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苦手なことにも積極的にチャレンジを
― つらい経験も高いハードルを越えるためのエネルギー ―

株式会社インクルーズ 山崎健司
山崎健司(やまざき  けんじ)
株式会社インクルーズ 代表取締役社長

1974年東京都生まれ。1997年株式会社USEN入社。2001年USENでの担当事業を株式会社ユーズモバイル(現・サミーネットワークス)として分社化し創業。2004年、株式会社メンバーズのモバイル事業の責任者を経て、2008年、株式会社インクルーズに入社。専務取締役COOを経て、2014年2月から現職。

アルバイトで事業の仕組み化を学んだことが、今に活きている

インクルーズロゴと山崎健司社長

―まずは、インクルーズの事業内容について教えてください。

  コンテンツ事業とゲーム事業を展開しています。コンテンツ事業は、きせかえコンテンツである「きせかえ×キセカエ」や電子コミックを中心に、新規事業としてLINEのクリエイターズスタンプを制作しています。LINEのクリエイターズスタンプに関しては、きせかえコンテンツを担当していたデザイナーから「オリジナルのキャラクターでチャレンジしてみたい」という要望がきっかけでスタートしました。おかげさまで、第一弾の「面倒だがトリあえず返信」が大ヒットしたので、このスタンプの続編はもちろん、今後さらにLINEクリエイターズスタンプには力を入れていこうと思っています。最近では芸能人の方が描いたスタンプが流行っているので、そこにも参入していきます。

―山崎さんは学生時代、どんなふうに過ごされていましたか?

  僕は音楽が好きだったので、クラブイベントを主催していました。当時は、実際のクラブを借りて、DJを呼んでイベントをするというのが流行っていたんですよ。それで、音楽好きな仲間たちと一緒に50名くらいが集まるような小規模なイベントを企画して、開催していました。

―アルバイトをされていたこともありますか?

  バイトはいろいろしましたね。古着屋さんで販売員をやったりとか、中古CDショップで働いたりとか。ブックオフでアルバイトをしたこともあります。今や大手の古本屋ですが、当時、ブックオフはまだ店舗が3店舗くらいしかなく、僕はブックオフ初の大型店舗だった町田店でバイトをしていました。そこでは意欲があればチャレンジさせてもらえる風土があって、時給も上がりましたから(笑)、僕もどんどん手を挙げて、店長代理のような仕事をさせてもらったんです。僕はそこでCD買取の仕組みづくりを任されました。具体的にはCD買取価格のルールづくりと、販売価格の仕組み化です。のちに店舗数もどんどん増えたので、今ではもっと洗練されていると思いますが(笑)、それがマニュアル化されて各店舗に広がっていきました。

  こうした、ひとつの仕組みをつくって、スケーラブル(拡張的に適応させていく)にやっていった経験は、今の仕事にも活きているかなと思っています。仕事というのも、事業をやって、仕組みをつくって……の繰り返しですからね。

モバイルビジネスに関わるきっかけは音楽配信

株式会社Increws山崎社長語る

―山崎さんの経歴を拝見すると、かなり前からモバイル事業に携わってこられていますが、昔から携帯電話事業に興味はあったのですか?

  昔はまったく興味がありませんでした。音楽に関わる仕事がしたい、という気持ちだけで大学卒業後はUSENに入社したんです。番組制作を希望していたんですが、最初は、営業からスタートして、実際に番組制作に関われたのは入社2年目のときでした。その後、3年目にあたる2000年には音楽配信というビジネスが伸び始めていたタイミングだったので、その流れでガラケーのカラオケ配信やアーティスト情報配信などのモバイルコンテンツに関わるようになりました。

―番組制作に関わっていたときは、どのような業務を担当されていたのでしょう?

  渋谷でカフェの経営をしている音楽プロデューサーの橋本徹さんが、カフェで流す音楽を選曲するという番組と連携し、着メロを配信したり、インターネット配信と連携した音楽番組のディクレターをしていました。また、それとは別に、当時はまだインターネットで音楽を配信するという文化がなかったので、JASRAC(日本音楽著作権協会)と大手レコード会社やカラオケ会社と団体を作り、著作権料の料率を決めるといったことにも関わっていました。

  実際に番組制作に関わっていた期間は、すごく短かったんですよね。6ヶ月くらいだったと思います。そのあと、すぐに無料動画サイト「GyaO(ギャオ)」(のちにYahoo!動画と統合され、現在は「GYAO!」としてYahoo! JAPANが運営)の立ち上げメンバーに選ばれたんです。僕は営業の経験もあるし、ネットの音楽配信にも詳しかったということで。ちょうど、USENの社長が2代目に代わるという激動のタイミングでした。

―のちに、担当事業がユーズモバイルとして分社化します。これにはどのような経緯があったんですか?

