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二度とない今の時を、一所懸命に生きてほしい
―学生時代の大きな挑戦が、のちの大きな糧となる―

ビルコム株式会社 太田滋
太田 滋(おおた  しげる)
ビルコム株式会社 代表取締役兼CEO

1976年生まれ、オーストリア共和国ウィーン出身。大学卒業後、株式会社アイ・エム・ジェイ入社。社長室に配属となり、経営を学ぶ。米国法人立ち上げのため渡米を経験。帰国後、ソースネクスト株式会社へ入社。広報・宣伝のノウハウを学ぶ。2003年、ビルコム株式会社(最寄り駅:六本木)を創業。IT技術を駆使した戦略PR会社として注目される。経営管理修士(MBA)取得、Stanford-NUS Executive Program in International Management修了。2015年現在、青山学院大学大学院国際マネジメント研究科博士課程に在籍中。2014年日本インタラクティブ広告協会「ネイティブアド研究会」主査、2015年「ネイティブ広告部会」推進メンバー。2009年~2011年WOMマーケティング協議会理事長。2010年総務省「ラジオと地域情報メディアの今後に関する研究会」構成員。著書に『WebPRのしかけ方』(インプレスジャパン)がある。

ビッグデータを活用し、デジタル時代の戦略PRを提供する

ビルコム株式会社代表取締役兼CEOの太田滋氏

―ビルコムの事業内容についてご説明をお願いいたします。

  データを活用した戦略PRコンサルティングです。企業や商品のブランド認知を向上させたり、商品を買う理由をつくったりするための戦略PRを企画から実行まで、ワンストップで提供しています。
  テレビなどのマスメディア向け戦略PRに加えて、デジタルPRや口コミマーケティング、オウンドメディア制作、PR効果測定までを一貫して提供しています。

―戦略PRとはどのようなものですか?

  広告枠を買って一方的なメッセージを送るのではなく、メディアの方々に番組や記事として取り上げていただくために、企業の情報を生活者に響くストーリーにして情報加工する新しいPR手法です。

  従来のプレスリリース中心だった広報活動と異なり、企業が伝えたい情報を、時流や世論を先読みしてメディアやインフルエンサーの方々に興味をもっていただく活動です。企業のブランディングや商品の認知向上といったマーケティング戦略の一環として実施します。

  たとえば、一見ニュース性のない企業や商品であっても、私たちPRのプロから見ればキラリと光る魅力があるものです。その魅力を引き出し、良質な企画やクリエイティブをつくります。それをマスメディアやデジタルメディアに記事にしていただくこともあれば、ソーシャルメディアを活用して口コミマーケティングを実施することもあります。

  当然、メディアや個人に金銭を支払うようなことはやりません。広告とPRの決定的な違いは、情報媒介者にお金を払うかどうかです。PRは金銭取引によって情報を伝達するのではなく、「企画」で情報を届けます。

  その企画には多様なものがあって、著名人を起用したコンテンツ制作をしたり、アニメキャラクターとコラボしたりすることもあります。他にも楽曲タイアップによるWebCM(動画)を製作するなど、今ある情報をいかに届けるかといったことだけでなく、生活者のニーズに合わせてデジタルコンテンツをプロデュースすることも当社の戦略PRサービスの一環です。

―御社のサービスの強みは何ですか?

  3つあります。1つ目は、ビッグデータを活用してプランニングできることです。
  多種多様で膨大なデータを取得・分析し、それを使ってプランニングを行うことで戦略PRの不確実性を排除します。データを活用することで、質の高いクリエイティブやメッセージでクライアントのマーケティングゴールを達成します。

  2つ目は、BtoBやBtoC、外資・内資と幅広いクライアントと100%直接取引をしていることです。
  ほとんどのPR会社は広告代理店からのお仕事もされていますが、当社は100%直接クライアントとお取引させていただいておりますので、熱い議論を交わしながら、クライアントの目的・目標に沿った最適なご提案を行うことができます。

  3つ目は、デジタルに強いことです。
  当社では、WebPR、オウンドメディア、ネイティブアド、ソーシャルメディアマーケティング、WebCM(動画)など、デジタルを活用した新しいソリューションを次々と生み出しています。

  私自身がアイ・エム・ジェイ(以下、IMJ)やソースネクストといったIT技術に強い会社におりましたので、業界のノウハウはもちろん、若い社員と一緒にデジタル技術を深く理解し、高めていく文化が当社にあります。

―今後、御社が目指すビジョンはどのようなものですか?

  当社は昨年(2014年)より第二創業期として、新たな事業コンセプトを掲げました。それが、「PRサイエンス」です。

  今まで広告業界は「感性」や「勘」といった、右脳的思考でプランニングする傾向がありました。しかし今後はビッグデータを収集・分析することで論理的に戦略や企画を立案することが重要になると考えています。テレビや新聞・雑誌のメタデータ、SNSやブログの投稿といった生活者のデータから、トレンドや生活者のインサイトが見えてくるからです。

  人間の感覚だけでやってきたPRを、科学的に分析して不確実性を排除し、より高度な戦略にしていく。アートとサイエンスの融合です。当社ではこれを「PRサイエンス」と呼んでいます。この「PRサイエンス」によって第二創業を成長させていこうと考えています。

「縦割り」だった広告業界に風穴を空けるため、起業を志す

ビルコム社長の太田滋さん

―IMJやソースネクストでは、どのようなお仕事をされていたのですか?

