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悩み解決に必要なのは、多くの「インプット」
―行動することで、良質なアウトプットが生まれる―

アソビュー株式会社 山野智久
山野智久(やまの  ともひさ)
アソビュー株式会社 代表取締役

1983年生まれ。明治大学法学部卒。学生時代に地域の情報発信を目的としたフリーペーパーを主宰し、累計30万部を発刊する。2007年4月、株式会社リクルートに入社。HR事業部でコンサルティング営業、事業開発室で新規事業立ち上げを経験する。2011年3月、カタリズム株式会社(現・アソビュー株式会社)設立。日本最大のアクティビティー予約プラットフォーム「asoview!(アソビュー)」を運営する。

課題解決を通して、世の中に笑顔を増やしていきたい!

アソビューでアクティビティー予約

―まずは、アソビューの事業内容について教えてください。

  「asoview!(アソビュー)」という日本全国のアクティビティーの予約プラットフォームを運営しています。事業内容をご説明するとなると、このようにシンプルになってしまいますが、会社としてはアソビューが掲げる「とっておきのワクワクを、もっと身近に、すべての人に。」というミッションを果たすために我々の会社が存在しているという考えを持ち、事業に取り組んでいます。

  「asoview!」というプラットフォームを通して、余暇の時間の使い方の選択肢を最大化し、質を最上級なものにする。それによって、人々の笑顔を増やしたり、経済の活性化に貢献して豊かな国をつくっていきたいという想いがあります。

―山野さんは、学生時代に地域の活性化を目的としたフリーペーパーを主宰されていたそうですが、その経験も今の事業につながっているのでしょうか?

  根本的には学生時代にフリーペーパーを通してやっていたことと、今、事業としてやっていることは同じだと思っています。千葉県柏駅で地元の情報をまとめたフリーペーパーを配っていたのですが、どうしてそれを始めたかと言うと、街の魅力を伝えたかったからなんです。

  私は学生のころからファッションが好きで、原宿のキャットストリートや裏原宿で買い物をしていたんですけど、実は、柏にも古着屋さんがいくつもあって、状態のいいアイテムが都心より安く売られていました。でも、僕は隣の松戸に住んでいながら、それを知らなかった。バイト先にいらしたお客さんの話を聞いて、初めて知ったんです。周りの学生たちもみんな、電車に乗ってわざわざ都心に買い物に出かけていたんですよね。なぜ、そうなるかというと、結局は情報を知らないから。これはかなりもったいないと思いました。いいものがあるんだったら、それを広めるお手伝いがしたい。そしたら街に人が集まってくるんじゃないかと思ったことが、フリーペーパーをつくったきっかけなんです。

  「asoview!」は、地の利を活かした遊びや伝承の技術を活かした体験に興味はあっても、実際の行動までは行きつかない、という状況をどうにかしたいという想いから生まれました。なので、機会の損失が生じているところに対してスポットを当てるという意味では、フリーペーパーをつくっていた時と変わらないのかなと思っています。

お客様が第一。サービスの根幹を学んだアルバイト経験

学生時代について語る山野智久さん

―学生時代はアルバイトをされていたこともありますか?

  大学時代は4年間、居酒屋でバイトをしていました。アルバイトで学んだことはすごくたくさんあるんですよ。Web業界は「ユーザーファースト(ユーザー第一主義)」という言葉がよく使われます。その根幹をアルバイトで教えてもらったと思っていて。働いていた居酒屋は、今では海外を含め30店舗ほど展開されているんですが、当時は確か6店舗くらいのベンチャー居酒屋という感じで、社長との距離もすごく近かったんです。学生の僕でもアルバイトリーダーとして責任ある立場を任せてもらえて、料理のメニューを考えたり、アルバイト教育のカリキュラムをつくったりする機会もいただきました。

  マニュアルをつくる際には、グラスの出し方や灰皿を交換するタイミングといった、お客様に対する動作について、「なぜそれをやる必要があるのか」というところから、社長を含めたみんなで考えるんです。お客様のために何をすればいいか、どうしたら喜んでいただけるかを徹底的に考える場がきちんとあったことは、すごくありがたかったですね。今はたまたまWebサービスに携わっていて、それがユーザーファーストという言葉で表わされていますが、居酒屋でお客様が喜んでくれることを考えていた時と根本は同じなんだなと思っています。

―そのままフリーペーパーを続ける選択はせずに、新卒でリクルートへ入社をされました。それはどうしてですか?

