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マッキンゼー退職後は衆院選出馬!そして歯科材料業界へ―「仕事は冒険的であれ」その真意とは

フィード株式会社 小間井俊輔

学生時代から常に勝負の世界に身を置き続けてきたというフィード株式会社代表の小間井俊輔さん。マッキンゼー、再生ファンド、ハンズオン経営者として実績を積むなか、いつしかその目は地域創生の現場に向けられていきます。2012年の衆院選出馬で見えたものは?そして旧態依然の歯科材料業界に、今どう立ち向かうのか?挑戦し続ける小間井さんのキャリアに注目です。

小間井 俊輔(こまい  しゅんすけ)
フィード株式会社 代表取締役

1981年生まれ、石川県金沢市出身。東京大学法学部政治コース卒。大学卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、株式会社企業再生支援機構(政府系企業再生ファンド)へ。同機構において北陸最大のレジャー施設芝政ワールドの短期再生を果たすなど実績を上げる。その後、ハンズオン経営者としてフリーに。2014年4月、フィード株式会社(本社最寄り駅:みなとみらい)代表取締役に就任。短期にて再生フェーズを脱し、現在は成長戦略を指揮。従来の歯科医院向け通販事業を発展させ、歯科業界における総合プラットフォーム化を推進している。広範な顧客基盤を活かして歯科医院向けに通販以外の新事業を開始するなど、枠にとどまらない事業展開をし続けている。

閉鎖硬直的な歯科材料業界に、流通革命とデジタル革命を起こす

フィード歯科材料カタログ

―フィードの事業内容についてご説明をお願いします。

  主力は歯科医院向けの器具・材料のカタログ通販です。歯科医院向けカタログ通販としては業界の草分け的存在で30年の歴史があり、幅広く日本中の歯科医院にご愛顧いただいております。ほかにも歯科技工所や、介護施設・動物病院向けのカタログも取り扱っております。

  業界最大級の品ぞろえを誇り、かつ業界最安値に挑戦しているほか、インターネット回線の卸売や商業印刷、医院内のお掃除サービスなど歯科医院をサポートする業界のプラットフォームとして事業を運営しています。

―歯科材料業界の課題点には、どんなことがありますか?

  歯科医院を器材の面でも情報の面でもサポートすべき歯科材料業界ですが“ムラ社会”のように閉鎖的で、自己防衛に汲々として進化を拒んでいるという点です。 その結果、顧客である歯科医院の利益が軽視され、一般社会では50年前に起きた「流通革命」がこちらではまだ途上です。

  当社では創業時より、国内の不合理な商慣習に背を向け、主に海外商品やオリジナル商品を導入し直販することで活路を開いてまいりましたが、やはり国内メーカーの優れた歯科器材を求めるお客様の声は根強く、何とか、国内の歯科材料流通にも流通革命の波を起こせないか機会をうかがっています。

  最近では昔ながらの地場のディーラーさんでも変わらなければならないという危機意識の高い企業様との提携が進み、その数は100社を超えるに至りました。

―フィードの今後のビジョンについて教えてください。

  業界のルールや慣習と関係なく、「最良の器材と技術でいい治療をしたい」というのが歯医者さん全員の願いです。我々もまた歯医者さんに最良のサービスと商品を届けるのが使命だと思っています。そのためにも、日本の歯科分野だけが他の分野に遅れてしまうということはあってはなりません。

  閉鎖的な歯科業界に風穴を開けて、一般社会から50年遅れになっている流通革命と、20年遅れになっているデジタル革命を歯科業界に起こしたい<ですね。

  歯科医院がもっと身近な存在になり、活用される社会を目指したいと思っています。そのために全国100社のフィード提携ディーラー各社と手を取り合って通販と訪問営業のハイブリッドモデルを展開いたします。

健康は何よりも口腔ケアから!その重要性を浸透させたい

フィード株式会社 代表取締役 小間井俊輔氏

―歯科業界に関わっていて、小間井さんがやりがいに感じることは何ですか?

  肺炎が日本人の死因上位であると話題になっていますが、その原因のひとつが、口腔で発生した細菌だといわれています。特に高齢者や入院患者はセルフケアが行き届かず、口腔状況は一般に悪い。

  また、糖尿病・脳梗塞と歯周病による慢性炎症との因果関係も指摘されており、口腔のケアをきちんとすることによって、患者の入院期間が短縮するという研究結果が出ています。日本社会の抱える医療費削減という大きなテーマの救世主になりうるのは意外にも歯科口腔だということです。

  こういった口腔の健康における重要性は消費者に広く認知されているとは言いがたく、まだまだ過小評価されています。逆に言えば、歯科領域は社会への貢献について大きなポテンシャルを持っていると言えます。そのポテンシャルを実現しようという歯科業界の取り組みをサポートし、実現していくことにやりがいを感じますね。

  そして、経営者としては、合理化が全く進んでいない業界だからこそ、バリューアップと業界再編のチャンスがあると考えています。取り扱っている商品は医療機器なので参入障壁はかなり高い。ですので、長年、蓄積したノウハウを持つ当社だからこそ、様々な形でこの領域でのチャレンジが可能です。その部分でも、非常にやりがいがあると考えています。

―今後の展望に向けて、フィードではどのような人材を求めていますか?