  僕は「GyaO」でカラオケチャンネルを担当していたんですが、そこを充実させるために、日光堂(のちにBMBに社名変更し、現在はエクシング)という通信カラオケを運営している会社を買収しました。カラオケの会社はいくつもあったんですが、どこも子会社などで着メロを配信していたんです。USENは残念ながら後発だったので、ガラケーでカラオケの練習ができたり、アーティストからの情報をリアルタイムで受け取れるようなサービスをつくってみたいと思い、モバイルコンテンツ事業部の立ち上げを希望しました。結果、これは本当に感謝しかないのですが、新卒4年目で、モバイルコンテンツ事業の立ち上げを事業責任者として任せていただき、約半年で、月商も数千万円を超えました。そのタイミングで、僕が担当していたカラオケサービスとアーティスト情報サービスと、買収した日光堂の着メロ事業を合わせてつくった会社が、ユーズモバイルですね。

大きな可能性を持ったモバイル広告にチャレンジ

インクルーズ山崎健司代表取締役社長

―その後、転職したメンバーズでも、引き続きモバイル事業を担当されていますね。

  そうですね。たしか2004年くらいだったと思うんですけど、ちょうどモバイル広告が伸びると言われていた時代で、マーケットとしてはだいたい100億くらいあったんですね。まだ市場としては大きくもないし、圧倒的に強い競合もいないから、チャンスがあると感じていたんです。

  「じゃあ、どうしようか」となったときに、結局、メディアの役割というのは「伝える」ことだと考えたんです。当時、伝える手段の主流といえばメール。そのころみんなキャリアメールを使っていましたよね。なので、キャリアのメールアドレスを情報として持っている大手企業に営業して、通常のメールマガジンに広告枠をつけて販売すれば、日本でトップクラスのメディアがつくれると思ったんです。結果的に、入社して1年後には200万人くらいのメールメディアをつくることができ、メンバーズが上場したタイミングでは新規事業としても大きな売上貢献ができました。しかし、それからやってみてすごく勉強になったことですが……広告ってどんどん摩耗していくんですよ。結果的に広告効果が落ちてきてしまったんです。

―同じような広告商品もどんどん出てきた、ということですよね。

  そうです。メールマガジンを配信する企業が一気に増えこともあって、そのころからユーザーがメールをブロックするようになったんですよ。しっかりとしたドメインから届くメールもみんなブロックされちゃうんです(笑)。メールそのものに対してセンシティブになってしまったという。そういった背景もあって、2年間くらいは売上も非常によかったのですが、それからはなかなか難しかったですね。

スピード感を増す業界のなかで、勝負できる場所を発見し続ける

挑戦し続ける山崎健司さん

―こういったさまざまな経験を経て、インクルーズに転職されます。そのきっかけは?

  当時、インクルーズは創業から7年くらい経っていたんですが、業績が行き詰まっていて、経営方針を大きく変えなければいけないという状況でした。会社としては厳しい時期でしたけど、立て直しのタイミングに加われるのは、おもしろそうだなと感じて転職をしました。

―あえて、その状況を前提として入社されたということですね。

  そういうことです。ただ、思ったより展開が早くて。僕が入ったのは2008年の1月でしたけど、3月には創業の経営陣が全員入れ替わったんです。入社時の経営陣が退任後、僕は専務取締役COOを任されたので、そこからまずはコストを削減することから着手しましたね。子会社を整理したり、オフィスを移転したり、サーバー代を見直したり。それにプラスして、大型運営案件を受注したり、新規事業を立ち上げることで売り上げを伸ばして、何とか会社を軌道に乗せました。

―長年モバイルビジネスに関わっていらっしゃいますが、モバイルビジネスのおもしろさはどんな点にありますか?

  やはりスケーラブルなところだと思っています。1対1の関係性ではなく、1に対して可能性が大きく広がることがある、というような。たとえば、うちでいうと、「進撃の巨人」や「ハローキティ」のきせかえを提供していますが、ひとつのサービスに対して100万ダウンロードされて、売り上げがどんどん伸びていくという可能性がありますよね。そこが一番おもしろいかなと思います。

  逆に難しいところというのは、ITのスピードがどんどん加速していることですかね。昔はIT関連技術がすごい速さで進歩していくことを“ドッグイヤー”(犬の成長が人間と比べて速いことから、技術進化を犬の成長に例えた語)なんていう言葉で表現していたんですけど、今はそれ以上に速いですよね。なので、毎年のように新規事業をつくらなくちゃいけない……そこがつらいところではありますね。当然ですが、新規事業もただつくればいいわけじゃなく、3本仕込んで1本当てるようなサイクルにしていかないと、会社が継続できないので。

―これまでいろんな企画を生み出されていますよね。そういった企画はどんなところに焦点を当てて考えられているのでしょう?

