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F1レーサー、そしてシンガーを目指した文原氏が『nana』で挑む“We Are The World”

株式会社nana music 文原明臣
文原 明臣(ふみはら  あきのり)
株式会社nana music 代表取締役CEO

1985年生まれ、兵庫県神戸市出身。2006年神戸高専機械工学科卒業。学生時代に独学で歌を学ぶ。スティーヴィー・ワンダーを敬愛しシンガーを目指す。卒業後は音楽と離れた道を進むが、2010年ハイチ沖地震のチャリティ・ソング『We Are The World 25 For Haiti(YouTube Edition)』の映像を見たことがきっかけで、よりよい音楽のあり方の求め、2011年12月に26歳の若さで株式会社nana music(最寄り駅:代々木八幡)を創業。スマートフォンひとつで誰でも簡単に歌声や楽器演奏を録音・投稿できる音楽サービス『nana』の開発、運営を行う。2012年8月にリリース。現在のユーザー数は100万人を超え、毎日4万曲以上が投稿されている。

音楽で、世界をひとつにしたい。その想いが原動力

音楽アプリnana

―現在の仕事内容について教えてください。

  音楽コミュニティアプリサービス『nana』を提供しています。スマートフォンひとつで世界の人たちと音楽セッションができるサービスです。ユーザーが自身の歌声や演奏した音色を投稿でき、アプリ内でコラボレーションできます。現在のユーザー数は100万人を超えていて、毎日4万曲が投稿されています。

―音楽サービスを始めたきっかけは何だったのですか?

  もともと歌や音楽は好きでした。ジャズバーで歌えるシンガーになりたい、スティーヴィー・ワンダーのように歌いたいという夢があって。高音域のパワフルさや感情を伝える歌い方に感銘を受けていたんです。

  2010年、ハイチ沖地震のチャリティ音楽として、YouTubeで『We Are The World 25 For Haiti(YouTube Edition)』が世界各国の方々に歌われていたんですね。歌のコンセプトにあるように、人種を超えて歌い合える環境に素晴らしさを感じて。

  ただ、よくよく見てみるとYouTubeで歌っている人たちは欧米人が多く、日本人はいませんでした。世界で歌われているといっても、国や地域に偏りがあって……。この状況を見て「音楽を通して、本当の意味で世界中の人たちとつながっていけたら、どれほど嬉しいことだろう」と考えるようになったんです。

  ちょうどそのころ、iPhone 3GSを購入しました。マイクの性能もよくて音を取って遊んでいました。ネットにも繋がり、今後スマホが普及していくだろうと。スマホがマイクの役割をすれば『We Are The World』を世界中の人たちと一緒に歌声を重ね合わせることが可能になるだろうと思いました。

―文原さんの現在の仕事で目指していることは何ですか?

  世界中の人と音楽セッションをしたいですね。そして、スマホなどテクノロジーの力で、それを叶えていきたいです。音楽を通して、みんなとコミュニケーションが取れる環境づくりを目指していきたいと思っています。

  たとえば、今年8月に「みんなでつくる音楽祭 nanaフェス」を開催しましたが、歌ったり演奏したり、みんなが気軽に参加できて楽しめるイベントになりました。今後もこのようなイベントを続けていきたいですし、参加型のサービスを充実させていきたいと考えています。自分の経験を振り返ってみても、CEOとして組織をマネジメントするのは初めてなので、しっかりと仕組みをつくりながらサービスを展開しているところです。

“やりたいこと”を発すると、新たなチャンスがやってくる

 nanaフェス 「みんなでつくる音楽祭 nanaフェス」の模様。

―『nana』がサービス開始されるまでの経緯を教えてください。

  神戸に住んでいた2011年春ごろ、すでに構想はあったのですが、WEBの知識がなかったので、その道に精通している人たちが集まる勉強会や飲み会等に参加していましたが、これといったきっかけがなかなかつかめずにいました。

  そんな時、同年のゴールデンウィークにちょうど東京に来ていてツイッターで何気なくつぶやいたところ、内容にコメントをくれた人がいました。実際に会って自分のやりたいことを夢中で話していたら、5時間があっという間に過ぎていて(笑)。

  私の想いを受け取ってくれたのか、その人はサービスをサポートしてくれると言ってくれました。この人物こそが、現在弊社のCTOである辻川です。この書き込みがなければ、今の自分はいなかったかもしれませんね。

  10月にiOSエンジニアとサーバー、デザイナーが揃ったことで上京しました。

―自分の想いを表に出すことで道が開けていったのですね。上京されたあとはいかがでしたか?

  最初の目標は、2012年3月にアメリカで行われるイベントでリリースをしようと焦点を定めていました。でもそれには間に合わせることができず、結果的にアレンジを加えて2012年8月のリリースになりました。

  そのまま順調にいくかと思いきや、ダウンロード数が伸び悩んでしまって2013年に次の出資を受けられず、キャッシュアウトしてしまって……。でも着実にユーザーは増えていたんです。なので、ビジネスの可能性はまだあると諦めていませんでした。

  この時はさすがにきつかったのですが、とにかく自分のやりたいことを周りの方々に話していて、そのあとは、個人投資家の方がサポートしてくれたりと、皆さんの協力があってここまで来ましたね。2015年6月には100万ダウンロード目前になり、『nana』を多くの方に使ってもらえる実感が湧きました。

―途中で辞めようとは思わなかったのですか?