  これまでの業界の構造を変えていくことが目標ですから、タフなハートと体を持った人がいいなと思っています。歯を食いしばって、仕事に食らいつていけるような人が……というとダジャレに聞こえますが(笑)。

  歯科業界の慣習の壁を突き破るためにも、どちらかというと歯科業界にいた人よりも、合理化の進んだ別の流通業界にいて、一般的なデジタル技術を理解している人が望ましいですね。我々にとって、頼もしい存在になるかと思います。

部活動で得た仲間との協力意識、ゼミで培った交渉力が武器になる

フィード小間井俊輔社長

―小間井さんは学生時代までに抱いていた夢はありましたか?

  私の父と姉が新聞記者をしていましたので、漠然と「自分も新聞記者になるんだろうな」と考えていました。ただそれは将来の夢といったものでなく、宿命というか、そういう運命なんだろうという程度です。だから、「こうなりたい」という具体的なイメージは何もありませんでした。

  でも、昔から物を書いたり記録をとることは好きで、起こったことを説明したり報告したりといったことは、ごく自然に身につきましたね。

―東京大学ではボート部に所属されていたそうですね。

  大学のボート部のマネージャーとして、合宿所の運営をしていました。年間300日以上、ずっとそこに寝泊まりしていましたね。ボート部に入るまでは勝負事に熱中する性格ではなく、他人と協力する意識も低かったのですが、目標を持って仲間と全力で取り組むことにやりがいを感じるようになりました。

―ボート部にいて大変だったことや、つらかった想い出はありますか?

  合宿所を建て替える時がありまして、その引越しをする時ですね。練習やレースに支障が出ないよう、練習や食事のスケジュールや選手の体調管理に気を配らなければならず、その点はとても大変でした。

―当時の経験で、今につながっていることはありますか?

  「みんなで一緒に勝つんだ」という気持ちを具現化するために練習の計画を練るわけですが、やはりチーム戦なので強い選手と、力が及ばない選手が出てくるわけです。上級生下級生関係なくそれをはっきりと分けて、熾烈なまでに戦わせて……。いかに競争原理を働かせるか、ということの大切さを学びましたね。

  ボート部の組織改革をされたコーチの方に対してとても鮮烈な印象を持っていて、憧れていました。その方は外資系企業のコンサルタントをしていて、それから外資系コンサルという職業を知りました。

―そのコーチの方の、どういったところに憧れていましたか?

  クレバーで野心的な方でしたが、それでいて人間的な温かさを持っていたところですね。普通だったら恨まれそうなほどつらい練習をさせながらも、明るく、楽しく合宿生活ができるような雰囲気をつくれる方でした。

―新卒で外資系コンサル企業であるマッキンゼーに入社されたのも、その方の影響からですか?

  そうですね。でもそのコーチはマッキンゼー出身ではありません。コーチと一緒の会社は受けない!と決めていたのです。おかげでマッキンゼーに入ることが出来ました(笑)。

  就職活動中は、よく情報収集したうえで、採用する側がどういう人材を採用したいと考えているのか?を意識して行っていました。コンサルになってそのあと何がしたいか、という展望は特に持っていませんでしたね。

―ボート部を運営しながら就職活動をしていたのでしょうか?

  いえ、きちんと留年しました(笑)。引退するころには、すでに就職活動期間が終わっていて。ずっと合宿所にこもりきりでしたので引退してからようやく学生らしいことをやろうと思い、バイトやゼミをやり始めました。

  バイトは、厳しいと言われるホテルの配膳をやりましたが、長続きしませんでしたね(笑)。それよりもゼミがすごく良かったと思っています。法学部でしたが法律のゼミではなく、契約書をもとに企業間の模擬交渉を行う大学対抗のコンペに参加できるゼミに入りました。その年に東大の代表チームで、優勝しました。

  この時に培った企業を代表して交渉する手法は、マッキンゼーを退社した後にいろんな企業の経営や会社のトップの立場になってから、とても活きてきましたね。

マッキンゼーを経て、衆議院選挙に出馬。そこで得たものとは?

マッキンゼーと衆院選時代について語る小間井俊輔氏

―マッキンゼーには4年間勤めていらっしゃいますが、そこではどのようなキャリアが身につきましたか?

