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眼前の困難に集中し、レベルアップを目指せ!
―その時のことすべてが、あとにつながってくる―

株式会社モバイルファクトリー 宮嶌裕二
宮嶌 裕二(みやじま  ゆうじ)
株式会社モバイルファクトリー 代表取締役

1971年、東京都生まれ。1995年に中央大学法学部卒業後、株式会社ソフトバンクに入社。1999年7月には株式会社サイバーエージェントへ転職。オプトインメール事業「メールイン」を立ち上げる。2001年10月、有限会社モバイルファクトリー(本社最寄り:五反田)を起業。2003年4月に株式会社モバイルファクトリーに組織変更、代表取締役となる。位置情報連動型ゲーム『駅奪取PLUS』をはじめとしたアプリゲーム制作や着メロ配信など、モバイルコンテンツ事業を展開中。

好きだったゲームの領域で、ほかにはない新しい楽しさを生みだす

モバイルファクトリーエントランスにて

―御社ではアプリゲームや着メロなど数多くのモバイルコンテンツを手がけていますが、この業界に参入した理由はなんでしょう?

  自分自身、ゲームが大好きだったんです。弊社は2001年から創業していますが、ゲームコンテンツに関わったのは2009年からで、それまではずっと着メロ事業がメインでした。当時はニンテンドーDSやPlayStation2といったコンソール型のゲームが流行っていて、我々のようなWEB系の会社が入る余地はなかったんですが、2008年にmixiが、2010年にはGREEとMobageがオープン化されたのを機に、参入することを決めました。

  我々が扱っているアプリでは「恋愛ゲーム」が本数では一番多いですが、全体的な売上げでは「位置ゲーム」が最も大きなウェイトを占めています。GPS機能のような携帯電話の位置登録システムを使ったゲームです。

  なかでも『駅奪取PLUS』はおかげさまで好評を得ており、4年間運営を続けています。日本を舞台にした陣取り合戦のようなもので、“リアルな移動”が絡むという点では、ほかのゲームにはない、「位置ゲーム」ならではの楽しさがあると思います。

母の死、多額の借金、失明の危機……無力な自分を痛感して

モバイルファクトリー宮嶌裕二社長

―10代から20代にかけて、大変なご苦労をされたとうかがいました。

  19歳の時、母親を病気で亡くしました。母は美容室を5店舗経営していましたが、母の死をきっかけにそのまま倒産。僕は4000万円の借金を抱え込んでしまったんです。毎日のように借金取りが押しかけてきて、最終的に家を売り払うまでになりました。

  住むところを失ったばかりか、さらに悪いことに自分が網膜剥離になって失明の危機に陥り、緊急手術を受けることになってしまって。……自分が守られてきたものが、すべて壊れていく。人生のどん底にいる気分でした。この時、あまりにも自分に力がないことを痛感させられたんです。

  こんな理不尽に対抗するには、力がないといけない。手術して目が見えるようになったら、誰よりも努力してお金持ちになろうと思いました。この世は無常で、誰も助けてくれない。だから、自分が成功するしかないだろうと。多額の借金があることに、すべてが起因していましたね。

―学費と生活面、借金返済のやりくりだけでも想像を絶するものがあります……アルバイトもたくさんされていたのですか?

  主に3種類ですね。家庭教師を週に1、2回していたのと、お弁当屋とピザ屋のデリバリーを掛け持ちしていました。このふたつは自由にシフトを組めたので、空いている時間にバンバン仕事を入れられたんですよ。

  両方とも場所は恵比須で、特にピザのデリバリーについては有名人や外国人のお宅にも持っていたりもして、楽しかったですね。時給もよかったし、チップもくれるしで(笑)。

―バイトの経験から、何か得たことはありますか?

  職場によって、重宝される人材が違うんだなって思いましたね。僕は自宅の浦和から大学のある多摩まで2時間かけての通学だった関係上、入れるシフトも限られていたのでよく感じたことなんですけれど、デリバリーのように特別な技術がなくてもいいような仕事は、安定的に連日入れるフリーターのような人が、店長には重宝がられたんです。

  それと、雨や雪といった天気の悪い日は特に注文が多いのでデリバリーの仕事も忙しくなるし、交通面でもすごく大変なんですけど、そんな時に限って「体調が悪い」とか言って突然休む人がいる。僕は稼がないといけないし繁忙期は給料も上がるので、繁忙期はかえってラッキー!と思ってたんですけれど(笑)、人によってこんなにも仕事に対する意識に差があるんだ、と思いましたね。

  「朱に交われば赤くなる」と言いますが、特に上の立場の人がダラダラ働いていたりすると、下もその影響を受けてしまって、チーム全体の士気が落ちてしまうものですよね。快適な環境のなか、気持ちよく働ける人たちと仕事がしたいと、従業員を抱える身になった今では思います。

「お前がやっていることは仕事じゃない!」―上司に厳しく叱咤され

ソフトバンク時代を語る宮嶌さん

―就職活動は、起業家になることを前提に行っていたんでしょうか?

