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悩むのも人生。どんどん悩もう!
― 価値観に縛られず「何をしたいか、何ができるか」を考えることが大事 ―

株式会社アドヴァンテージ 中野尚範
中野尚範(なかの  なおのり)
株式会社アドヴァンテージ 代表取締役社長

1971年生まれ。同志社大学商学部卒業。19歳で起業家養成塾に入り、学生を対象に英語教材の訪問販売を展開する。2000年、求人広告会社の設立に参加し、学生の多い八王子市にてモバイル求人メディア「めるバイト」を立ち上げた。そのノウハウをもとに、数々の飲食・サービス店、人材派遣会社、アウトソーシング会社の採用問題の解決を手がける。2006年WillB Yokohama(現・株式会社アドヴァンテージ)を設立。企業が、業務をフリーターやパート、派遣などの非正規労働者に頼っていながら、アルバイト採用や中途採用が効率的に行われず、広告代理店任せになっている現状を改革している。

ニッチ分野を攻める!採用マーケティング

―まず、アドヴァンテージの事業内容について、教えてください。

  企業が人を採用したいとき、大手求人情報メディアに求人広告を掲載して募集するという方法が多いと思います。それを企業様が持つ自社サイトから採用ができるように、採用ページを構築するということが私たちの事業の主軸です。SEO(検索結果ページの表示順の上位に自らのWebサイトが表示されるために工夫すること)やリスティング広告(検索ワードに連動して検索結果ページに掲載される広告)なども活用し、より多くの求職者を集める仕組み作りも同時に行っています。これまで、派遣会社や飲食チェーン店を中心に、のべ200サイトに関わっていますが、平均すると採用全体の3割程度を自社サイトで採用できているんです。もっとも多いところでは、全体の8割を自社サイトで採用できたという事例もありますね。ここ数年は、そこからさらに発展して、ドコモCS様の「ドコモ求人ナビ」や千趣会様の「おしごとメゾン」といった、ニッチな求人メディアの立ち上げのご支援をさせていただいております。

  我々は「採用×マーケティング」を事業のキーワードとしているんですが、採用分野は、人を集めるマーケティング要素が抜けてしまいがちなんですよね。とにかく大手の求人メディアに広告を載せておけばなんとかなるだろうと。求人広告のキャッチコピーや採用をしたあとの研修や制度などは、みなさんよく考えられているんですけど、その前段階に関してはあまり考えていない。そこをどうやったらいいかというのを、お客様と一緒に考えていくという感じですね。

―もともと人材業界にはご興味があったんですか?

  いえ、そういうわけではないんです。ただ、起業をしたいという気持ちは、中学生のころからありましたね。小さいころは弁護士にもなりたかったですし、科学者にもなりたかったんです。それで、いろいろ考えた結果、自分が社長になってそういった職業の人たちを雇うことができたら、そういうビジネスに関われるんじゃないかって思って。

  人材業界に携わることになったのは、本当にたまたまなんですよ。友人と食事をしてたときに、学生時代に英語教材の訪問販売を一緒にやっていた後輩から、電話がかかってきたんです。そのとき、私は大阪にいたんですが、後輩は東京で求人ビジネスをやりたいと言っていて。その電話をきっかけに、ビジネスプランの相談に乗っていたんです。そしたら、「手伝ってくださいよ」っていうことになったんですよね。それで、八王子で求人広告会社を立ち上げました。そこからですね、人材業界に関わるようになったのは。

謎の共同生活は試練の連続…アルバイトで借金を完済

株式会社アドヴァンテージ社長-中野尚範

―学生時代にやっていた英語教材の訪問販売は、どういったきっかけで始められたんでしょうか?

  大学2年生のころ、家に英語教材の訪問販売の人がきたんですよ。私は別の英会話教室に通っていたので、断ろうとしたんですけど、話を聞いているうちに、「将来は何になりたいの?」と聞かれたんです。「経営者になりたいです」って答えたら、「俺もそうなんだよ」という話になって。じつは、その人も大学生で、経営者になるために修行をしていると。それで、「おもしろいおじさんがいるから、遊びに来てみないか?」と言われて、行ってみたんです。謎の豪邸に噂のおじさんがいたんですけど、どうやら、起業家養成塾のようなものを主宰しているらしくて。そこでは、経営者を目指している大学生が15人くらいで共同生活をしていたんですけど、私もそこに住むことになったんです。

  最初の2ヶ月は、毎日掃除ばかりしていました。「掃除や片づけができないやつは、仕事もできない」って、そのおじさんに言われて。そういった日常生活の中で、仕事の段取りのようなものをすべて教え込まれたんです。2ヶ月が経ったとき、私は当時20歳だったんですけど、「20 歳にもなって、親に授業料を出してもらうわ、仕送りもしてもらうわ…そんなやつが社長になれるか! 自分で稼げ!」と言われて(笑)。それで英語教材の訪問販売を始めることになったんです。

―たまたま訪問販売の人が家にきたところから…すごい展開ですね(笑)。そのおじさまから、起業のイロハみたいなものを叩き込まれたんですか?

