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「何をやるか」よりも「誰とやるか」
―「ギブアンドテイク」ではなく「ギブアンドギブ」―

GMOペイメントサービス株式会社 向井克成
向井克成(むかい  かつなり)
GMOペイメントサービス株式会社 代表取締役社長

1994年上智大学を卒業後、三菱倉庫株式会社入社。ダイヤ情報システム株式会社を経て、2000年、ジェイサイド・ドットコムに入社。同年、株式会社シープロドに移り、eビジネスプロデューシング事業に携わる。2003年、株式会社シーエー・モバイルに入社、コマース事業等を担当。のちに執行役員に就任する。2010年、GMOペイメントゲートウェイ株式会社入社。2013年1月、GMOペイメントゲートウェイ株式会社の子会社としてGMOペイメントサービス株式会社を設立し代表取締役に就任。

ECの可能性を広げる「後払い」決済に注目!

GMO-PS向井社長

―まずは、GMOペイメントサービスの事業内容について教えてください。

  ECサイトで商品を購入すると代金はクレジットカード決済か前払いというのが一般的ですが、我々は商品が手元に届いた後で支払う「GMO後払い」という決済サービスを提供しています。ユーザーにとっては支払い方法の選択肢が広がるとともに、クレジットカードを持っていないユーザーもECサイトを利用できるというメリットもあるんです。

  具体的な業務としては、ユーザーに対し、ECサイトに代わって我々が請求書を発行し代金を回収します。お支払いいただけなかった場合は督促も行います。つまり、ECサイトから債権を買い取る債権譲渡型の決済サービスです。商品の代金は我々からECサイトに支払うので、ECサイトには未回収のリスクがありません。

―「GMO後払い」はどのような経緯で生まれたサービスなんでしょうか?

  ずっとEC事業に関わってきて感じたのが、決済手段の多様性がいかに重要であるかということです。その中でも特に後払いのニーズは高まってきていると思いました。周りでもクレジットカード払いは利用せず、後払いを好んで使っている人も多くいて。それに、実はクレジットカードの決済代行会社のなかで、後払い決済サービスを提供しているところはなかったんです。僕らは「総合決済サービス」を目標としていますので、そういった意味でも後払い機能はプラスになると確信して、サービスの提供を決めました。

社会人としての意識が身についた、貴重なアルバイト経験

向井克成さん語る

―大学時代はどんなふうに過ごされていましたか?

  基本的には毎日飲み歩いて、麻雀をしていましたね(笑)。実は、僕の実家は雀荘だったんですよ。だから、麻雀に対する抵抗感は全くなくて。僕は一浪して上智大学に入ったんですけど、代ゼミで浪人していた1年間もすごく楽しかったんです。受験のプレッシャーを感じながらも毎日麻雀はしていて、「本当にこれで大丈夫なんだろうか?」って思いながら勉強をする。あのギリギリな緊張感が今思えばすごく楽しかったなと。

  大学入学後は、テニスサークルに入りました。なぜかはわからないんですけど、サークルに入ってすぐに「お前は会長(サークルの代表者)になるだろうな」って先輩から言われて(笑)。実際、その通りに3年生のときに会長を務めました。1年生だった僕の何かを見抜いてくれたのか……責任感はあったかもしれませんけどね。授業にあまり出なくていい学部でしたのでサークルの出席率も一番よかったと思いますし。

―学生時代、アルバイトをされたこともありますか?

  4年間家庭教師をやっていました。僕は中・高・大と受験をしていて、しかも大学は2回受けているので、合計で4回受験を経験しているんですよ。いいのか悪いのかわかりませんけど、受験慣れしているんです(笑)。それもあって、小学6年生と中学3年生の受験生を中心に、多いときは4件掛け持ちでやっていました。

  もうひとつ、3年生の後半からはリクルートでバイトをしていたんです。当時『ガテン』というブルーカラー(土木・建築など現場系、技能系の職種)に特化した求人情報誌があったんですが(2009年休刊)、制作課で原稿のチェックをしていました。チェックといっても、文字校正ではなく法律的な表記のチェックなんです。ブルーカラーなので、採用企業が労災とか雇用保険にきちんと加入しているかなどが特に重要なポイントでした。

  当たり前ですけど、スケジュールもかっちりと決まっていたので、それに間に合うように作業をしなければならない。だから締め切りという感覚も学生のときから身についていました。徹夜で仕事をすることもありましたし。電話の取り方からPCの使い方まで、いろんなことをリクルートのアルバイトのなかで経験させてもらいましたね。

―大学卒業後は三菱倉庫に入社されていますが、入るときの決め手は?

