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本気なら、立ち止まらずにまず動け!
―手数をこなし、PDCAを常に回して自分を高めよう―

オーダースーツSADA 佐田展隆
佐田 展隆(さだ  のぶたか)
株式会社佐田 代表取締役社長
北京佐田服装有限公司 総経理

1974年生まれ、東京都出身。一橋大学卒業後、東レ株式会社に入社。2003年、バブル崩壊後の経営回復のため、株式会社佐田(本社最寄り:岩本町)へ入社。業績を黒字化させる。その後はIT企業営業部、コンサルタントとしての職歴を経て、2011年に佐田に戻り、2012年代表取締役に就任。2015年現在、全国に32店舗を展開する工場直販のオーダースーツメーカーとして業績を拡大し続けている。プロ野球球団やJリーグ、なでしこリーグといったスポーツクラブの公式スーツサプライヤーとしても有名。

20代でも気兼ねなく楽しめる! 低価格・高品質のオーダースーツ

オーダースーツ佐田ショールーム

―株式会社佐田、そして御社のオーダースーツの特徴についてご説明をお願いします。

  年間12万着のオーダースーツを製造しているオーダースーツメーカーです。仙台と中国の北京に専門工場があり、エンドユーザーに販売しています。現在、北は仙台から南は福岡まで、32店舗の工場直販ショップ「オーダースーツSADA」を展開しています。

  弊社のスーツの最大の特徴は、その価格設定です。本格的なオーダースーツを、メンズもレディースもお試しで19,800円からお仕立てしております。

―初回とはいえ、一般的な既製品のスーツと比べても破格の値段設定ですね。

  低価格を実現できたのは3つの理由があります。
  1つ目は、工場直販であるということ。弊社は生地企画から縫製、小売りまで一貫して自社内で完結できるので、無駄な流通コストが発生しません。

  2つ目は、CAD(自動設計システム)とCAM(自動裁断機)を使った縫製を行っていること。もともと職人が手作業でやっていた工程を完全自動化したことでコストを削減し、かつ職人の得手不得手によらないハイクオリティのものを、安定してご提供できるようになっています。

  3つ目は、俗にいうスケールメリット、ボリュームディスカウントを実現しているという点。北京工場は日算で約400着を製造する世界最大規模のオーダースーツ工場で、そこからスーツを空輸しています。この3点が、コスト競争力の源泉だと思いますね。

  新規のお客様のほとんどがインターネットを見て来店された20~30代の方で、そのなかでリピーターになられる方も数多くいらっしゃいます。

―今まではオーダースーツというと非常に高級で、若い人にとっては手が出しづらいイメージでしたが、そのハードルが下がってきているんですね。

  「オーダースーツは格式も値段も高い」というイメージを払拭したいと思っています。特に若い人にはもっとスーツを身近に感じていただきたいので、ホームページにも力を入れております。

  SADAのオーダースーツは、多種多様な生地から選べるのはもちろん、ボタン、裏地等の付属、ポケットの形やベントの位置等のデザインまで、様々な種類から自由に選択することができますし、採寸を行っていただければネット注文も可能です。もちろん、ショップに直接お越しいただければ、お客様に合った1着をお仕立てするためにお手伝いをさせていただきます。

  自分だけのデザインを選ぶ楽しさは、また格別です。是非、多くの若い人にオーダースーツを楽しんでいただきたいですね。

スーツの着こなしひとつで、自分に自信が生まれてくる

オーダースーツSADA佐田展隆社長

―実際にお店にうかがいましたが、「ここまでか」と思うほど体のパーツひとつひとつを丁寧に採寸していただいたので、驚きました。

  既製品は、身長とウエストの2軸でサイズを決めています。身長とウエストを基軸に、肩幅やバスト、腹回り、ヒップ、太もも、わたり、ひざ幅などがすべて決まるわけです。

  でも、体つきは人それぞれ。特にスポーツ選手の場合、テニス選手は右腕が長かったり、サッカーやスキー選手は下半身ががっしりしていたりと、人によって全く違います。私は学生時代にノルディック複合をやっていましたが、ヒップや太ももにサイズを合わせると、ウエストは「もんぺ」のように広がってベルトで絞るしかない状態になってしまいます。ジャケットに至っては、すべての寸法がダボダボでした。

  海外、特に欧米では既製品というと、緊急で必要になった時に仕方なく買うもの。向こうから見たら誰もかれも一様に体に合わない既製品のスーツを着ている日本人は、非常に滑稽に見えているでしょう。

  着るべき人がオーダースーツを着るようになれば、世界から見る日本のビジネスパーソンたちの印象が変わるはずです。

―体に合ったスーツは、実際にどのような効果があるのでしょう?