  ビジネスモデルのようなものはまったく教えてもらってないですけどね(笑)。とにかく、人間力を上げるためにどうするか、生きていくためにはどうするかということ。それは教えられましたね。あとは、「限界を作るな」ということはよく言われました。「いつも自分にブレーキをかけてしまうのは自分だから、リミットを外せ」と。

  実際、毎日限界に挑戦しているような生活でしたからね。朝7時半に起きて、まずは30分掃除して、10km走るんです。戻ってきたら30畳くらいの大広間にベニヤ板を並べて、朝ごはんを自分たちで作って食べて。そこからは、営業成績のいい人は、大学に行かずに営業に出かけて、営業成績の悪い人は、経営者になれないかもしれないから、学校へ行けって言われて、授業に出るんですよ。いかに早く大学を辞めることができるかっていう感じでした(笑)。「社長になるために卒業証書は必要なのか?」って言われて。「まぁ、そうだよな…」みたいな。それで終わって眠れればいいんですけど、夜は毎晩のように宴会でしたから(笑)。

―いつごろまで住み込みで訪問販売をされていたんですか?

  大学2年生から、26歳ごろまでですね。大学を卒業したあとも、ずっと続けていました。私は、営業の成績がよくなかったので、就活をしておくようにと言われたんですよ。それで、3週間くらい就活をして、3社くらいから内定をいただいたんです。でも、3月31日に、そのおじさんから「お前は明日からサラリーマンになるのか? それとも残るのか?」って聞かれたんです。「もうちょっとやらせてください」と答えて、翌日から働くはずだった企業に辞退の連絡をしたんです。ものすごく迷惑な学生ですよね(笑)。

  そんな出来事があって、訪問販売を再開したんですけど、やっぱり売上は伸びなくて…。その養成塾は、生活費は自己負担なんです。寮費も食費も。援助は一切ないんです。販売している英語教材、高額な商品で、1つ売れると、手数料として給与が入るんですけど、売れなくても追い出されはしないんです。ただ、借金になるんですよ。それで、私は数百万円借金ができてしまって…。

―どうやって返済したんですか?

  いったんそこを出て、今度はパチンコ店で住み込みのアルバイトを始めたんです。それに加えて、ファミレスと居酒屋とちゃんこ料理店を掛け持ちして。1日で掛け持ちできるのは3つだったんで、うまくシフトを組んでこなして。そうすると、トータルで月40万円くらいバイト代が入るので。毎日2時間くらいしか眠れないんですけどね(笑)。そういった生活を1年間続けて、返済しました。その後、養成塾を離れて、さきほど話をした経緯で後輩から誘われて八王子で求人広告会社(株)ウィル・ビーを立ち上げました。

お客様にアドヴァンテージを与えられる会社に

株式会社アドヴァンテージ中野社長-座り

―そういった経緯があったんですね。ウィル・ビーでは、具体的にどんな事業をされていたのでしょうか?

  立ち上げが2000年なので、ちょうどNTTドコモの「i-mode」のサービスが始まったころなんです。だから、ウェブサイトと携帯電話を使ってアルバイトが応募できる仕組みを作ろうと。それで八王子・多摩エリアの求人情報を集めた「めるバイト」という求人情報メディアを作りました。

  当初は、求人票を持って企業を回って、アルバイトスタッフを紹介できたら、紹介料をいただくという訪問販売型人材紹介を始めようとしていたんです。でも、そんなことを続けられるのは、あの起業塾にいた自分たちくらいじゃないかって話になって(笑)。自分たちが営業に出かけなくても、企業が人を採用できる仕組みを作らないとダメじゃないかという結論になりました。

―その後、WillB Yokohamaを設立されていますが、これにはどのような経緯が?