  固い会社に入りたかったんです。実家が商売をやっていたことが影響していたのかもしれませんね。商売ってつらいことやしんどいことしか見えないんですよ。つねにお金の心配をしなくちゃいけないし、生活も不規則でしたし。きっと、母親も僕には安定した仕事をしてもらいたいという想いがあって中学から受験をさせてくれたんだと思うんですよね。それもあって、僕も働くのであれば固い会社、そのうえで世の中の役に立つような会社に行きたいなと思っていました。

  あとは、やっぱり「人」ですね。就職活動中は、直感的に「ここの会社の人たちはいい人だな」って思った会社の選考を受けていました。何より、三菱倉庫は同期がみんなおもしろかったんです。それが大きな決め手でしたね。

人生に大きな影響を与える、コマース事業との出会い

GMOペイメントサービス向井社長

―三菱倉庫ではどんな業務を担当されていたんですか?

  入社して名古屋支店に配属されて輸入貨物、特にコーヒー豆の輸入業務を担当しました。港に行くと、コンテナがありますよね? あの中にコーヒー豆の袋がたくさん入ってくるんですけど、それをコンテナから出して倉庫に搬入する作業の現場でした。ちなみに、コーヒー豆をチェックするために刺し(さし)という棒状の用具を使うんですけど、毎日コーヒーを扱っていたので、刺しをさした感触で豆の状態がわかっちゃうんですよ。生の豆を見ただけで産地もわかりました。今となっては1銭にもならない特技ですけどね(笑)。

―すごい特技ですね(笑)。その後、どんなタイミングで転職されることになったんでしょうか?

  その前に三菱倉庫で一度異動をしています。通常、ひとつの現場を2年くらい経験すると異動になるんですが、僕は5年間、1回も異動がありませんでした。コーヒーを扱う仕事はいわば一子相伝のようなもので、特殊な技能やノウハウを伝えていく必要があるんですけど、僕のあとに配属される予定だった後輩が辞めてしまったり、ほかにもいろいろな事情があって……異動できずずっとその現場で働いていました。一応、社内の自己申告制度があったので、3年目あたりから東京勤務を希望していました。それから、当時はちょうどインターネットが流行り始めたときだったので、システムの仕事がしたいという希望も出していて。入社から5年が経ってようやく異動することになり、三菱倉庫の子会社であるダイヤ情報システムに出向し、そこで半年間、プログラマーの研修を受けました。しかし、折角半年もかけてトレーニングしてもらったんですが、そこは1年で辞めてしまったんです。

―システムやインターネットへの興味が強くなって、インターネット関連事業のジェイサイド・ドットコムに移られたということでしょうか?

  そう思われることが多いんですけど、実はあまり関係なくて……。ちょっと遡りますが、リクルートでアルバイトをしていたときの上司が当時、ジェイサイド・ドットコムに転職していたんです。忘れもしない2000年の3月だったんですけど、「今何してんの?」ってメールがきたんですよ。お会いして話をうかがうと「人が足りないんだけど、うちに来ない(転職しない)?」って。

  転職なんて全く考えていなかったんですけど、話を聞いた3日後には転職を決めていました。実は、僕は大学を卒業する1994年3月に父親を事故で亡くしていて。そのときは、ちょうど七回忌のタイミングで、僕自身は30歳。いろんな「区切り」がやってきているなっていう気がしたんです。結婚もしていましたけど、妻も転職に関しては背中を押してくれましたし、30歳を節目に変わってみようかな、変えてみようかなと。

―アルバイトでの縁がずっとつながっていたんですね。

  そうなんですよ。その転職は、リクルートでバイトをしていなければ、なかった話ですからね。その上司だった方とはテニスが共通の趣味だったこともあって、一緒にテニスに連れて行ってもらったり、飲みに誘ってもらったり。ずっと、僕のことを気にかけていてくれたんですよね。のちに、その方が独立することになったので、僕も一緒にそちらに移りました。

―その会社ではコンサルティングをされていたんですよね?

  コンサルティングとは言わず、eビジネスプロデューシングという言い方をしていましたね。自分たちで手を動かして考えるということにこだわっていたんです。ですから、クライアントのところに常駐して、一緒にビジネスを考えたり作ったりしていました。シープロドにいた3年間で7社ほどの企業に常駐させてもらって。当時は精神的にも体力的にも大変でしたけれど、今思えば楽しかったですね。いろんなインターネットビジネスが生まれるタイミングに、しっかりと勉強ができましたから。

―その後、転職したシーエー・モバイルでは、コマース事業をご担当されていますよね。初めからコマース担当だったんですか?