  フリーペーパーだけでもなんとか食べられるくらいの収入はあったので、就職は最後まで迷いました。でも、5年後もこの街でずっとこのビジネスモデルが続けられるかと考えた時に、疑問符が浮かんでしまったんです。何より「もっと成長したい」という気持ちがありました。フリーペーパー事業は僕が主宰しているので、組織では立場が一番上なんですよね。ビジネスの世界はもっと広いはずだから、それを経験したいと思いました。

  そんな時、地元の駅で高校の先輩に声を掛けられて。その先輩は、僕がフリーペーパーのことで新聞などに取り上げられているのを見てくださっていたみたいで、就活をしていることを話すと「就職するの?」と驚かれたんです。それで「リクルートっていう会社に興味があるんですけど」と話したら、その先輩が偶然リクルートで働いていたんですよ(笑)。それをきっかけにいろいろな方に会わせていただけて。

  フリーペーパーをつくる時も自分で営業活動をしていたので、営業がきちんとできれば世の中を渡っていけるんじゃないかという固定観念のようなものがありました。だったら、営業の世界でNo.1を取ってみたいと思って、営業力に定評のあるリクルートで勝負したいと思ったんです。若いうちから活躍ができて、裁量権があると言われている企業であることも大きかったですね。

充実した仕事と、独立する決意との葛藤

起業を決意した時について

―実際にリクルートに入社されてみて、どんなことを感じましたか?

  「社会に何を提供したいか」ということを常に問われる環境でした。お客さんに提案に行く時に、内容を確認してもらおうとすると「お前はどうしたいんだ?」って。それに答えられないということは、お客様の視点からしたら、この企画はイマイチなのかも……と思ったり。そういった部分は勉強になりましたね。入社したばかりで、例えばコピーの仕方とか、物理的に分からないことを質問した時にも、「お前はどう思う?」って返された時は、さすがに「?」って思ったこともありましたけど(笑)。

―リクルートではHR事業を中心にいろいろなご経験をされてから、ご自身で改めて起業されたということですよね。それに至るまではどんな過程が?

  リクルートに入る時に、3年後に独立すると決めていたんです。フリーペーパー事業をやっていた時に、ゼロからイチを生み出してお客さんに喜んでもらうってすごく楽しいなって思ったんですよ。だから、将来的には自分の足で立っていきたいと決めていました。とはいえ「石の上にも3年」だから、3年間はどんなことがあっても歯を食いしばって成長しようと思っていたんです。

  でも、2年半くらい経過したところで、すごく悩んだんですよ。仕事が楽しくなってしまっていたので。3年で辞めるって決めて入ったのに、「やばい!俺、辞めるつもりなのに、楽しんじゃってる」って(笑)。だけど、自分で決めたことだから、まずは辞めないと始まらないと思って、3年で辞めたんです。

悩み抜いて行き着いた、自分が本当にやりたいこと

アソビュー代表取締役山野智久さん

―そこからどうやって起業にたどり着いたんですか?

  事業も決めずに会社を辞めたので、しばらくは起業準備期間として、高校の先輩が副社長を務める会社のお手伝いをしていました。でも、なかなか事業内容が定まらず、辞めたことを後悔した時期もありました。

  そうするうちに、前職を退職するときに「3年で辞める」ことが目的になってしまったように、起業する時には「会社を立ち上げること」が目的になっていたことに気づいたのです。そこで、学生時代から考えていた「世の中にないものを立ち上げて、人々の笑顔をつくりたい」という原点に立ち戻り、自分は何を世の中に提供できるのかをずっと考え抜きました。それで生まれたのが「asoview!」というサービスです。

