではバイトをはじめとする労働者が、有給休暇を取得できる条件を定めています。
- 労働基準法第39条
使用者は、その雇入れの日から起算して6ヵ月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、または分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。
※読みやすさのため、一部表記を変更しております。
参考:e-Gov「労働基準法第39条」
たとえば、勤続6ヵ月以上で週に30時間以上働いている人なら、10日間の有給休暇が与えられます。有給休暇を使えるのは正社員だけではないということです。
ちなみに、有給休暇として与えられる日数は、勤続年数が長くなるにつれ増えます。同じバイト先に長く勤めれば、有給休暇をもらえる日数が増えるというメリットがあることを覚えておきましょう!
参考:厚生労働省「しっかりマスター労働基準法-パート・アルバイト編-」
また、労働者が有給を使うにあたって、代わりに出勤するスタッフを見つけなければならない義務はありません。「休みたいなら代わりのバイトを見つけて」と店長に言われたとしても、その命令は業務命令権の濫用となり無効になります。
有給についてもっと詳しく知りたい人はこちらをチェック!
■バイトだと有給もらえない? 支給条件・スムーズな取得方法
▼実働6時間を超える人には休憩が与えられる▼
労働基準法第34条では、バイト中の休憩時間について定められています。
- 労働基準法第34条
使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分、8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。
※読みやすさのため、一部表記を変更しております。
参考:e-Gov「労働基準法第34条」
上にあるように、休憩時間の長さに関する定めは勤務時間によって異なります。
たとえば、9:00~16:00のシフトに入っており6時間を超える実働がある場合、休憩時間は少なくとも45分。9:00~18:00のシフトに入っており8時間を超える実働がある場合は、1時間の休憩が与えられます。
また、休憩中は労働者が仕事から離れられることが保障されていなければなりません。
- 労働基準法第34条3項
使用者は、第1項の休憩時間を自由に利用させなければならない。
※読みやすさのため、一部表記を変更しております。
「休憩中も電話対応はやってね!」と指示されている場合、その時間は業務の待機時間とみなされます。そのため、会社は別途休憩を与えなければなりません。
参考:厚生労働省「労働時間・休憩・休日関係」
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■バイトの休憩時間に給料は発生するのか?労働基準法を詳しく解説
労働基準法をはじめとする、辞めることに関する法律

この章では退職に関する法律を解説していきます。知らないとトラブルになる可能性もある大切な内容なので、しっかり読んでおきましょう。
▼雇用期間の定めによって適用される法律が異なる▼
バイトを辞める際は、雇用期間の定めによって適用される法律が異なります。順番に解説していきましょう。
■雇用期間の定めがない人は辞意を2週間前までに申し出る
バイトを辞める際には、民法が深く関わってきます。雇用期間の定めがない “無期契約” の人に適用される法律を解説していきましょう。
- 民法第627条
当事者が雇用の期間を定めなかった時は、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。
※読みやすさのため、一部表記を変更しております。
参考:e-Gov「民法第627条」
無期契約の場合、退職希望日の2週間前までに辞意を申し出なければなりません。「バイトなんだから、明日で辞めても問題ないでしょう」ということはないのです。
また、2週間以上前に辞意を申し出ているのに「店長が認めてくれないから辞められない」ということもありません。とはいえ、就業規則で「1ヵ月前に申し出ること」と定められていれば、それに従ったほうがトラブルを避けられます。退職を検討している人は就業規則を確認しましょう。
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■バイトを円満に辞める方法
■雇用期間の定めがある人は “やむを得ない理由” があれば期間中でも辞められる
つづいて、雇用期間の定めがある “有期契約” の人に適用される条文を解説します。
- 民法第628条
当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由がある時は、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものである時は、相手方に対して損害賠償の責任を負う。
※読みやすさのため、一部表記を変更しております。
参考:e-Gov「民法第628条」「雇用期間:○月○日~×月×日」といったように契約している期間がある場合、基本的には契約終了日まで働かなければなりません。
しかし、民法第628条にあるように “やむを得ない理由” があれば、契約終了日を迎える前に辞めることができます。たとえば、
●自身が病気で働けなくなった
●家族の介護をしなければならなくなった
●配偶者の転勤によって遠方へ引っ越さなければならなくなった
といった理由でバイトの継続が難しい場合、“やむを得ない理由” として認められる可能性があります。本人の意思ではどうしようもならない事情があった場合、契約終了日前に辞めることができるでしょう。
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■バイト歴1ヶ月の新人が円満に辞めるコツ
ただし、有期契約であっても労働契約の期間の初日から1年を経過していれば、いつでも辞めることができます。
- 労働基準法第137条
期間の定めのある労働契約を締結した労働者は、(中略)民法第628条の規定にかかわらず、当該労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。
※読みやすさのため、一部表記を変更しております。
参考:e-Gov「労働基準法附則抄」
たとえば、2019年1月1日~2022年12月31日の雇用契約を結んでいる場合、2020年1月1日から退職理由に関係なく辞めることができるということです。
▼労働基準法によって解雇を禁止しているケースがある▼
次に、“辞めさせられる” ことに関する労働基準法を解説していきましょう。以下のようなケースは、労働基準法によって解雇が禁止されています。
- 解雇が禁止されているケース
●業務上災害のため療養中の期間とその後の30日間の解雇(労働基準法第19条)
●産前産後の休業期間とその後の30日間の解雇(労働基準法第19条)
●労働基準監督署に申告したことを理由とする解雇(労働基準法第104条)
参考:e-Gov「労働基準法第19条」
参考:e-Gov「労働基準法第104条」
労働基準法のほかにも、労働組合法や男女雇用機会均等法、育児・介護休業法などにより、労働者の解雇を禁止しているケースがあります。
参考:厚生労働省「労働契約の終了に関するルール」
もっと詳しく知りたい人はこちらの記事をチェック!
■バイト先からクビを言い渡されたら? 不当解雇時の対処法も紹介
高校生など18歳未満に適用される労働基準法