  いえ、最初はコマース事業には全く関わっていませんでした。最初はモバイルでネットリサーチ(インターネット上の市場調査)をやろうと思っていたんですよ。当時、ネットリサーチは徐々に広まってきていましたけど、モバイルに特化したものはなかったんですよね。ただ、結果的には事業化することはできませんでした。

  当時、シーエー・モバイル内で僕は最年長でした。でも、そんな結果を出せない状況で、自分が歯がゆくなってしまって、外川さん(外川譲氏/シーエー・モバイル代表取締役社長)に辞めたいと相談したこともありました。外川さんは「何かやりたいことがあれば、自由にやっていいですよ」と言ってくれて。僕は、社長の側で社長の仕事を見てみたいと話すと社長室という部署を新たにつくってくれたんです。社長しか知らないような秘密の案件にも関われて、貴重な経験ができました。

  そんな流れのなか、コマース事業の売り上げが伸び悩んでいる時期がありました。そこで、物流も経験している僕なら何かできることがあるかもしれないと思って、コマースの仕組みを研究したり、会議に出てレポートを作成したりしてみたんです。それをきっかけに正式にコマース事業に異動となりました。当時は、コマース事業が一番いい循環に入ったタイミングでもあったので、異動してからは売り上げが何倍にも大きくなって。それで、平社員だった僕もマネージャー、ゼネラルマネージャーとポジションを与えられて、最終的には執行役員になることができました。

―そこからどういった流れで、GMOペイメントゲートウェイに転職されたのでしょう?

  コマース事業の売り上げが一時期のようには上がらなくなってきて、僕は担当を外れることになりました。それから1年間、なぜか内閣官房という役所にシーエー・モバイルから出向したんですよ。首相官邸のHPの更新作業をしたり、ブログやツイッターアカウントを開設したり。総理大臣のツイッターの公式アカウントを取得したのも僕らが初めてですね。着任した時は麻生総理、離任する時は鳩山総理と、激動の1年の任期を終えてシーエー・モバイルに戻ったんですけど、ECへの想いが捨てきれず……。今度は決済というアプローチでECに関わろうとGMOペイメントゲートウェイに転職しました。

  転職後は、「PGマルチペイメントサービス」という決済サービスの商品企画を担当していました。その流れで、最初に話したように「後払い」のニーズの可能性を感じたので、子会社としてGMOペイメントサービスを立ち上げ、サービスを提供することになったというわけです。

“日本のECを活性化させる”ため決済というアプローチから貢献していきたい

渋谷のGMO社にて向井克成社長

―GMOペイメントサービスの今後のビジョンについてお聞かせください。

  GMOペイメントサービスというよりは、親会社であるGMOペイメントゲートウェイを含めた全体で、“日本のECを活性化させる”というミッションを持っています。そのためには、安全安心な決済手段の提供というのが不可欠です。そのなかのひとつのサービスとして「GMO後払い」があるので、GMOインターネットグループの一員として、健全なECの育成に貢献していきたいと思っています。

―向井さんが働くうえで大切にされているポリシーはありますか?

  就職活動の話でも出ましたけど、やっぱり「人」じゃないですかね。GMOペイメントゲートウェイの社長である相浦(相浦一成氏)からもよく言われるのは「何をするかじゃなくて、誰がやるか、誰とやるか」。一緒に働くメンバーや環境によって、生まれる結果も変わってきますよね。

  それと、「ギブアンドテイク」ではなく、「ギブアンドギブ」であること。僕のまわりの人は誰も「テイク」を求めていません。できることは全部やりますという姿勢なんです。僕も当たり前のように、そうありたいと思っています。だから、当たり前のレベルを上げることも大切ですよね。自分ができる当たり前のレベルを上げていくと、作業レベルもアウトプットの仕方も変わってくるはずなので。自分を成長させてくれる人と付き合いたいですね。僕のまわりにはそういう人がたくさんいますから。……まぁ、かっこよくまとめようとしていますけど、要はそういう方々と一緒にお酒が飲みたいということです(笑)。

―最後に、就職活動やアルバイトにチャレンジする学生にメッセージをお願いします。

  僕は就職活動もアルバイトも楽しかったので、どちらもポジティブにとらえてほしいなと思います。同じ時間、同じ手間を掛けてやるなら、ポジティブに取り組んだほうが、得られるものが多いと思うので。

  忘れてはいけないのは、「相手も自分のために貴重な時間を割いてくれている」ということ。面接でいえば、面接官や人事の方ですよね。僕も面接をするときは、就活生も時間を使ってきてくれているんだから面接の間に何かひとつでも得てくれたらいいな、という想いでいます。ポジティブに、楽しく考えて、いろんなことを吸収して。そこからやりたいことを探せてもらえたらいいですね。

[取材] 高橋秀明、渡辺千恵 [執筆/撮影(インタビュー写真)] 渡辺千恵

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