  過去に所属していたような、上場していて資金力がある会社にいるときは、勝てば圧倒的な売上が見込める市場に突っ込んでいきましたし、逆に今のように未上場で比較的規模の小さな会社の場合は、競合は少ないけれど、伸びる可能性のあるところを狙っていきます。きせかえコンテンツもそうだったんですよ。うちがサービスを始めようと思ったときは、すでに先行で参入していた上場会社がきせかえ市場への注力をやめようかなという雰囲気があったときで。そこに入って行ったんです。それで、今は業界でもTOP3のポジションにいられるので。本当に参入のタイミングは大事だと思います。

  市場がガラケーからスマートフォンにシフトするときも、うちと同じようなコンテンツプロバイダ会社は、移行が遅れてしまったところが多いんですよね。でも、そういったなかで、うちは一番初めのタイミングでスマホ版をリリースしたんです。そうしたら、他社のきせかえ会員がしっかり流れてきてくれたし、新規で獲得することもできたんですよね。スマホユーザーのほとんどが「App Store」や「Google Play」からアプリをダウンロードしていると思われているようですが、「dメニュー」や「AU one」というキャリアのポータルサイトを使う人も多いんです。おそらくガラケー時代と同様で、800万~900万人くらい。そういうところもしっかりフォローすることで、よりスムーズに会員の獲得をすることができました。

―タイミングといえば、LINE Creators Marketへの参入もいいタイミングでしたもんね。クリエイターズスタンプの案はどんなふうに生まれたんですか?

  LINEのスタンプに関しては、うちに制作部門が2つあるので、それぞれに案出しをさせて競ってもらったんです。A案とB案があって、僕はB案が当たると思っていたんですよ。でも、実際にヒットしたのはA案だったので……スタンプについては、今後はもう僕は何も言わずに、みんなに任せようと思っています(笑)。

変化することをネガティブに捉えずに楽しみたい

インクルーズ社内と山崎社長

―そのLINEスタンプ事業も含まれるとは思いますが、改めて、インクルーズの今後のビジョンについて教えてください。

  今後、一番力を入れたいのは、海外展開ですね。タイやマレーシアに行ってみるとわかるんですが、デジタルコンテンツに関しては、10年前の日本と同じような勢いがあるんです。もっともマーケットが大きいのはタイなんですが、じつはもう、タイで一番契約数の多い携帯通信キャリアとは2014年夏に提携が完了していて。そこのきせかえポータルサイトをインクルーズが手掛けることになっています。タイは世界で2番目にLINEスタンプが売れていますのでそういったキャラクター系との相性もよさそうですし、期待していますね。タイを皮切りに、マレーシア、台湾、ベトナムを攻めていこうと思っています。

―山崎さんが働くうえで大切にされているのはどんなことですか?

  ここ3年くらいがとくにそうなんですけど、IT業界は変化が大きいんです。変化って結構、ネガティブな意味で使われることもあると思うんですけど、僕はその変化を楽しもうとしています。IT業界は社員の移籍のスピードも速いので、3年で社員が全員変わってしまうなんてこともあるんですよ。正直、悲しいですし、会社としてきついことではあるんですけど、そういった状況も楽しもうと。メジャーリーグのチームの監督だと思うようにしています(笑)。毎年のようにメンバーは変わるけど、新しい戦力も来てくれるという意味で。

―最後に、就職活動や今就いている仕事について悩んでいる人にメッセージをお願いします。

  できるだけ学生のうちに、いろんな仕事を経験しておくといいと思います。自分が苦手だと思う仕事にもチャレンジしてみてほしいですね。ただの思い込みということもあるので。学生のうちは、たくさん失敗もしていいと思います。意識的に大変そうな仕事をするのもいいかもしれませんね。ハードな仕事を経験しておくと、その後、高いハードルが現れても越えて行けると思います。ぜひ、積極的に挑戦してみてください。

[取材] 高橋秀明、渡辺千恵 [執筆/撮影(インタビュー写真)] 渡辺千恵

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