  「佐田さんのスーツを着るようになってから成約率が上がった」とおっしゃる方がいます。「受付の女性の扱い方が変わった気がする」「相手の聞く姿勢が変わった気がする」……と。はっきり言うと思い込みです(笑)。でも“自分はどう見られているか”というセルフイメージって、とても大事だと思いませんか。

  いい服を着て鏡の前に立った時「ちょっとカッコよくなったな」と思えると、気持ちが前向きになる。そこから結果がともなってくれば、それは思い込みでない、揺るぎのない自信になりますよね。いいスーツとは、それくらい影響があるんです。

  実はこんなアンケートがあります。
20~30代の女性500人に「スーツが原因で印象を台無しにしているビジネスマンを見たことがありますか?」という質問をしました。何%の方が「yes」って答えたでしょう? 91%です。

  次に「どのようなスーツが印象を台無しにしますか?」と聞きました。30個ほど項目を設けて、複数回答ありにしました。すると、極端な結果が出たのです。

  1位が【サイズが大きくて、ダボダボのスーツ】
「yes」と回答した8割がこれです。

  2位が【古くて、くたびれているスーツ】
既製品の在庫処分品かもしれません。こんなスーツは論外ですから、ダボダボなスーツがこれを上回る票を得たことで、いかにフィット感が重要かが証明されたと思っています。

  3位が【サイズが小さく、寸足らずでつんつるてんのスーツ】
きつくて、変なところにしわが入っているスーツです。

  このトップ3が、ほかの項目より断トツで票が入っていました。でも、特に1位と3位はオーダースーツを買っていただければ解決できる問題です。
  私はオーダースーツを広めていくことで、日本人の見栄えを良くし、日本のビジネスシーンを活性化できると信じています。

スーツを着て○○や××も! アクティブな姿勢を形づくった学生時代

学生時代について語る佐田社長

―佐田さんの学生時代についてうかがいたいと思います。先ほどノルディック複合のお話がありましたが、珍しいスポーツをされていたんですね。

  高校の時までサッカーをしていましたが、大学という新たな場所、しかもスポーツに真剣に打ち込める最後のチャンスだし、別のスポーツをやってみたいと思いました。そして、多くの候補のなかから、経験者のいないスポーツに絞って検討しました。活躍したかったんです(笑)。

  そこでたまたま出会ったのがノルディック複合。クロスカントリースキーとスキージャンプの2つを行う競技です。ちょうど、荻原健司(※)さんが活躍した時代でもありましたので。

  勉強はしていませんでしたね(笑)。アルバイトも家庭教師やコンビニをしましたが、片手間にした程度。ノルディック一色の4年間でした。

(※荻原健司[おぎわら けんじ]/1992年アルベールビル、1994年リレハンメルオリンピックのノルディック複合金メダリスト。)

―You Tubeに、佐田さんがオーダースーツを着てスキージャンプをしたり、富士登山をしたりする動画がアップされていますが、あれは佐田さんのアイデアですか?

  You Tubeでおもしろいことをやろうと言い出したのは私ですが、ジャンプや登山をする、という案を持ってきたのは弊社のスタッフです。最初はちょうど富士山が世界遺産になったタイミングだったので富士登山に行きましたね。スーツと、革靴にもこだわって(笑)。

  それが社内で盛り上がってしまって、北アルプスの白馬岳の隣の白馬乗鞍岳 [はくばのりくらだけ]をダイヤモンドダストが舞い散るなかスーツで登らされたり、葛西紀明(※)選手が活躍してくると「社長、いよいよですね!ジャンプしましょう!」と。完全に悪ノリですよ(笑)。

(※葛西紀明[かさい のりあき]/1992年アルベールビル以降、40歳を超えた現在も第一線で活躍し、「レジェンド」と称されるスキージャンプのオリンピックメダリスト。)

―学生時代のスポーツ経験が思わぬところで活かされているんですね(笑)。ほかに経験として得たことというと何がありますか?