  そうです。起業することを伝えたうえで合格をいただいた数社のうち、ソフトバンクを選びました。僕はもともとパソコンが好きでソフトバンクが出版している雑誌を小・中学校から読んで親しんでいましたし、社長の孫正義(そん まさよし)さんを、起業家としてとても魅力的に感じていたんです。

―孫正義社長の、特にどのあたりを尊敬されていたんでしょう?

  学歴優秀なエリートで、紆余曲折ありながらも日本ソフトバンクを立ち上げて会社を大きくさせた……ということは知っていたんですが、実は生まれが貧しく、自分が在日韓国人であることにずっと悩んできたと、あとから知ったんですよ。そういう多くの困難に打ち勝ってきた姿勢が、ほんとにすごいなって思っています。あとになって仕事の関係で直接お話する機会があり、その時は本当に感動しましたね。

―宮嶌さんが当時携わっていたお仕事はどのようなものですか?

  当時、ソフトバンクの事業は大きく分けて流通業と出版業でした。僕は流通の、外販という事業の営業部に入りまして、そこで大塚商会さんやリコーさんといったSI(システムインテグレーション)企業へソフトウェアを卸す仕事をしていました。

―この時の経験で、どんなことを学びましたか?

  「仕組み」をつくることの重要性ですね。
入社して1年目、普通の倍以上の顧客数を回った結果、僕は営業成績でトップクラスに入りました。「人より稼いでやる」というハングリー精神の塊でしたし、ルートセールスでしたから単純にお客さんとの接触回数を増やせば増やすほど売上げも上がっていったんです。それで「なんだ、こんなもんか」って思っちゃって。

  そして2年目、ある上司のもとで働くことになったのですが、その上司に自分の仕事のやり方を、ものすごい否定されたんです。

  「お前がやっているのは仕事じゃない。本当の仕事というのは、たとえお前が今の担当から代わったとしても、今より10倍の利益と売上げを上げる仕組みをつくることだ」。

  普通は僕ほど数をこなせない。だから別の人間が担当を代わったとしても売上げを上げられる仕組みをつくるのが、真の意味での仕事だと。その上司は実は、今のSBIグループにいる川島さん(※1)だったんですが、その人に徹底的に仕事をたたきこまれたんです。結果、2年間で17倍の利益と売上げになりました。僕の力じゃなくて、川島さんの力ですけどね。でも僕の社会人としての基礎は、ここで学んだことになります。
(※1 川島克哉[かわしま かつや]氏/現SBIホールディングズ株式会社の代表取締役 執行役員副社長)

過酷な運命に振り回されても、起業への想いをたぎらせて

仕事に対するパフォーマンスを高くするため、立ったまま打ち合わせや仕事ができる場所が社内各所に配置されている。

―1999年にはサイバーエージェントに転職されますが、そのいきさつについてお聞かせください。

  4年以上ソフトバンクに勤めたし、そろそろ起業しようとは思っていたんです。起業するなら、世間でも盛り上がりを見せていたインターネットかなと。それで同期のエンジニア2人と僕の3人でビジネスモデルを検討し、「これだ!」と思ったのがオプトインメール(※2)でした。しかし土壇場で2人が怖気づいて、外れてしまったんです。
(※2 ユーザーが受信を許可した広告メール。あらかじめ関心のあるジャンルを設定できるので開封率が高い)

  僕はどうしても諦めきれなくて、あちこちに相談しに回りました。そんななかでサイバーエージェントにいた友人が社長の藤田晋(ふじた すすむ)さんを紹介してくれましてね。藤田さんは僕の企画を見るなり「いいね。いつからウチに入るの?」って(笑)。それで、サイバーエージェントでこの事業をやろうと思ったんです。

―実際にサイバーエージェントに入社されてみていかがでしたか?