  サービスに関して、まだ着手していない部分がありました。だから、その部分がきちんと整備できれば必ず『nana』のファンは増えると思ったんです。これは、F1レーサーを目標にがんばっていた過去の経験も活きています。

F1レーサーを目指して、がんばっていた経験が今に活きている

nana music代表取締役CEO文原明臣氏

―文原さんは現職に就く前は、レーサーのご経歴があるんですよね。

  はい、F1レーサーの佐藤琢磨さんがレースに出始めた年齢と同じ19歳のころ、私も興味を持ちました。彼はそれからわずか5年でF1レーサーになった方です。それまではあまり興味はなかったのですが、人間の能力の限界点に挑戦することに興味が湧いて……。高専4年生の2004年から自分でカートを購入し、毎週のようにカート場に通っていました。とにかく楽しくて。

  2005年レーシングカート選手権、2006年スーパーカートへとステップアップできました。シリーズで2位になり、さらに上のクラスへ。2008年に鈴鹿サーキット主催のフォーミュラスクールに通っていました。

  トップで入学できたので、卒業時にもトップを守っていれば企業から資金サポートを受けて、さらに上のクラスにあがれたのですが、それが叶わず……。でもどうしても諦めきれなかったので、しばらくは自力で続けていたのですが、とにかくお金がかかって……。2009年まで、アルバイトをしつつ練習やレースに出ていましたね。

―モータースポーツから学んだことはありますか?

  今につながる多くのことを学びました。ドライバーって会社の代表みたいなものですし、勝って結果を持って帰ってくるのも仕事。また、マシンはメカニックの担当者とコミュニケーションを取って技術対応してもらったり、資金調達のために営業にいったり、企画書を送ったり。現在、弊社を運営するスキルは、ここで身についたものが多いんです。

  そして、目標が見えなくなっている時にやり続けていると、いずれ道は開けることも学びました。コンマ3秒、5秒の速さを競う世界のため、それを縮めるために練習をし続けました。レースの結果が伸び悩んだ時、それでも続けていくことで、成果が表れることを身を持って体験しています。

  カーレースの現場とビジネスは、一見、違う世界かもしれませんが共通する考え方も多いんです。これらの経験があるから、様々なことにも乗り越えていけるのだと実感しています。

夢中になるものに出会った学生時代

―学生時代のエピソードはありますか?

  高専4年生のころからカーレースをやるようになって、機械工学科で学んだことが役立つと気づきました。たとえば、物理や数学には公式や原理が存在するように、物事には必ず“原理”があるんです。その考え方が身についているので、現在の仕事でも物事の本質を追究し、理解したくなりますね。

―アルバイトはされていましたか?

  私の場合、学生時代からレースの資金確保のためにアルバイトをしてたといっても過言ではありません。ドラッグストア、ドーナツチェーン店、スーパーの荷出しなどをやりました。

  レーサー時代、大阪で有名なまんじゅう屋でアルバイトをした経験があります。年間の売り上げピーク期にだけ、アルバイトを住みこみで雇うんです。そこに働きに来る人たちも様々で、ピーク期だけ働きに来て、あとは趣味でサーフィンをしていたり……そういう人たちと接していたので、サラリーマン生活とは違う働き方を知りました。「働き方は人それぞれなんだな」と働き方の多様性を感じていました。

―ちなみに、就職活動はされましたか?

  レースをするための資金源として……なのですが(笑)、CADエンジニアとしてメーカーに就職をしたんです。レーサーのキャリアが上がるほど、お金がかかるんです。そして、フォーミュラクラスまで実績が上がってきた時、平日が練習日になってしまい、事実上、仕事を続けられなくなってしまった経緯があります。

好きなことを極めて、生き抜いていこう

ナナミュージック文原明臣社長

―文原さんが仕事をするうえで大切にしていることは何ですか?

  人って“得手・不得手”が必ずあると思うんです。得意なもの、楽しいものを追求している時は、自分にとって“好きなこと”だと思います。仕事として考えるのではなく、「好きなことをやっている」という意識を持つようにしています。現在『nana』の仕事も、自分が音楽が好きだからこそがんばれます。

―今後のビジョンを教えてください。

  現在『nana』のユーザー比率は国内が9割、海外が1割です。私としては「We Are The World」のタイトルのように、世界中でひとつになるようにしたいですね。世界各国の人たちが『nana』を通じて、コミュニケーションに広がりが生まれる……そんな環境が理想ですし、実現になったときにはみんなでセッションがしたいです。

―最後に、これから社会に出る学生に向けてメッセージをお願いします。

  ぜひ好きなことを見つけて、継続してほしいですね。それに尽きます。好きなことを見つけると人生が楽しくなって、うまくいくと思うんです。毎日が楽しくなる。好きなことがあると、人は集中力を高めてその物事に向かっていきます。それができる人って、どの業界、どの業種であっても生き抜いていく力がつきます!がんばってください!

<株式会社nana music>
〒151-0062 東京都渋谷区元代々木町48-10 PATH101
小田急線 代々木八幡駅より徒歩約10分

[取材・執筆・構成]yukiko(色彩総合プロデュース「スタイル プロモーション」代表)
[撮影(インタビュー写真)・編集] 真田明日美

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