  努力することの大切さですね。スキージャンプは最初は恐怖との戦いでした。1年生の春の大会で転んで、右手の関節を粉砕骨折したこともあります。でも逃げるのが嫌いだったのでリハビリしながら続けましたが、復帰した直後は初ジャンプの時より怖かったですね。

  でも、そうして2年ほど続けていたらある日、突然、怖くなくなったんです。立ち向かい続けて突き抜けた瞬間だったかもしれません。結果、インカレ3部・3位、表彰台に上がるところまで行きました。

  どんなことがあっても歯を食いしばってがんばり続けていれば、必ず殻は破れる。成長できる。それを学べたのは、私の大きな糧ですね。

“おもてなし”の精神が息づく日本のスーツ文化。その再構築を掲げて

佐田展隆さんのキャリアについて

―卒業されてから東レに入社されていますが、会社を継ごうとは思わなかったのでしょうか?

  3人兄弟の長男でしたが、特別会社を継ぐ意思はなく、父親から「会社を継いでくれ」とも言われませんでした。でも入るならやっぱりメーカーがいいなって。

  「ものづくりをしてこそ、社会的な価値を生み出せる」と思っていましたし、選んだ東レは化学繊維を扱う企業ですし(笑)少なからず父親の影響はあったのでしょう。

―株式会社佐田の、代表になられるまでの経緯をお聞かせくださいますか?

  バブル崩壊の影響を受けて、弊社は実質倒産まで追いつめられました。国内の3工場を2つ閉鎖し、北京の工場をメインとして稼働をさせ続けることに決めたんです。そのための追加融資を受ける条件が、後継者候補として私が株式会社佐田に戻ることでした。父の体が弱かったのもあって、後継者が必要だったんですね。

  東レでは営業として働いていましたので、とにかく北京製品を売りに新規開拓をしていこうと、営業部のテコ入れを行いました。その甲斐あって業績はV字回復しましたが、借金の金利が莫大で営業利益のほとんどは金利に消え、結果、経常利益はほんの少し。これでは、次に何かあったら立ちゆかなくなる。

  そこで、佐田家の経営責任を取っての自己破産と引きかえに金融機関より大幅な債権放棄を引きだし、後ろ盾になってくれる大手総合商社系の再生ファンドに後を託すことにしました。

  私自身は土壇場で自己破産することは免れましたが、会社を離れ、2008年に知り合いの紹介でIT企業の上場を手伝うことになりました。しかし今度はリーマン・ショックのあおりを受けてその会社は上場ができなくなり、自主退社を余儀なくされまして。

  2009年にコンサルタントとしてプラウドフット・ジャパンに転職しましたが、2011年3月、東日本大震災が起こります。するとコンサルの仕事は真っ先に削られ、資金繰りが悪化し、それまでの放漫経営もたたって、会社はガタガタになってしまいました。

  いっぽうで佐田のほうも、仙台の自社工場が被災して、東北のテーラーさんが軒並み廃業。売上げがガタンと落ちこみ、倒産の危機。そこで当時の社長から私に「帰ってきてほしい」と頼まれたんです。

  プラウドフットは破綻してしまいましたが、コンサルとして転職する選択肢はありました。しかし、何より、私が佐田にいた時に育てた若手の部下たちが、私を待っていてくれていると知ったんです。こんな状況で断ったら男として最低だ。これも何かの縁だと思い、その年の7月に佐田に戻り、翌年に代表取締役に就任したのです。

株式会社佐田3代目社長佐田展隆氏

―代表取締役に就任されて4年となりますが、今後、佐田さんが目指すビジョンはありますか?