―考え抜くなかで「asoview!」はどんな発想から生まれたんでしょうか

  まず、会社の意味そのものから考えたんです。「企業は社会の公器」と言われますが、公器って何なのかを突き詰めていくと、世の中に価値を提供して「ありがとう」と言ってもらえる対価として、お金をもらうことだと。ということは、世の中の役に立たなければいけなくて、かつ長期的に続かなければいけないと思いました。「それって何だろう?」と考えると、「人が困っていることを解決すること」なんですよね。結局は“人間の根本的な欲求”に紐づいていなきゃいけないと思ったんです。

  今度は「じゃあ、人間の根本的な欲求って何だろう?」と考えて。その結果、人って“幸せに生きていたい生き物”だなって思ったんですよね。幸せに生きていくために必要なのは、「モノに満たされている状態」と「心が満たされている状態」の2つだなと。今の日本はモノには満たされているけど、心も満たされているかというと、そうではないかもしれない。だったら、どうすれば心が満たされるかというと、課題解決の手段のひとつとして、「休日の過ごし方」があるんじゃないかと思って。それで、休日や余暇の時間の使い方にマーケットを絞って、いろいろと模索して「asoview!」に行き着きました。

―今後は2020年の東京オリンピックに向けて、外国人観光客もどんどん増えてくるでしょうから、「asoview!」の可能性も広がりますね。

  2020年までに、訪日外国人旅行者数2000万人を目指すという具体的な数字を国として掲げています。今のペースだと2500万~3000万人くらいまで達するんじゃないかと言われているんですけど、ニーズは確実にあるので、サービスを充実させていきたいですね。

  旅行は「移動」「宿泊」「現地での遊び」「現地での食事」「おみやげ」という5つの要素で構成されていて、これは国内旅行でも海外旅行でも共通しています。この要素のうち、一番困るのが「現地の遊び」だと思うんですよね。多くの方が旅行先で「中途半端に時間があるけど、この辺りには何があるんだろう?」と悩んだ経験をお持ちだと思います。その解決方法を提案するのが僕らの役目。これから増えてくる2000万人、3000万人の外国旅行者が何かしらの形で我々のサービスに触れる状態をつくっていきたいと思いますね。ゆくゆくは、日本だけじゃなく、アジア最大の遊びのプラットフォームを実現したいと考えています。

相手の想像を超える創造を生み出す仕事をしたい

山野さんアソビュー社内にて

―山野さんは働くうえでどんなことを大切されていますか?

  “想像を超える創造を実現する”ことです。僕は、予想通り、期待通りの仕事の価値を提供しても、あまり意味がないと感じています。お客様に対しても社内に対しても、その期待値を超えることがクリエイティビティーであり、取り組むべきことだと思っていて。自分にしかできないことがあるのか、ないのか……その答えは分からないですけど、チャレンジしないでどうするの?って思うんです。せっかくお金をもらって仕事をしているんだったら、期待以上、想像以上のことを実現して「この人がいてよかった」って思ってもらえるような仕事をしたいなと思います。

―最後に、就職活動や仕事に対して悩んでいる学生にメッセージをお願いします。

  アソビューにはインターン生がたくさんいるので、就職に関する悩みを聞く機会は多いんですが、僕はいつも「(行動して)インプットしろ」とアドバイスしています。悩んでいるのって、行動していないのと同じだと思っているので、悩んでいるならどんどん行動してインプットすればいいと思うんですよね。

  学生の時の悩みって、「自分が何をやりたいのかが分からない」というものが結構多いかと思いますが、それは、やるべき選択肢を知らないからだと思っています。それなら、まずはOB訪問をしたり、本を読んだり、とにかく何か行動してみたらいいと思います。例えば、業界本を読んで自己分析をして、100人にOB訪問をしたという人は、「何をしたらいいんだろう?」という悩みは持たないはずです。インプットをしないと、アウトプットはできないですからね。まずは、自分のできる範囲からで構わないので、インプットするための行動を起こしてみるといいんじゃないかなと思います。

[取材・執筆・構成]渡辺千恵 [撮影(インタビュー写真)]真田明日美

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