  IMJ時代は社長室に配属され、経営者の近くで働かせていただきました。米国法人を立ち上げるため、ロサンジェルスに赴任させていただいたこともあります。
  ソースネクストでは新規事業の立ち上げのほか、広報宣伝部として企業や製品のマーケティング活動を任せていただきました。

  若くして挑戦する機会に恵まれ、未熟だった私を育ててくださった当時の社長や上司の方々には、本当に感謝しています。起業する時に、社会に価値貢献することでいただいたご恩をお返ししようと誓ったことを今でも覚えています。

―太田さんはもともと、起業を目指されていたのですか?

  いえ、実は起業願望はありませんでした。しかし社会人になってから、広告業界の「縦割り」構造に違和感があり、それをなくしたいと思ったのが起業を目指したきっかけです。

―「縦割り」構造の、どのような部分に違和感があったのでしょう?

  ネット広告専門の代理店、PR会社、企画制作会社、イベント会社、キャスティング専門会社……といったように、それぞれ機能別、得意分野別に会社が乱立している状態でした。これはクライアントの立場からすると、とても厄介なものなのです。

  たとえば商品の広報宣伝に関して企画から制作までを相談をしたい場合、分野の違う別々の会社へ、毎回同じことを説明しなければならなくなります。これはとても非効率的なことです。

  また、機能別に分かれている各社が、自社の領域のことばかり考えていると、クライアントにとっては戦略の一貫性を保つことが難しかったり、クライアント目線で一緒に考えるパートナーが不在になってしまいます。クライアントは、手段にとらわれずマーケティング目的を達成するために最適なPRをしなければなりませんから、「縦割り」状態だとそれがうまく機能しないのが現実です。

  バラバラだった機能をワンストップにし、統合的なマーケティングを提供する会社が必要だと考えたのです。

―なるほど。「100%直接取引」にこだわるのも、クライアントにとっても効率的で、かつ効果の高いPRを提供できるようにするためなのですね。

  おっしゃる通りです。
  お客様の目的を一緒に考える“真のパートナー”として、私たちが一緒に貢献していきたい……そんな想いをこめ、新しいコミュニケーションを創造していく会社(=Building Communication)、ビルコムという社名にしました。また、メディアのデジタル化が「縦割り」の壁を崩しているという潮流も、当社の成長を後押ししたと感じています。

―起業当時、良くも悪くもイメージと違ったことはありますか?

  思ったよりも、立ち上げが順調にいったことです。立ち上げ当初は順調に経常利益を伸ばし続け、資金繰りに困ったことはありませんでした。

  それだけに9年目の2012年度にはじめて赤字を出した時は、新規事業の立ち上げや海外展開など新たな挑戦のためだったとはいえ、非常につらい、忍耐の毎日でした。ただ、業績が悪くても辞めずに残ってくれた社員に支えられたおかげで無事に第二創業期を迎えることができました。

  もっと早いうちから大きな挑戦をして、失敗を経験しておきたかったと思っています。若いうちの失敗から、大きな学びを得ることができたはずですから。

「消費」側でなく、「生産」側にいることを心がけた学生時代

太田滋社長の学生時代について

―太田さんの学生時代についておうかがいします。どんなことに注力されていましたか?

  2000年7月に沖縄県名護市で行われた第26回主要国首脳会議、いわゆる九州・沖縄サミット(G8)ですが、その関連催事で同年3月に沖縄県宜野湾市で、「学生サミット」を実行委員長として開催しました。

  ゼロからの立ち上げでしたからお金もなく、実績もないという、ないない尽くしからのスタートは大変でした。しかし最終的には総務省(当時は郵政省)や沖縄県などから後援していただき、マイクロソフトや沖縄電力などから協賛金を募って開催することができました。義理人情の大切さを、この時学んだと思っています。

  開催期間3日間で延べ約1,800名の学生と一緒に、平和、環境、教育、仕事、IT・福祉、文化という6つの社会テーマについて行動し、提言しました。

―「学生サミット」をやろうと思った理由は何ですか?

  サミットの前にもインカレの学生団体を立ち上げていましたが、それは関東圏だけで活動しているものでした。大学生活最後の年には、日本全国の規模で社会貢献をしていきたいという想いがあったんです。

―勉強も遊びも楽しんで大学生活を過ごす、という人が多いなか、太田さんは“社会貢献する”というテーマで過ごされていたのですね。

  はい。もともと大学4年間のなかで、何かひとつのことをチームで成しとげて社会に貢献したい、つまり「生産」する側にいたいと思っていました。そうしないと、普通にバイトやサークル、恋愛……と、ただ「消費」する側のままで終わってしまうのではないかと。