  我々は「オーダースーツの着心地と楽しさで、日本のビジネスシーンを明るく元気にします!」という理念を掲げています。先に申し上げたことと重なりますが、今後も日本のビジネスパーソンたちのセルフイメージ向上に貢献したいと思っています。

  もうひとつ。祖父の言葉になりますが「ビジネスの場のおしゃれとは“おもてなし”である」と私は思っています。スーツはその“おもてなし”の精神の象徴であることを、日本のビジネスパーソンに伝えたいんです。

  “おもてなし”とは、相手のことを思い、相手のために全力を尽くすこと。日本人ならではの志です。商談やプレゼンを聞くためにわざわざ来てくださった方々へ感謝と敬意を表すため、身だしなみに全力で気遣う。それが“おもてなし”であり、ビジネスの場の“おしゃれ”なんですよ。決して「いい服を着て自慢しよう」とか「みんなスーツ着ているから自分も着る」といった、安直なものではないのです。

  祖父の時代、スーツは最高級品でした。でもどんなに生活が苦しくてもみんな身につけようとしたんです。それはビジネスの場でスーツを着るということが、敗戦国でも外国と対等の立場で勝負するという意地であり、“おもてなし”を重んじる日本人としての誇りだったからです。

  でも残念ながらその精神は、既製品の普及で失われつつあると感じています。私はこの精神に基づく日本のスーツ文化を、再構築したいんです

  2020年には東京オリンピックが開かれます。私は世界中の人が「日本のビジネスパーソンの身だしなみは素晴らしい。心映えがいい」と感じてほしい。オーダースーツを広めていくことで、その一助となれれば、と思っています。

高い山を登った人にしかわからない、その景色を見るために

佐田社長から若い人へ

―御社は新規店舗を増やし、ますます成長していく会社かと思いますが、今後はどのような人を採用したいと思っていますか?

  まず、先ほどの“おもてなし”の心を理解し、そういう人になりたいと思っているかどうかですね。それと、情熱を燃やせる人間かどうか。

  何かに情熱を燃やした経験があるならば、その方向さえ間違わなければ絶対に成長します。情熱はその人のパワーであり、エンジンです。このパワーが小さい人間は、何をやっても小さい成果しか上げられません。

  一見おとなしそうな人でもすさまじい熱量を持っている人だったりするので、面接ではその点をよく見るようにしています。熱量を持っている人って起こす問題も大きいんですけれど(笑)それを片づけるのが私の仕事ですから、遠慮なく来てほしいですね。

―学生にとっては心強い言葉ですね。御社で自慢できることがあればお聞かせください。

  今後は年に10店舗ほどの出店計画を考えていますので、新入社員には店長、そして複数の店舗を統括するマネージャーになるため、早く成長してもらいたいんです。

  ですから自慢できることといえば、権限が広がるチャンスがここには往々にしてある、ということになります。そういう環境で仕事をしたいと思っている人には、きっと弊社は向いているはずです。

―佐田さんにとって、社会人として重要なマインドはなんだと思いますか?

  “おもてなし”、“自責の考え方”、“チャレンジング”、“ポジティブ”、“執着心”。この5つです。
そのなかでも、“自責の考え方”は、一番難しいと感じています。

  まるで「失敗したら全部自分の責任」みたいに聞こえるかもしれませんが、そうではありません。まず、世の中には自分がコントロールできない領域―スポーツだったらルールや天候―があると理解したうえで、自分でコントロールできることに全力を尽くす、という考え方です。

  自分がコントロールできることだけに焦点を当てて、行動し続けること。難しいですが、この考え方ができる人からは、愚痴や言い訳は出てこないものです。

―その考え方が根底にあれば、物怖じすることもなくなりますね。
それでは最後に、仕事や将来について悩む学生の皆さんへ、メッセージをお願いします。

  今挙げた5つのマインドを持ち、行動を起こしてほしいと思います。実践なきところには、何も生まれてきません。とにかく出足を早くし、手数を尽くすこと。

  「やりたいことが見つからない」という人は、行動の量が足りないとしか思えません。こなす数のケタを1つ上げること。そして、必ず自分の行動を振り返る。“Plan”・“Do”・“Check”・“Action”のPDCAサイクルを回すんです。これで必ず質がついていきます。

  山を登って振り返った時の景色は、見上げて想像する景色と全く違います。その景色を見られるのは、たとえ中腹であっても、登った人だけです。立ち止まって考えているだけでは何も見えてこないのは当たり前です。

  まずは行動と実践。そして出足の早さと手数です。本気であれば、やれるはずです。

株式会社佐田エントランスにて <株式会社佐田>
東京本社
〒101-0032 東京都千代田区岩本町2-12-5号 5F
都営新宿線 岩本町駅より徒歩約3分

[取材・執筆・構成編集・撮影(インタビュー写真)] 真田明日美

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