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人生のテーマは、すでに自分のなかにある
―つらい時期の自分を支える目標を見つけよう―

トークノート株式会社 小池温男

自身の過去の失敗から着想し、会社の規模や業務の忙しさによらず、いつでも全員で会って話しているようにコミュニケーションがとれるツールを創ろうと社内SNS「Talknote」をスタートさせたトークノート株式会社代表取締役・小池温男さん。自身の人生のテーマを決め、追いかけるなかで、どのようにして「Talknote」が生まれたのでしょうか。

小池 温男(こいけ  はるお)
トークノート株式会社 代表取締役

1980年生まれ、神奈川県出身。2040年に1兆円企業を創る事を目標に、2003年、飲食店を展開するラピースドリームを創業。2006年、順調に店舗拡大を続けるなか、インターネットの可能性に魅了され成果報酬型求人サイトでネットビジネスへ参入。2010年4月、トークノート株式会社(本社最寄り:六本木)を設立。2011年6月に社内SNS「Talknote」をリリース。現在は、利用企業数15,000社以上へと成長。今後も利用企業数の拡大が見込まれる。

仕事上のコミュニケーションに関する問題を解決したい

トークノート小池温男社長

―トークノートの事業内容についてご説明をお願いします。

  LINEがビジネス専用になったようなツールをイメージしてもらえるとわかりやすいと思います。日常生活では、すでにLINEやFacebookでコミュニケーションを取るのが当たり前になっていますが、ビジネスシーンではまだメールを利用してコミュニケーションをすることがメインになっており、今後急成長が見込まれている領域です。

―「Talknote」の特徴について教えてください。

  「シンプルで誰でも使える」ことです。ITリテラシーの高低に関わらず、幅広い人が使いこなすことができます。飲食業や医療系の現場をイメージしてもらえるとわかるのですが、日常的にパソコンを活用する業務に就いている人ばかりではないので、どんな人でも簡単に使える必要があるんです。海外発の似た様なコンセプトのコミュニケーションツールなどは、私の感覚値ではITリテラシー上位1%位の人にしか使いこなせないんですよね。

―「Talknote」をあえて企業向けに特化させた理由というのは?

  自分自身が仕事上のコミュニケーションに問題意識を抱えて、解決してくれるツールを探した時に、課題を解決してくれるイメージが沸くものがなかった、というのが大きいですね。

  日常生活でもコミュニケーションは大切ですが、会社ってプライベートと比べ物にならないくらいコミュニケーションが大切だと思っています。プライベートで3か月友人と連絡を取らなくても関係性に影響はないですが、会社で社員同士が3か月コミュニケーションがなかったら、確実に仕事は進まないですよね。

  仕事をしていると、社内で話をしたいタイミングがすごく多いんです。聞きたいこと、伝えたいことは日々たくさんあります。でも、実際に話ができるタイミングは意外と少ない。相手が集中していたり、物理的に距離が離れていたり、時間が合わなかったり。
  すごく大事なんだけど、なかなかうまくいかない。そんな、仕事でのコミュニケーションをツールで解決したいんです。

  もちろん、弊社でも「Talknote」を使っているんですが、経営の立場からすると、とにかく会社の状況がわかるようになりました。なかった時は今の1割くらいしか会社のことが見えていなかったです。お客様とやり取りの内容、受注へ向けての温度感、どんな要望が上がっていて、どんな点は満足してくれているのか、社内の開発の進捗、メンバーのコンディションなど、当時は全く把握できていませんでしたね。

自分の幸せと徹底的に向き合い、人生のテーマを決めた

学生時代について小池社長語る

―小池さんの高校時代についてお聞かせください。

  夢とか目標って、憧れが具体的な形になったものだと思うんですけど、私は昔から多くの人を魅了するものに対しての憧れが強かったと思います。

  高校生のころは、あるアーティストに憧れていました。バンドのリーダーをしていた彼は、個人としてもものすごい人数のファンを魅了していて、その姿がとてもカッコよく見えていて。自身でプロデュースもして、作詞作曲もして、演奏もしていて、しかも幼少期のエピソードもドラマチックで。その生き様が人を魅了しているという印象でした。

  当時はただ憧れて、真似してみたりもしましたけど、全く近づいていませんでした。今思えば誰かになりたいと思うこと自体に無理がありますよね。ただの憧れで、夢や目標にもなっていなかった。具体性がないし、ちゃんと日付を入れて、いつまでにどんな風になる、という設定もしてもいなかったんです。

