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欲望には忠実に生きる!『Wemake』エイス山田歩氏による、200年先の価値のつくり方

株式会社A 山田歩

各所から生まれる“モノづくり”の小さな芽を育て、商品化を目指すプラットフォーム『Wemake[ウィーメイク]』。その運営会社である株式会社A[エイス]代表のひとり・山田歩さんは理工学部出身で「鳥人間コンテスト選手権」にも出場、学生起業も経験しています。真の熱意とは何か?価値を生み出すとは何か――若き社長の言葉に、自分を活かすヒントを発見!

山田 歩(やまだ あゆむ)
株式会社A(エイス) 代表取締役

1988年東京都生まれ、茨城県育ち。早稲田大学理工学部卒。幼いころからモノづくりに興味を示し、大学時代には「鳥人間コンテスト選手権」に出場、人力飛行機の制作に打ち込む。2011年5月、世田谷区に日本初のテックショップを設立するも頓挫。2012年4月、株式会社A(最寄り駅:赤坂)を創業、代表取締役となる。2013年11月13日にモノづくりのクラウドソーシングサービス『Wemake』をリリース。Aの共同創業者で同じく代表取締役ある大川浩基 [おおかわ ひろき] 氏とは、中学・高校の同級生。

企画から商品化まで、誰でも参加できる!新しい“モノづくり”の形

Wemakeとは

―A(以下、エイス)の事業内容について教えてください。

  『Wemake[ウィーメイク]』というモノづくりのクラウドプラットフォームを運営しています。メーカー、デザイナー、プロアマ問わず、学生さんでも主婦の方でも、すべてのユーザーが企画から商品化までアイデアを出し合い、新商品をつくりあげていくことができるサービスです。

  具体的には、メーカーさんと弊社で設定したテーマについてコンペを開き、それにクリエイターさんがコンセプトを投稿します。それに対してユーザー(消費者)が「これは欲しい」「ここは改善すべき」といったように評価して、メーカーさんとも話し合いながらブラッシュアップを続け、商品化を目指します。

  普通、クラウドソーシングというのはメーカー側が「これをつくりたい」と具体的な用件をあらかじめ決めて依頼を投げるものですが、『Wemake』では商品コンセプトを決める段階から、オンラインオフライン関係なく、密接に意見交換ができます。

  無事に商品が発売されれば、商品化に貢献したユーザーすべてに、売上げから貢献度に応じた報酬が支払われます。そういった収益分配制度も大きな特徴です。

  企画開発の段階からメーカーさんと一緒につくりあげるので、そのメーカーやブランドに対してユーザーが愛着を持ってくださったり、そのメーカーのファンとして育っていく、というのも特徴のひとつですね。

―『Wemake』から実際に商品化されたものを教えてください。

  王子製紙さんと一緒に実施した「オープンデザインを活用した新しい段ボール家具」をテーマにしたプロジェクトで生まれた商品で、靴を飾るように置くことができる段ボール製の収納棚です。

  70以上のコンセプトアイデアのなかから選ばれたもので、商品化決定後も改善が重ねられ、無事発売に至りました。『Wemake』から誕生した商品第一号です。

―山田さんがやりがいに感じる瞬間はどんな時ですか?

  我々のサービスのミッションである、問題を解決したり欲望を充たすためにやりたいことがある時、独りで実現を目指すのではなく、世界中の仲間と組織や国籍、個人や企業、職種などの壁を超えてコラボレーションしあい、それぞれがお互いの得意で、不得意を補いあうことで、いいものを早く世に出すというモノづくりが少しでも達成できたときにやりがいを感じます。

株式会社エイス代表取締役 山田歩さん

―今、課題としている点は何ですか?

  運営コストの削減と効率化が課題です。それによって浮いた時間を、コミュニティメンバーの皆さんがもっと『Wemake』を楽しめたり、便利に使いやすいような体験を実現することに集中していきたいですね。

―そういった面でもゆくゆくは人材面の強化が必要になってくるかと思いますが、理想の人材像はありますか?

  我々はまだ社員5名のスタートアップですので、日々お客様との接点で起こる自社にかかわるどんなことでも“自分事”として捉え、自分で考えて動ける人ですね。

  社会人になればいろいろ仕事を振られることもありますが、それを「自分の責任じゃないし、言われたことだけやっていればいいや」と思わず、自分が責任者ならどうする?という考え方を徹底することは視野を拡げると思います。

  自分がプロジェクトリーダーだ、という自覚のもと、どれだけ仕事に責任を持つことができるか。その意識が重要だと思っています。

世界にインパクトを与える仕事をしたい―常に目標を見据えた学生時代

―大学は理工学部に入学されたそうですが、ずっとモノづくりがお好きだったんですか?

