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ヘルスケア業界から水産業への転換!フーディソン山本氏の考える“幸せになる”ためのキャリア論

株式会社フーディソン 山本徹
山本 徹(やまもと  とおる)
株式会社フーディソン 代表取締役CEO

1978年生まれ。北海道大学工学部卒業後、2001年4月、株式会社ゴールドクレストに営業職として入社。1年後に退社後、合資会社であったエス・エム・エスに入社し、2003年4月に株式会社化を機に取締役に就任、マザーズ上場を果たす。退社後、ある出会いをきっかけに水産業界の現状に危機感を覚え、2013年4月、株式会社フーディソン(最寄り駅:勝どき)を創設、代表取締役に就任。飲食店限定の鮮魚発注サービス『魚ポチ』や鮮魚店『sakana bacca』の運営など、水産業界の活性化、水産流通のプラットフォーム化に向けて事業拡大を続けている。

水産流通をITの力で活性化! 旬で新鮮な魚を全国へ

魚ポチ

―フーディソンの事業内容についてご説明をお願いします。

  ひとつは水産流通のプラットフォームの構築です。既存の水産業界の流通をIT化することで、情報の促進を目指しています。

  ほか、築地市場の魚をスマホやパソコンから発注でき『魚(うお)ポチ』の運営や、武蔵小山中目黒都立大学梅ヶ丘戸越公園に『sakana bacca(サカナバッカ)』という魚屋を5店舗運営しています。

  これまで日本の水産流通は業界に携わる人同士の“意思の疎通”で成り立つほど、アナログでも非常に高いレベルに昇華されたビジネスでしたので、流通に劇的な変化はありませんでした。もとより水産物は自然に左右されやすく、データ化がしにくい商材ですので、良くも悪くも、IT化の波を受けにくかったんです。

  しかしIT化することによって解決できる問題や、アナログでは限界だった部分を進化させることが可能です。全国の美味しい旬の魚を適正な価格で安定的に、新鮮な状態で流通させることができるよう、我々でITインフラの構築化を目指しています。

―山本さんが考える、水産業の魅力を教えてください。

  魚は私たちにとって身近な食べ物ですよね。自分自身がお客様の立場になって、俯瞰的に業界を見ることができますし、身近なテーマを事業にしていられることの楽しさ、手触り感は、ほかの業種では味わえないことかもしれません。

  そして、国内だけで13兆円という大規模なマーケットがあること。それに対し、競合が少ないことです。述べましたとおり、ITの参入がしにくかった領域でしたので、これから参入する部分において非常に大きな昂揚感が得られる余地があります。

―数多くの事業展開をしているフーディソンですが、今後求める人物像といえば?

  人として誠実であることはもちろん、この業界でがんばれる理由がある方、自分で成し遂げたいという想いを持っている方がいいですね。

  特に弊社は「世界の食をもっと楽しく」をミッションとしておりますので、そのビジョンに共感して下さることが前提です。

バイト先のマスターの姿に感銘を受けて“人間力”の大切さを知る

株式会社フーディソン代表取締役CEO 山本徹氏

―山本さんが学生時代までになりたかった職業は何ですか?

  高校時代までは弁護士や医者とか……単純に有名な職業に憧れていました(笑)。

―お生まれは埼玉県で、北海道大学に入学されています。何故北大を受験したのですか?

  東京のような、人が多いところが好きじゃないというのもありますけれど(笑)北大を受けたのは当時、航空宇宙に憧れていたという理由があり、工学部に行くことを選びました。でもそれも思いつきみたいなもので……人生ってわからないものですよね(笑)。

―アルバイトなど、大学時代に注力していたことを教えてください。

  アルバイトはガソリンスタンドやホテルの会場設営など、単発のバイトを中心にやっていました。そのなかでも一番長く続けたのは、定食屋のバイトですね。

  そこの定食屋のマスターは札幌で20店舗ほど焼肉屋のチェーン店を営むほか、不動産業も手がけていました。しかしBSE(狂牛病)問題の影響を受けて焼肉屋をすべて閉店させなければならず、1億円もの借金を抱えてしまったんです。

  マスターはその時67歳。普通だったら絶望のどん底で生きる希望を失いかける状況ですが、マスターはその巨額の借金を、きちんと完済したんですよ。「生きる力がとても強い人だな」と、とても憧れました。

―新卒で、不動産デベロッパーであるゴールドクレストを選んだのは、その方の影響からですか?