  具体的な目標を持とうと考えたのは、18歳か19歳のころです。
  ちょうどそのころに、私がアーティストになりたいという話に対して「個人として人を魅了するのもカッコいいけど人を魅了する商品やサービスを継続的に生み出し続ける人のほうがもっとすごい」という趣旨の話をしてくれた人がいました。私はそれを聞いて、確かにアーティスト以外にも選択肢はありそうだな、と思い始めたんです。

  人生の目標について考え始めて、まずは自身の幸福感を内省しました。自分は何のために生きていて、何に幸せを感じるのか。自分は、毎日を幸せに生きるために何が必要なのか。

  まずはお金や食べ物といった類いの、物欲や所有欲を満たすことをイメージしたんですが、そういうのって実は手に入れた瞬間がピークで継続性が弱いんじゃないかと感じたんです。で、継続性みたいな部分を意識して考えた結果、人に必要とされることかなと思いました。

  でも、よくよく考えるとすでに家族や友達からは必要とされているし、もう十分幸せだって結論になってしまったんです(笑)。ここでいったん納得しかけましたが、人生の目標を決めるというテーマで現状維持というのは今ひとつしっくりこず、またふり出しに戻ってしまいました。

  目標が具体的に見えたきっかけは、当時好きだった松下幸之助の本を読んでいた時のことです。自分が、すでに亡くなってしまってこの世にはいない、会ったことも話したこともない人の残した言葉に、すごく魅了されていることに気づいたんです。松下幸之助は時代を越えて人に影響を与えて、すごく多くの人に必要とされていて、すごいなと。

  この時から会社経営に対して具体的な興味が沸いてきて、どれくらいの会社を創れたら、世代を越えて人を魅了し、影響を与え、必要とされ続けるのか考えてみました。10億円規模、100億円規模と会社を調べていったところ、意外に名前を聞いたことがなかった会社も多かったのですが、年商1兆円を越えると、間違いなく誰でも知っているだろうという会社ばかりが名を連ねるようになったんです。

  これが20歳の時で、ここで自分の人生の目標を「1兆円企業を創る」ということに決めました。ちゃんと日付も入れて、2040年12月31日までに1兆円企業を創ることを目標にしたんです。

多くの苦労も、好きで情熱を傾けられることなら乗り越えられる

小池温男さんがレストランを営んだ経緯について

―3年の準備期間を経たのち2003年にラピースドリームを創業、イタリアンレストランを開店されます。なぜ飲食業を選ばれたのですか?

  自分が好きで情熱が傾けられる、かつ具体的なイメージが沸く業種を考えたところ、飲食業に行きつきました。

  私は実家も飲食業を営んでいたし、飲食アルバイトの経験もあったので、どうやって接客して、どんな料理を出せばいいか、成功のポイントである常連のお客様をつかむにはどうしたらいいかなど、イメージが沸いていたんです。
  ちなみに1兆円企業を目指すにあたっては、当時マクドナルドの店舗当たりの売上げが約1億円程度だったので年間1億円売る店を10,000店舗つくろうと考えていました。

―5か月間で3店舗、2005年までに4店舗出店されていますね。

  そうですね。店舗展開の考え方も、チェーン展開のような同じコンセプトの店を展開していくのではなく、それぞれ異なるコンセプトのお店を出店していったんです。チェーン店だと、そのお店を気に入っても、あえて同じチェーンのほかの店舗へも行ったみたいとは思いませんよね。でも、同じ運営会社がほかのコンセプトでお店をやっているとしたら、ほかのお店にも行ってみようと思ってくれるんじゃないかと思って。

  たくさんの魅力的なコンセプトを考えるのはそれなりに大変なのですが、私は映画が好きで、映画を観ていると「自分もこんな場所で食事をしてみたいな」と感じるシーンがたくさんあるので、そういったシーンから着想を得てコンセプトづくりをしていました。まさに、“好き”をうまく仕事に利用していたんです。

  最初のころはとても苦労しました。今なら事前に試算をして、成り立たないことにすぐ気づくのですが、当時はリピーターが非常に重要だから、新規のお客様が増え過ぎたら困る。だから集客はあまりしないようにして、友人を中心に口コミで広げていこうと考えてしまったんです。でも、そもそも友人の規模はたかが知れているので、初月から赤字。そこから死にものぐるいで集客を行いました(笑)。