  そうですね。幼いころから『レゴ』が大好きだったので『レゴ』でずっと遊んでいたのと、幼少期に過ごした茨城は本当にド田舎で何もなくて(笑)身近にあるもので遊具をつくったり、秘密基地をつくったりしていました。それで自然と何かをつくることが好きになっていきましたね。

―なりたい職業や夢はありましたか?

  中学・高校時代はNASAのロケットエンジニアになりたくて、6年間TOEFLの勉強をしていました。なれないとは思ったことは全然なくて、真面目にそれを目指していました。

―大学の時に、目標が変わったということですか?

  大学3年の時に「機械工学は趣味では好きだけど、仕事にするほどじゃない」って気づいてしまったんです。仕事にするなら、”モノ”ではなく”システム”のデザインがやりたいということに気付いたことが転機になったかと思います。

  たぶんこのまま普通に就職したらエンジニアだったでしょう。自分のエンジニアとしての能力や熱量を考えたとき、おそらく同職種の他の人より大成する可能性は低いだろうと感じました。

  それでたとえばスマートフォンや車をつくったとしても、自分が世界にできる貢献の量はそう大きくない。モノよりも、“システムをつくる”ことが自分のやりたいことなんだろう、と思いました。それが、今の『Wemake』立ち上げにつながってきています。

―なるほど。勉強以外だと、何か注力しいていたことはありましたか?

  中高のころはひたすら部活と勉強をがんばっていました。部活は硬式テニス部です。同じ代表取締役の大川ともここで出会いました。このころは勉強と部活しかしていませんでした(笑)。

―大学時代は「鳥人間コンテスト選手権」に参加されていましたね。NASAを目指していたことがきっかけですか?

  いえ、全く関係ないし、実は興味もありませんでした。新歓の時に、人力飛行機をつくるサークルに誘われて行ったのがきっかけなんです。

  そこにいた先輩方は、大学のなかでも非常に優秀な方々で、その人たちが華やかな大学生活そっちのけで、毎日終電まで楽しそうに人力飛行機をつくっていることから、よほどおもしろいんだろうな、と感じてそれで入部を決めました。人力飛行機の作成では、自分は駆動系・フレームの部分を担当していました。

エイス山田歩代表

  毎日終電まで残って、夜中の1時くらいに帰宅して。朝9時からの授業に出る。そんな生活を週6日の3年間、ずっとしていました。自分のすべてを投じて皆でひとつのプロジェクトをつくりあげるというのは、本当にいい経験でしたね。

―本当に多忙な学生生活だったようですが、アルバイトはされていましたか?

  時給が高いので家庭教師や塾講師とか……でもなかなかシフトに入れないし稼げないので、大学近くのコンビニで夜勤をしていましたね。

  授業終わって、「鳥人間」の制作に入って、そのあと夜勤に入って、それからレポートを書いて、翌日学校、っていう(笑)。ほとんど寝られない時期もありました。

日本のモノづくりをこのまま終わらせない。その想いから学生で起業

―大学3年の時に今でいうテックショップ、DIY工房を設立されていますね。どういった経緯からでしょう?

  先ほどお話した想いから、企業に就職するよりも、最初から自分の力でやりたいことをやって世界に価値を残したいと思っていました。

  「鳥人間」の飛行機の制作をしているなかで、いろいろな町工場のおじさん達にお世話になりました。彼らから話を聞くと、自社の売上げの8割を、大手メーカー1社からの受注に依存していたりするんです。

  日本の中小製造業のなかには、メイド・イン・ジャパンというブランドを築き上げ、日本経済を支えてきた素晴らしい企業が数多くあります。私たちものづくりの素人からすれば、つくりたいものを素早く精確にかたちにしてくれる素晴らしいパートナーになりえます。

  素人の発想と、日本の中小企業の技術をつなげることで、大手メーカーではやらないロットでの多品種少量生産というかたちで新しい市場の創出ができるのではないかと考えたのがきっかけです。

―残念ながら、事業は頓挫してしまいましたが。

  なぜ頓挫したかというと、周辺住民に反対されたからなんです。

  普通は何かするのにも、周囲に挨拶をしたり理解を求めてからするべきなんですが、何も知らない学生だったせいか、そういうことが必要だとは思わなかった。世田谷区の閑静な住宅街で一軒家を借りてやっていたんですが、苦情が来て結局、区役所から撤退するように言われたんです。

  事業を立ち上げるのなら、もっとちゃんと、社会のなかでの自分の事業の立ち位置を意識したプロモーションをすべきでした。それが大きな反省点ですね。

株式会社エイス 代表取締役 山田歩さん

―こうした学生時代の経験で、今につながっていることは何ですか?