  そうですね。でも特別、不動産業がよかったというよりも、できるだけ厳しい環境に身を置いて、自己成長したいという想いが強くありました。生き延びるためには何よりも、自身の“人間力”が大事だと、そのマスターに教えられましたので。
  そのためにも、ゴールドクレストでは自分自身が鍛えられそうな営業職を選びました。

―実際に入社されてみて、いかがでしたか?

  とにかく厳しい会社でしたね……就職活動ではゴールドクレストと大手商社の2社だけ受けて両方通りましたので、「自分、イケてるんじゃないか?」くらいに思っていたんですが、その鼻っ柱を見事にへし折られました(笑)。この時にずいぶん鍛えられたので、大抵のことはしんどくなくなりましたね。

転職先で自己実現は果たしたものの、その先の未来を見出せず……

フーディソン山本徹社長

―ゴールドクレストを退職後、エス・エム・エスへ入社した経緯をお聞かせください。

  もともとエス・エム・エスは諸藤(※1)と、田口(※2)の2人が、これからやってくる高齢化社会を見据え「老人ホームの情報を集約するサービスをつくろう」と、合資会社として立ち上げた会社です。

  諸藤とはゴールドクレストで出会いました。それはちょうど、エス・エム・エスが販売代理物件を受託したタイミングでして。そこで私が入社することになったんです。

※1 諸藤周平[もろふじ しゅうへい]氏/現Reapra PTE.LTD. Founder and CEO、Coent Venture Partners CEO & Founder ※2 田口茂樹[たぐち しげき]氏/現JapanTagchiConstruction会長

―その後、山本さんはエス・エム・エスをマザーズ上場までに成長させますが、退社して異業種の水産業に足を踏み入れようと思ったのはなぜでしょうか?

  前職のゴールドクレストを辞めた時、私の心には「事業や会社は何でもいいから、自己実現がしたい」という想いがありました。

  退職して運よくエス・エム・エス参画のお話しをいただき、諸藤たちと一緒にやっていくなか、上場までいく成果を上げ、自己実現は果たせました。でも、それから先のことを考えていなかったんです。

  「ここで、自分は何をしたいのだろう?ヘルスケアや高齢化社会へ、自分は何かしたいのだろうか?」と、実は“成したい世界観”というのを何も持たず、空虚な状態になっていることに、ある日気づいて。

  待遇もいいし、居心地のいい場所ではありました。でもお金はあってもそれを持てあますほど、仕事への情熱がもはやない状態。ただ生きているだけで、全然活き活きとできなくて。非常に不幸なサイクルに陥っていました。

  「幸せになりたい」。単純に、そう思いました。そこでエス・エム・エスを辞め、自分が主体的に、向き合える事業を探そうと考えたんです。

―会社を辞めたのは、そこで自分が本来やりたいことを見出せなかったためなのですね。

  そうですね。でも辞めた後、ものすごく「誰からも必要とされていない」と社会から取り残された気持ちに襲われました。自分が辞めたところで、世の中って何も変わらないなぁ……と。
  でもそれは同時に「社会との接点を持ちたい」という願いなんですよね。自分の存在価値を認めてもらえる場所が欲しくなったんです。

  それで思ったのが、その場所をつくるための手段のひとつが“起業”であって、会社が存在していい理由をつくるのが“ミッション”で、“理念”なのだと。そしてそれを実現させる手段が“事業”である。そう思い至ったんですね。

  社会と接点を持つということは、世の中に受け入れられてもらえるようなミッションを持った会社をつくること。ただ「私たちはがっぽり儲けます」という理念を掲げる会社を、社会は良しとしないでしょうからね。成したい想いを明確にしたうえで、そこに至る手段として起業し、事業をするのが正しいわけで。そこで初めて、人は居場所を持つことができると。そう、再認識できたんです。

  こうした今まで持ったことのない問題意識を持てたことが、フーディソンを起業するひとつの原動力になりました。

水産業界の現実を知って―“幸せになる”ための起業

フーディソン起業について山本徹氏語る

―フーディソンを起業するまでは何をされていたのでしょうか?