  僕はオプトインメール「メールイン」の開発のほか、メディア担当、営業……と何でもやっていて、カオスな状況でしたね。苦労したことといえば、やっぱり体力面かな。

  入社した当時、僕は28歳。会社には23、4歳の若い社員ばかりでエネルギーがあって、毎日のように机の下で寝泊まりしていて……僕もソフトバンク時代にすっごく働いていましたけど、さすがに会社に住むほどではなかったな(笑)。あんまりハードすぎるので、入社して3か月目で過労と網膜剥離の再発で入院してしまったくらいですよ。

  でもそんな状況でも何とか続けようと思ったのは、勝負するならこの会社しかないと思っていたからですね。休んでいられないなって。

―サイバーエージェントに2年いる間に、「メールイン」がGMOへ売却されることになったそうですが……

  自分が手塩にかけた事業が売られることになって、正直、茫然としましたよ。そこで僕に残された道は、このまま残るか、GMOに行くか、起業するか。で、起業を選んだんです。

  売りたいものは決まっていましたので、まずはプロダクト開発に着手しました。それが、着メロのASPサービス。広告をダウンロードすれば着メロがもらえる、というサービスですね。僕が仕様を描いて、オン・ザ・エッジ(※3)出身のエンジニアの人につくってもらって。でも、その時にいろいろありまして……結局リリースまで半年ほどかかってしまいました。
(※3 旧株式会社ライブドア。のちのLINE株式会社)

―起業した前後でイメージと違ったことはありましたか?

  会社のブランド。“看板”の差ですね。
サイバーエージェントにいたころ、「メールイン」は月1億円の売上げを上げていたんです。それで今回の事業も、まあ月500万円はいくだろうなと計算していたんですが、これが本当に……月10万円売るのも大変でした。つまり“モバイルファクトリー”という看板に、信頼性や安心感がなかったせいなんですよ。だから、新聞記事で宣伝するなど、ブランディングには注力しましたね。

ゲームを通じて感動をもたらす。ゆく先は世界への社会貢献

株式会社モバイルファクトリーが目指すもの

―宮嶌さんが仕事をするうえで外せないポリシーはありますか?

  自分たちのやっていることが、ミッションや理念にきちんと沿っているかどうか、ということですね。インターネットビジネスはいろんなジャンルで事業を立ち上げられますが、だからこそ、その事業がきちんと社会のためになっているか、誰かを幸せにしているかという視点を常に持ってたいと考えていますね。

―御社は今年(2015年)3月、上場されましたが、今後目指すビジョンはありますか?

  社会的影響力が格段に増したことになるので、社員やユーザー、そしてそれぞれに関わる人もすべてハッピーになるようなものをつくらないといけないなと思っています。

  僕らは「感動を持ち歩け。」をブランドメッセージに掲げており、位置ゲームで遊ぶユーザーはゲームとしての体験以外に、ちょっとした旅行の体験や感動を得ているわけです。つまり、位置ゲームは日常に感動を添え、実際にユーザーが移動することによって地域活性化にも貢献できます。そんな、社会貢献性の高いスマホゲームは他にはないでしょう(笑)。

  短期的な目標で言うと、その「位置ゲーム」で世界No.1になりたいと思っています。世界中でプチ旅行を楽しむユーザーができれば、世界的にもゲームを通じた社会貢献ができますよね。

  長期的な目標だと、エンターテイメントを軸にして今後もオキュラスリフト(Oculus Rift)とかホロレンズ(HoloLens)といった様々なデバイスが増えてくるので、それを使ったおもしろいサービスを提供していきたいと思いますね。

―宮嶌さんが仕事をするなかで、幸せに感じることはなんですか?

  自分たちのサービスを楽しんでくれているユーザーの声を聞いた時が最高に幸せですね。ツイッターで検索してみると、サービスを楽しんでいるユーザーの様子が伝わってくるんです。ゆくゆくは僕らのつくったサービスが、ツイッターやフェイスブックのように普遍的に、世界中の人に使われるようになれば……モバイルファクトリーを立ち上げた甲斐があったと感じられると思います。

―それでは、最後に若い人へメッセージをお願いします。

  とにかく、今目の前にある困難に集中すること。その当時はわからないけれど、必ずあとにつながっているんです。自分がまさにそうでしたから。つらいことがあって起業家を目指し、目指したから孫さんの会社に入り、そこでITに興味を持ったからこそサイバーエージェントに入って、そこからモバイルファクトリーが生まれて……すべて、つながっているんですよね。

  経験値を貯めて、人脈を得て、問題を解決していく。ロールプレイングゲームじゃないですけど(笑)とにかく目の前のことに真剣に取り組むことが重要です。そうして自分を、どんどんレベルアップしていってほしいですね。

株式会社モバイルファクトリーと宮嶌さん <株式会社モバイルファクトリー>
〒141-0022 東京都品川区東五反田1-24-2 東五反田1丁目ビル8階
JR・東急池上線・都営浅草線 五反田駅より徒歩約5分

[取材]高橋秀明・真田明日美 [執筆・構成・撮影]真田明日美

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