  「めるバイト」が軌道に乗ってきたときに、大手の人材派遣企業さんから「自社の採用サイトを作ってほしい」というご依頼をいただいたんです。運営まで任せていただくことになったので、私を含めて3人がその企業に常駐して、それがウィル・ビーの横浜営業所になったんですよね。その後、分社化する形で独立して、WillB Yokohamaができました。それがアドヴァンテージの前身です。以前は求人広告に対して、応募者を集めることが目的だったんですけど、応募後の人材戦略全体のお手伝いもしたいという想いがあって。「~したい」という意味を持つWill be から、私たちが提供するサービスによって、お客様に得をしていただきたいという気持ちを込めて広告のアドという意味も絡めてアドヴァンテージに社名を変更しました。

垣根を越えて連動することで、可能性を広げたい

中野尚範-レオ・レオニ作「スイミー」

―アドヴァンテージの今後のビジョンについて教えてください。

  自分たちの強みは、ひねくれているところだと思っているんです(笑)。ニッチなところを攻めれば尖がるじゃないですか。「めるバイト」では、最初、八王子・多摩エリア限定のメディアとしてやっていたんですが、エリアを広げてしまったんです。そうすると、大手には勝てなくなってしまう。それが反省点としてあるので、今後もニッチなメディアを増やしていきたいと。最終的には、ニッチなメディア同士が連携していけたらいいなと思っているんです。『スイミー』(レオ・レオニ作)っていう絵本、ご存知ですか? あのイメージで、いろんな中小企業や小さなメディア、働く人も含めて連携していけば、大手にはない強みが打ち出せて行けるんじゃないかって。

  人材業界には、まだまだ無駄が多いと感じています。たとえば、派遣会社は登録というシステムがありますけど、1社に登録したからって、必ず仕事に就けるわけではなくて、当人はいくつもの派遣会社に登録するんですよね。こういう非効率さも連携によって解消できたらいいなと。理想は、ザッポス(アメリカのオンラインの靴ショップ)なんですよね。ザッポスはサイト上にユーザーがほしい靴の取り扱いがない場合、コールセンターで別のお店やサイトを紹介してくれるというサービスを行っているんです。人材業界も、登録者を囲い込むんじゃなくて、うちには紹介できる仕事がないけど、ここにはありますっていうオープンな形のフォローができるようになっていけたらと思っています。

―中野さんご自身の今後の目標はありますか?

  まずは、会社として、多種多様な働き方を提言していきたいというのがあります。いろんな人がいて、ユニットごとでやっていることも違う。でも、全体的には統一感がある。自然界のようなイメージを会社で実現できたらいいなと。もちろん、独立も歓迎しています。私個人としては、独立をしてすごくお金持ちになったメンバーが何人か出てきたら、日替わりでその人たちの運転手をしたいんです。社長の悩みを聞いてお金をもらう。社長専属の運転手カウンセラーみたいなことがやりたいですね(笑)。

大切なのは「何がしたいか、何ができるか」。柔軟に考えよう!

求人代理店「アドヴァンテージ中野社長」

―求人広告を制作されている立場ならではの、求職者がいい企業を見つけるためのコツがあれば、教えていただけますか?

  私は、就活セミナーもやっているんですけど、そこでは「就活もマーケティングである」という話をよくします。自分がどこのポジションにいて、周りの人の役に立つためにどんなことができるか、自分の強みは何かっていう。その研究ですよね。もちろん、企業の研究もしなくちゃいけない。とくに中小企業は会社の方針などに経営者の色がよく出ていると思うので、そういう情報を自ら探して知ろうとしないと。できるかぎり、現場の人と話す機会を持てるといいですよね。

  仕事を探すときに陥りがちなのは、条件面だけで選んでしまうこと。これは、就職でもアルバイトでも同じですが、企業の名前が有名だとか、給料が高いからという理由で選んでしまう人は、その後、うまくいかなくなってしまう傾向がありますね。自分が何をしたいのか、周りに役立つ強みをわかっておかないと。その会社じゃなくてもできることであれば、企業名にこだわる必要もないですしね。

―いつの時代も人材の問題は尽きないと思います。そういう中で、働くことに対して悩んでいる人にメッセージをお願いします。

  悩むのも人生なので、いいんじゃないですかね。たとえば、引きこもっていたとしても、本人には理由があると思うので。そういう意味で、日本は許容範囲を広げたほうがいいんじゃないかなと思っているんです。大学を出たら、サラリーマンみたいな価値観に縛られているようなところもあるじゃないですか。私だってフリーターから社長になれたわけですし、いろんな道があっていい。親世代がこうじゃなきゃダメだと言ったり、そういう価値観の中で本人が無理やり何かしようとしたりするので、余計おかしくなっているのかなっていう。だから、周りは無理やり強制せずに。悩んでいる本人は、大いに悩んでいいと思います。お互いに許容し合っていくことが大事ですよね。

[取材] 高橋秀明、渡辺千恵 [執筆/撮影(インタビュー写真)] 渡辺千恵

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