  誰かのために何かを生産し、社会に貢献すること。それが自分の存在意義だと考えていました。

―新卒で株式会社IMJに入社したきっかけをお聞かせください。

  学生サミットの活動中、ある方からのご紹介で当時の社長にお会いしたのがきっかけです。

  最終的にはIMJに入社することを選びましたが、新卒の就職活動は一生に一度のチャンスだと思っていたので、思い切りやりました。いろいろな会社説明会に行ったり、自分の強みや弱みを1冊にまとめた自己分析ノートをつくったり。自分を見つめ直しながら様々な業界を見ることができて、非常に貴重な経験になりました。

ビルコムで重要なのは「チームワーク」と「ベンチャーマインド」

ビルコム社内風景

―ビルコムでは毎年、新卒採用を行っているとうかがいましたので、社風や求める人材についてお聞きしたいと思います。
御社に入社すると、具体的にどのようなスキルがのばせるのでしょう?

  多様なビッグデータを分析するため、「自然言語処理」「多変量解析」「機械学習(深層学習)」という3つの技術に着目しています。

  ちょっと難しい言葉が並んでいますが、この3つの技術を駆使することで新しい戦略PRの効果を最大化させ、マーケティングの市場を切り拓けると考えています。これまで当社が10年以上蓄積してきた戦略PRのノウハウに加えて、この3つの技術を理解し、使いこなせるように成長してほしいと思います。

―冒頭で「感覚や感性も大事だが、ビッグデータを使った分析力がより重要になってくる」という趣旨のお話がありました。文系より理系の考え方ができる人が、今後はこの業界で活躍できるのでしょうか。

  そうですね、データサイエンスが必要になってきますから、理系出身の方はかなり活躍できる業界になるでしょう。もちろん文系の方でも、この業界にチャレンジしてみたいという強い想いがあれば活躍できるチャンスはたくさんあります。

  私自身は文系出身です。5年前から「自然言語処理」と「多変量解析」を、「機械学習」や「深層学習」は今年から学び始めています。社会人になっても努力を続けることで、必ず手に職をつけることができます。

―ビルコムでは、どのような研修制度がありますか?

  新卒の場合ですと入社時研修として座学のほか、現場の仕事を先輩社員と一緒に体験したり、課題図書についてレポートを発表したりと、1か月間みっちり、密度の濃い研修を用意しています。

  また、「ビルコムカレッジ」、通称「ビルカレ」と呼ぶ社内の定期勉強会を開催しておりますので、スキルアップには事欠かない環境がそろっています。

ビルコムの原則「ビルゲン」

―御社の社風や特色を教えてください。

  ビルコムの企業文化を5項目で表した「ビルゲン(ビルコムの原則)」という言葉がありまして、それをとても大事にしています。採用の基準にもなっていますし、入社した後もそれをきちんと体現しているかどうか、「ビルゲン」をもとに評価しています。

―御社が求める人材の、具体的な人物像を教えてください。

  「ビルゲン」のひとつに“一枚岩の最強組織”というものがあります。PRやマーケティングの仕事はひとつの目標に対して、多くの人たちと一緒に進めることが多いのでチームワークは非常に大切です。利己と利他のバランスも求められます。

  ですので、採用基準はいくつかありますが、バイトでも部活でもサークルでもいいので、チームで事を成してきた経験がある方を特に重要視しています。

  また、チームで事を成すためには、明るく、前向きで、諦めないタフさが必要です。その点も、面接でよく見るようにしています。

―太田さんご自身もそうでしたが、ビルコムでは20代の若い人が非常に活躍しているという印象があります。

  ビルコムは創業して12年ですが、まだまだベンチャーマインドにあふれた会社です。年齢、経験の有無に関係なく、早く成長できる環境があります。実際に、新卒2~3年目でリーダーに任命される人も多くいます。

  自分の手で物事を切り拓き、人を束ねていきたいという気概を持つ人が当社に来てくださると嬉しいですね。

社員の能力を開花させ、支えていける経営者を目指して

ビルコム株式会社太田滋社長からメッセージ

―太田さんご自身が、今後目指す姿はありますか?

  当社のビジョンである「良質なコミュニケーションで世界をより感動できる社会にする」を社員が持ち続けるために、会社全体をしっかりと下支えしていきたいです。

  そして社員の挑戦や努力を、ちゃんと実らせるような環境をつくっていく。そんな経営者でありたいと思っています。

―これから社会へはばたく学生の方々へ、太田さんからメッセージをお願いします。

  学生時代というのは、人生で二度とない、一生に一度の機会です。それも親御さんや周囲の方々がいてこそですから、今という時間を大事にしてほしいと思っています。

  限られた時間のなかで多くの、それも大きな挑戦をしていけば、社会人として必ず糧になります。臆せずに挑戦をして、今を一所懸命に生きていただきたいです。そのうえで当社に興味を持たれたのであれば、是非いらしてください。一緒に、未来を切り拓いていきましょう。

ビルコム株式会社エントランス <ビルコム株式会社>
〒106-0032 東京都港区六本木6-2-31 六本木ヒルズノースタワー11F
東京メトロ日比谷線 六本木駅より徒歩すぐ

[取材・執筆・構成・撮影(インタビュー写真)] 真田明日美

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