「やらなかったことを後悔したくない」という想いに背中を押された

IT事業に乗った経緯について小池さん

―2006年に求人広告事業を始め、アルバイト求人サイトを開設されますが、インターネットという世界で挑戦しようと思った理由と経緯をお聞かせください。

  先ほどのように過信が生んだ苦労もありましたが、ある程度すると飲食業も軌道に乗ってきました。ローコストで出店して比較的短期で投資を改修するモデルが確立できつつあったんです。ただ、本気で2040年までに1兆円企業を目指すならもっとスピードを上げないといけないと思っていて、そのためには資金が必要だと考えるようになりました。

  実はこの考えが、インターネットビジネスへの転換のきっかけになるんですが、当時目標にしていた飲食企業があって、ここが年間150億円位の売上だったんです。でも時価総額は20億円程度でした。いっぽうで当時世間をにぎわせていたネット企業は同じくらいの売上げや利益で、時価総額は8,000億円。最初、表記の間違いかと思ったくらい驚きました。で、ほかにも飲食系の企業とネット企業を比較したんですが、その差は歴然。インターネットの可能性を改めて数字で気づかされました。

  これが2005年の話なのですが、当時からインターネットが世の中を変えていくイメージを強く持っていました。通販がメインになればリアルの店舗は衰退していくし、コンテンツのダウンロードが進めばCD、DVDやゲームもなくなる。ギャンブルもオンラインになり、雑誌や新聞もネットに置き換わる。あらゆるものが、ネットに置き換わっていく過程に、大きなビジネスチャンスがあると確信しました。

  いっぽうで、飲食業で2040年までに1兆円企業が生まれるイメージが沸かなかったんです。ファーストフードは安くて美味しいし、スターバックスコーヒーの提供している体験を自分たちが越えられるイメージもなかったんです。逆にインターネットには非常に大きな可能性を感じました。

  ただ迷いもあって、2005年というタイミングは、ネットビジネスでの起業をするにはすでに出遅れてる感があったんです。なので、もう遅いのかもしれないと感じていました。でもよく考えてみると、自動車産業ではホンダはトヨタより10年以上後で創業して、今の地位を築いているんです。50年、100年という時間軸を意識すると、今の遅れなんて実はすごく小さなものだということに気がつきました。

  何より、何十年後かにインターネットで世の中が大きく変わった時、なんであの時思い切って踏み出さなかったんだろうと感じて後悔するのが嫌だったんですよね。今やらなかったら、絶対そう思う自信がありました(笑)。

  で、思い切ってネットビジネスを始めることにしたんですが、飲食業との両立は難しいと思い、新規の出店はとりやめて既存店をほかのメンバーに任せ、私はネット事業に専念することにしたんです。

自身の感じた問題を解決したいという想いからビジネスが生まれる

トークノート社内

―数あるインターネット事業でも、求人サイトにフォーカスした理由は何ですか?

  まず、インターネットに置き替えることで便利になるものを一通り洗い出しました。アイデアはたくさんあったのですが、やっぱり自身が過去に感じた問題を解決するようなビジネスじゃないと楽しめないなと思い、その観点で絞りこみを行いました。あと、誰かがやりそうなことはやりたくなかったので、そういった事業も外しました。

  その時、自身が一番困っていたのが求人だったんです。
  当時はまだ求人雑誌が主流だったし、ネットの求人サイトも雑誌と同じ料金体系を踏襲していたので、出稿に対して掲載料を払う仕組みだったんです。つまり、採用という目的が達成されてもされなくても料金を支払い、かつ目的が達成されなければまた掲載料を払って広告を継続しなければならず、さらに多くの料金が必要になるという、私にとっては非常に違和感のある構造だったんです。

  間違いなく掲載料無料の成果報酬でやれば求人情報はたくさん集まるはずだし、情報量が増えれば求職者も集まって、数多くのマッチングが生まれるという好循環になっていくと考えました。まさに自分の感じていた問題も解決できて、ビジネスとしての可能性もある事業だったんです。

―なるほど。とはいえ全くの異業種ですから、大変な苦労があったのでは。

  本当に、あらゆることで苦労しました。
  もともと飲食店のスタッフだったメンバーと一緒にスタートしたので、営業資料さえも満足につくれませんでした。それでもメンバーの誰かがやっとの想いでつくった、今思えば全く魅力的でない資料を使って、ひたすら飲食店へ求人情報の掲載の案内のため飛び込み営業をしていました。

  いろいろ苦労はありましたが、そのなかでもシステム開発の苦労に関しては群を抜いています。最初は外注したんですが、事前にこれと同じ機能のサイトをつくって欲しいと依頼したにも関わらず、全く機能を満たしていないサイトが上がってきてしまったんです。

  自社で修正することもできないので外注先に依頼するんですが、そもそもできないから機能を満たしていない状態で納品されているので、全く修正も進みませんでした。機能を満たしていないものにお金は払えないと伝えると、ここまでの作業分は払ってもらわないと困るという話になり、そのやりとりに、関係者全員が日に日に疲弊していきました。

  最終的には自社でエンジニアを採用するしかないと思い、かなりの費用をかけて採用広告を出しましたが、これもうまくいったとは言えない状況でした。そのほかにも、広告やSEO(検索エンジン最適化。検索結果で上位に表示されるように施策を打つこと)もなかなかうまくいかず費用対効果の悪い状況が続いていましたね。

―そのような状況でも続けてこられたことには、何か理由が?