  基本動作として情報を集め、整理・分類し、さらにそこから意味合いを出す……という一連の考え方と行動ですね。一言で言うとさらっとしていますが、それでも身につくまで4年まるまるかかりました。さらにその先のより高等なコンサル業務は学べず残念でしたね。

  マッキンゼーは実力主義の自由な社風があってとても鍛えられましたが、ある時から失敗してはならないというプレッシャーを自分の中で高め過ぎてしまいまして。言動が段々と保守的になり、悪い循環に入って退職しました。

―マッキンゼーを退社したあとは、先ほどお話にあった企業再生支援機構に転職されていますね。

  在職中に地方企業・中小企業の事業再生に関わる機会があって、それ以来、関心を持っていました。そこで政府系の再生ファンドである企業再生支援機構に転職をしたのです。

  いろんな地方の会社を見て回りました。マッキンゼーの時よりも対象会社の規模がぐっと小さくなったことで、今までよりも企業や経営を全体的に理解することができるようになりました。特に、会社ごとのステージや、法務や会計といった別の軸を理解して、コンサルでやっていた領域の位置づけを相対視できたのがよかったと思っています。

  コンサルからキャリアをスタートしたので、コンサルの仕事の領域がビジネスの全てをカバーしているように錯覚していましたが、弁護士さん、会計士さん、投資のプロの方とチームを組んで、そのなかで自分の役割を見出すことに大きな学びがありました。

―それから、2012年の衆議院選挙にご出馬されていますね。

  再生機構時代の後半で地方企業に現地駐在するようになり、現場での企業経営、いわゆる「ハンズオン」業務ですが、それをするなかで、国と地方のあり方について問題意識が高まってきました。

  また、先送りにされていた企業の債務整理や再建をする中で、今この時になんとかしないといけないという気持ちが強くなり、地元の金沢から衆院選に出馬しました。

―衆院選に出馬となると職を失うリスクも伴いますが、そういった不安はありませんでしたか?

  あまり考えていませんでした。それよりも使命感にあふれていましたね。国の財政や「先送り」型の決定ばかりなことにずっと危機感を持っていましたから。

  いっぽうで、国が借金をしてまで平和な日本社会を維持し育ててもらったのは自分たちの世代ですから、そのツケ払いをしなければならないという世代的な責任というのを感じていました。

―残念ながら落選となってしまいましたが、出馬前後で自分のなかで変わったことはありますか?

  このころは様々な町や村に行きたくさんの方とお話ししました。そこに住んでいる人々の「当たり前」の暮らしを目の当たりにすることで、以前よりもはるかに人間生活への洞察力や想像力が深まったと思っています。

  この街の人々は何を求めているのか、どういう発想をするのか……僕は高校を卒業してすぐに上京してそのまま東京に就職してしまいましたので、地域のコミュニティーというものをよく理解しないままでしたから。

  今の仕事のお客さんである歯医者さんは極めてローカルな存在で地域のコミュニティーの重要要素です。選挙で鍛えていますので、そういうところに飛び込んで営業をするというのは非常に得意ですね。

―フィードにはどのような経緯で入社されたのですか?

  選挙が終わったあとは、しばらく修業期間と思って尊敬するビジネスリーダーのもとで再び見習いの仕事をしていました。しかしある時、フィードの再生担当の取締役としてヘッドハンティングされたのです。

  本当の意味で企業に入り込んだハンズオンをできる若手の人材は少ないので、ほかにもキャリアの選択肢がありましたが、フィードに入る前年に父親を口腔の病気で亡くしていたことから因縁を感じて、フィードに行くことを決めたんです。

  再生ファンドでの経験もあって、1年目で収益性を高めることができ、2年目から成長戦略の立案と実行を託されて代表取締役になりました。

  未知の業界でしたが、最初に少しお話ししたように、口腔の病気は馬鹿にできないと父の死をもって実感していたんです。ですから、フィードに入ったのはある意味、口腔の病へのリベンジともいえますね。

仕事はエキサイティングであれ。挑戦し続けられる環境を選んでほしい

フィード小間井俊輔代表

―小間井さんにとって“仕事”とは何でしょうか?

  選挙に落選して無職になった時には、家族と生活をしていくために切実に仕事を求めました。しかし、ひとたび仕事を得る経験をすると「必死になれば生活ができないわけがないのだから、仕事は徹底的に冒険的であるべきだ」という発想に変わりました。せっかく真剣になって人生の時間を使うのだから、常にエキサイトメントを求めようと。

  仕事とは社会とのつながりであり、そこから収入を得るだけでなく、社会を変革する機会でもあると考えています。「こうなったらおもしろいな」と思うことを今の仕事で実現していき、社会をよりよくしたいと考えています。

―最後に、大学生をはじめとする若い人にメッセージをお願いします。

  どのような仕事であれ、自分に対する信頼を失えば、そこで歩みは止まってしまうし、チームのための仕事もできません。マッキンゼーにいた時もそうでしたが、リスクを取るのを恐れ、「できないんじゃないか」と思った時点で、自分は何者にもならなくなってしまいます。

  だから、落ち込みやすい人は励ましてくれる環境を選び、自信を強く持てる人は挑戦を受け続ける環境を選びましょう。とにかく前進し続け、自信を得てもおごることなく、常に周りの仲間を励ますような存在を目指してほしいと思います。

フィードとみなとみらい <フィード株式会社>
東京本社
〒220-6119 横浜市西区みなとみらい2-3-3 クイーンズタワーB 19階
みなとみらい線 みなとみらい駅直結 徒歩約5分

[取材・執筆・構成・撮影(インタビュー写真)]真田明日美

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