労働基準法には、高校生など18歳未満の人を対象とした条文もあります。成人者は問題なくても、18歳未満には禁止されている事項があるので、働く人も雇用者も理解しておく必要があるでしょう。
▼18歳未満は深夜勤務が原則禁止▼
労働基準法第61条では18歳未満の人に対し、22:00~翌5:00の深夜にあたる勤務を原則禁止しています。
- 労働基準法第61条
使用者は、満18才に満たない者を午後10時から午前5時までの間において使用してはならない。ただし、交替制によって使用する満16才以上の男性については、この限りでない。
※読みやすさのため、一部表記を変更しております。
参考:e-Gov「労働基準法第61条」
コンビニやネットカフェなど、深夜営業をしている店はたくさんあります。しかし、上記の時間帯に高校生などの18歳未満の人が働くことはできません。詳しくは以下の記事で解説していますよ。
⇒高校生がバイトできる時間は何時まで?18歳未満の人は原則午後10時まで
▼18歳未満に危険なバイトをさせてはいけない▼
18歳未満の人には業務内容に関する規定も。たとえば、労働基準法第62条の条文は、以下のようになっています。
- 労働基準法第62条
使用者は、満18才に満たない者に、運転中の機械もしくは動力伝導装置の危険な部分の掃除、注油、検査若しくは修繕をさせ、運転中の機械もしくは動力伝導装置にベルトもしくはロープの取つけもしくは取りはずしをさせ、動力によるクレーンの運転をさせ、そのほか厚生労働省令で定める危険な業務に就かせ、または厚生労働省令で定める重量物を取り扱う業務に就かせてはならない。
2. 使用者は、満18才に満たない者を、毒劇薬、毒劇物そのほか有害な原料もしくは材料又は爆発性、発火性もしくは引火性の原料もしくは材料を取り扱う業務、著しくじんあいもしくは粉末を飛散し、もしくは有害ガスもしくは有害放射線を発散する場所または高温もしくは高圧の場所における業務そのほか安全、衛生または福祉に有害な場所における業務に就かせてはならない。
※読みやすさのため、一部表記を変更しております。
参考:e-Gov「労働基準法第62条」
上のような危険な業務に18歳未満の人を就かせてはなりません。詳細については、年少者労働基準規則第7条、第8条にまとめられています。
詳しくはこちらの記事で!
■高校生バイトを雇う時の注意点をわかりやすく解説! 知らなきゃ罰金30万円!?
労働基準法違反のバイト先だった時に取るべき行動

バイト先によっては、実働6時間を超えて働いているのに休憩を与えてくれない、休みをもらえないといった労働基準法に違反している場合があるかもしれません。その際に取るべき行動について説明していきます。
▼信頼できる友人や親、専門機関へ相談する▼
最も大切なのは一人で悩まず誰かに相談すること。一人で考えるよりも複数人で考えたほうが、よい解決案が浮かぶでしょう。
まずは、信頼できる友人や親などの身近な人へ相談してください。話しているうちに現状を整理でき、あなた自身がどうしたいかハッキリするのではないでしょうか。
考えた結果、自分の力でどうにもならない時は、各都道府県に設けられている「総合労働相談コーナー」へ連絡してみてください。専門の相談員が対応してくれます。具体的なアドバイスや指導をしてもらえるでしょう。
日中忙しい人には、平日の夜間や土日でも対応してくれる厚生労働省委託事業の「労働条件相談ほっとライン」という相談機関がオススメ。一人で悩みを抱えないようにしましょう。
▼最終手段は労働基準監督署へ通報▼
労働基準監督署に通報すると、相談窓口の担当者から解決策を教えてもらえるでしょう。申告内容から労働基準法に違反している悪質な会社と判断されれば、調査や是正勧告、逮捕といった手段で解決のために動いてくれる可能性があります。
ただし、労働基準監督署へ通報するには、バイト先の違法行為がわかる証拠を集めなければなりません。大変かもしれませんが、外部の人にもあなたの訴えが事実とわかるよう証拠を集めましょう。
通報はメールや電話、直接訪問といった手段で行えます。
⇒メールの送信フォームはこちら
⇒電話や直接訪問をしたい人はこちら
通報は最終手段と考えてもよいでしょう。もし、通報者があなただとわかった場合、バイト先の責任者に逆恨みされる可能性があるからです。バイトを辞めても生活できる、すぐにほかのバイトを探せるといった状態なら、今のバイト先を辞めたほうが大きなトラブルにならないかもしれません。
さいごに
労働基準法をはじめとする “バイトしている人が気になる法律” を解説してきました。「法律の条文は複雑でわからない!」と感じる人でも、この記事を読んで理解を深められたのではないでしょうか。
雇用形態がアルバイトであっても、労働基準法は適用されます。もしもバイト先に対して「これって労働基準法違反なんじゃない?」と思ったら、きちんと確認して対策を練らなければなりません。少しでもおかしいと感じたら、それが法律上問題ない行為なのか、自分で確認するくせをつけてくださいね。
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