  メンバーに非常に優秀な人が多かったんです。飲食業メインでやっていた時代の実績や知名度があったので、その会社の新規事業ということで、モチベーションも高くて優秀な人材を採用できていたんです。

  ただ、どんなにモチベーションが高くて優秀な人達でも、がんばってもがんばっても成果がでないと社内の空気は悪くなっていきます。そんな状況でも、何か社内の雰囲気を改善するためのコミュニケーションが取れていれば改善していくことはできたのですが、当時は自分にも余裕がなくてそれができていませんでした。よくないことはわかっていたけど、どうすれば改善するのかがわからず、メンバーの疲弊が進んでいってしまったんです。

  そんななか、ある1人のメンバーの退職をきっかっけに一気に20人いた社内が1人を残して全員辞めてしまったんです。売上げは徐々に上がっていたんですが、社内の雰囲気が改善されるにはいたっていなかったんです。そのタイミングでリーマン・ショックが起きて追い打ちをかけられたことも、かなりの痛手でしたね。

  このエピソードを話すと、必ず成果報酬型の求人サイトで成功したリブセンスとの比較になるのですが、実はビジネスモデルはほぼ同じなんです。違うのは、私達がよい組織になれず、優秀な人材が活かされなかったという点だけですね。

―具体的に、どのような点が悪かったと思いますか?

  話すべきことを話せなかったし、聞くべきこと聞けなかったこと。問題意識はありました。サービスの状況や各人のコンディション、私から聞きたいことや伝えたいことは山ほどあったのに、私があまりコミュニケーションが得意じゃないということもあり、うまく状況が把握できなかったんです。

  その後、私のもとには借金だけが残りました。選択肢は自己破産するか、起死回生のメガヒットを出すかの2択でした。正直、もう疲れたから辞めたいな、少し休みたいなとも思ったんです。ただ、今の日本って一度自己破産してしまうと非常に再起が難しい構造になっていて、その選択は、すなわち1兆円企業の夢をあきらめるということになるんです。

  事業アイデアはたくさんありました。でも、求人サイトの失敗はアイデアの問題じゃないと思ったんです。むしろ、事業アイデアはよかったけど、組織づくりに問題があった。原因は「コミュニケーション」だったんです。

  だから、この問題を解決できるツールをつくろうと思いました。それが「Talknote」です。当時、私自身もコミュニケーションを改善するツールを探したのですが、結局見つからず、大きな失敗へと繋がってしまいましたから。

目標を定めれば、少なくとも逆方向に走ってしまうことは避けられる

小池温男さんからメッセージ

―それでは将来について悩む若い人へメッセージをお願いします。

  早めのタイミングで、1つ目標を決められるといいと思います。
  何をするにしても、必ず地道な努力が必要になってくるのですが、目標があればその努力の方向性が定まってくるんですよね。目標そのものが変わることもあるし、回り道もたくさんあるんですが、目標があれば少なくとも逆方向に努力をしてしまうことは避けられますから。
  多くのスポーツ選手だって多少の才能はあったのかもしれませんが、基本的にはほかの人より早く目標を決めて、そこに向かって愚直に努力を積み上げていっただけだと思いますよ。

  目標といっても、そんな大それたものである必要はなくて、自分が好きなものの延長線上にあるものを仕事と繋げてみるといいでしょう。とにかく興味の沸いたことをいろいろ経験して、そのなかで自分が好きかどうかを判断していけばいいと思うんです。

  固く考えると息苦しくなるし、失敗したくないと思うと失敗するので、リラックスして楽しみながらが一番ではないでしょうか。

<トークノート株式会社>
〒106-0032 東京都港区六本木4-8-7 六本木三河台ビル4階
都営大江戸線、東京メトロ銀座線 六本木駅より徒歩約5分

[取材]高橋秀明・真田明日美 [構成・撮影(インタビュー写真)]真田明日美

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