  “欲望に忠実に生きる”こと。自分がちょっとでも「やりたい」って思ったこと……もう少し正しく言うと、“やらずにはいられないこと”を大事にしたいとずっと思っています。

  「やりたい」というのは希望でしかない。でも「やらずにはいられない」ということは、つまり行動に落ちてるってことで、モチベーションはこちらのほうが高いですよね。

  人間は得意不得意があるし、いくら不得意を埋めたところで、得意な人より秀でることはできないし価値は出ないと思っていまして。自分がやらずにはいられない、得意なことをいかにのばすかが、大事なんじゃないかなって思っています。

100年、200年先も残るような、価値ある事業をしたい

―『Wemake』を立ち上げる経緯についてお聞かせください。

  テックショップを畳んだあと何をやろうか、という話になったんですが、“モノづくり”はありきで、世界的にインパクト効果の高いインターネットを掛け合わせたことをやろうということになりまして。半年くらい事業プランを考え、そのなかで一番、有望そうだったのが『Wemake』でした。

  サービスのモデルをつくり、ターゲットとなるユーザーになりそうな人を、ひたすらインタビューしてまわりました。「こういうサービスを始めるんですが、ニーズはありますかね?」といった感じで。それからWEBサイトをつくって、2013年11月に正式リリースしました。

―山田さんのお話をうかがっていると、ごく早い時期から常に高いモチベーションのなか、確固たる目的をもって進んでいらっしゃるという印象を受けます。メンタル的なところで何か大きく影響を受けたものがあったのでしょうか?

  祖母が大の歴史好きで、彼女が読み終わった歴史小説を片っ端から読破したことによって、200年300年という時間軸で自分の仕事の価値を考えたいと考えるようになったことは大きいと思います。

―それこそ、歴史に残るような。

  そうですね。後世に残るほど、本質的に価値のある仕事がしたいと思います。

「やりたい」よりも「やらずにはいられない」ことを見つけよう

Wemake開発者エイス山田歩さん

―これからやってみたいこと、挑戦してみたいことはありますか?

  今、この事業をしていて結構満足しているんですけれど、本当に個人的な趣味でいえば、いずれ無人島を買って、そこで友達と一緒に家を建てたり橋をつくったりして過ごしてみたいなって思っています。テレビ番組でやっている無人島生活じゃないですけど(笑)。

  というのも、現代ってモノやサービスがたくさんあふれていて、基本的に娯楽は“与えられている”状態ですよね。でもそれってこっちが楽しんでいるんだか、楽しまされているんだかわからない。

  だからもう少し、ある意味原始的な部分に立ちかえってみることによって本来の「楽しみ」を自分でつくってみる。それがもしかしたら、一番高度な「遊び」なんじゃないかなって思っています。

―なるほど。今はいつでもどこでもモノであふれかえっていますから、これからは何が楽しいのか、何が本当に必要になるかという見極めが必要になってきそうですね。

  そうなんです。モノづくりをする側からすれば、買い手の数は決まっているけど売り手の数はどんどん増えている状況です。だから、自分がつくっているものを選んでもらうためには、消費者側のリテラシーを上げる努力もメーカー側に求められているんじゃないかと思っています。

  本来の「楽しみ」とは何か、をもっと消費者に問いかけて、感性を育てていくというか。それが今後は必要になってくると感じています。

―それでは最後に、若い世代の読者へメッセージをお願いします。

  “やりたいこと”“やらずにはいられないこと”の区別をつけるといいと思います。

  「やりたい」っていうのは、熱意でも何でもない。やらずにはいられない、あるいは「気づいたらやっている」ことが、本当に自分のやりたいこと・得意なことではないかと私は考えています。

  それを丁寧に深掘りすることで、どんな職種や企業や文化で自分が価値を発揮できるのかということのヒントが得られるのではないでしょうか。

Wemake山田歩代表 <株式会社A(エイス)>
〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目22-18 福吉町アネックスビル401号
東京メトロ銀座線 溜池山王駅より徒歩約10分
東京メトロ千代田線 赤坂駅より徒歩約7分

[取材・執筆・構成・撮影(インタビュー写真)]真田明日美

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