  個人事業で物販をやったりなど、いろいろですね。2012年の12月末までには自分が生涯をかけてやりたいテーマを決めようと考え、出会いを求め、いろんなところに行きました。

  そうするなかで、岩手県のとあるサンマ漁師さんと出会いました。その漁師さんから、衝撃的な話を聞いたんです。「サンマの値下がりが止まらず、1kg10円にしかならない。船の燃料代も出ないほどだ。子どもに、この仕事は絶対に継がせたくない」

  私はそれまで全く水産業界について知りませんでしたから、「今の日本の水産業は、一体どうなっているんだろう?」と疑問に思って調べてみたんです。

  水産業は実は巨大なマーケットで、IT化はまだされていない。もし、IT化によって多くの漁師さんたちが感じている問題が解決されれば、この業界に大きな進歩が生まれるはずだ――それなら、自分が人生をかけて、そこにいる意味があると確信しまして。それが、この業界で起業を決めたきっかけですね。

―実際に立ち上げてみて、予想外なことはありましたか?

  概ね計画している通りになっています。私自身、今から10年後までの自分の姿を書いた「人生計画」というのを立てていて、それをエクセル表にまとめています。フーディソンのことも、ほとんど書いた通りになっていますね。

―10年後まで書いた計画表ですか、おもしろいですね! 具体的にどんなことを書いているんですか?

  1年後、2年後、5年後、10年後ごとに、経済・健康・家族・人脈……とカテゴリをつくって分けて書いています。たとえば5年後の「家族」の部分ですと、「家族とオリンピックを見に行く」とか、「健康」だと「フルマラソンに参加する」とか。健康面だと「歯の定期検診を続ける」とか……結構具体的です(笑)。いつでも見られるようにデスクトップに保存していて、ちょっとずつ更新もしています。

  結局“幸せになる”ことが人生の目的ですから「幸せになるために何をするのか」ということがポイントですね。この計画表のことはいろんな人に言ってるんですが、書いていると本当に書いてある通りになりますから。オススメです。

自分から目を背けずに、自分と向き合うことで、人は初めて成長できる

フーディソン起業について山本徹氏語る

―山本さんが仕事をするうえで最も大切にしていることといえば、“幸せになること”に尽きますか?

  そうですね。幸せになるために仕事をしていますし、幸せになるために家族と一緒にいます。それは従業員にも、そしてお客様にも幸せになってもらう、という考え方につながってきますから。自分にとってはすごくシンプルな行動原理、原則ですね。

―2回の起業を経験されている山本さんから、起業に関してアドバイスはありますか?

  昔に比べると、ハードルがめちゃくちゃ下がっていると思います。ですから、いっぱい失敗してもいいから、どんどん打席に立って、手数を打ち、経験してほしいですね。

  それと、これからは「将来、こういう社会にしていきたい」という、自分の方向性をしっかり示せる人が強いと思っています。私がフーディソンを創業してここまで来れたのも「こういう社会を目指そう」といえたことに尽きるからです。

―この記事を読んでいる学生の方にメッセージをお願いします。

  自分自身としっかり向き合って、自分自身を知ってほしいと思います。
  世の中には楽しいことがたくさんあるから、無理して自分と向き合わなくても済んじゃうことが多い。でも、自分はイケてると思ってもダメな時って、たくさんありますよね。つまりそれは、現状をきちんと把握せず、自分を客観的に見れていないからなんですよ。それだと何かあっても正しい判断ができず、解決につながらないですよね。本当の自分を知ることで、初めて人は成長できるんです。

  自分が抱えた疑問というのはほとんどの場合、自分の中に答えがあります。まず自分で答えを出してみましょう。そしてその答えの精度を上げたい時に、先輩を使うといいですよ。自分をよく知ることが、大事ですね。

sakana bacca サカナバッカ <株式会社フーディソン>
東京本社
〒104-0054 東京都中央区勝どき3-3-7 ケンメディアビル5階
都営大江戸線 勝どき駅より徒歩約5分

[取材・執筆・構成・撮影(インタビュー写真)]真田明日美

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