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自分にできることを全力でやってみよう!
―チャレンジした人だけに道は拓かれる―

株式会社サイバーエージェント 曽山哲人
曽山哲人(そやま てつひと)
株式会社サイバーエージェント  執行役員人事本部長

1974年神奈川県横浜市生まれ。上智大学文学部英文学科卒業。1998年伊勢丹に入社し、通販サイト立ち上げに参加。1999年に20名程度だったサイバーエージェントに入社。インターネット広告の営業を経験したのちに、営業部門統括に就任する。2005年、人事本部設立とともに人事本部長に就任し、2008年取締役就任。現在は「採用・育成・活性化・適材適所」など人事全般を手がける。著書による情報発信や人材マネジメントや組織活性化等、幅広いテーマで講演・教育活動も積極的に行っている。著書に『最強のNo.2 会社と社会で突き抜ける最強のNo.2を極めろ!』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『クリエイティブ人事~個人を伸ばす、チームを活かす~ 』(光文社新書)など。

興味のアンテナを張り巡らせていた学生時代

サイバーエージェント曽山哲人-学生時代バイト

―人事のお仕事を通して、学生と接する機会も多いと思いますが、曽山さんご自身は、どのような学生時代を過ごされていたんでしょうか。

  僕はぜんそくを持っていたので運動が制限されてたんですよ。小学生くらいの時期って、運動ができるとかっこよく見えるじゃないですか。だから、運動ができない自分はかっこよくなれないんだというのが悩みで。中学生になって、卓球ならできるかもと思って、軽い気持ちで卓球部に入ったんですけど、卓球ってものすごく激しいスポーツなんですよね。できる範囲での部活として選んだつもりが、逆にぜんそくが悪化したくらい(笑)。それでも、おもしろかったので、3年間続けました。

  部活としては卓球をやりながら、たまたま友だちに誘われてストリートダンスをやる機会があって。やってみたら、すっかりハマってしまったんです。ダンススクールにも通っていたんですけど、そこでチームを組んで、高校生のときには「ダンス甲子園」(日本テレビ系で1985~96年まで放映されていた「天才・たけしの元気が出るテレビ!! 」内の人気コーナー)に出場して全国3位になりました。そこでしか出会えなかった仲間がたくさんできたことが、ダンスを通して得た宝物ですね。初めはドレッドヘアとかスキンヘッドの人を見るたび、こわいって思ってましたけど(笑)。

  とにかく私は新しいものが好きなんですよね。大学に入ってからも、当時はめずらしかったラクロスをやっていました。副キャプテン、キャプテンを経験することもできましたし、150大学くらいで構成されているラクロスの学生連盟で広報委員長を務めたこともあります。気づいたらまとめ役になっていることが多かったように思いますね。

バイトを通して見えた自分への気づき

―学生時代のアルバイト経験について教えてください。

  一番初めにバイトをしたのは高校生のときで、ファミレスでホールスタッフをしていました。それから、靴の販売員をしたこともありましたね。高校時代はダンスの練習もあって、なかなかシフトに入れなかったんですけど、それで店長に呼び出されたんですよ。その当時、バイトに行かないことを悪いことだなんて思っていなくて(笑)。お店側としては、人が足りないからアルバイトを採用しているのに、行ける日に行けばいいやくらいに思っていて。怒られて初めて自分が迷惑をかけていたことに気づきました。人と話すのが好きで仕事の内容もイメージしやすかったので、高校時代は接客業がメインでしたけど、大学生のときは、塾講師や家庭教師のバイトもやっていましたね。

―アルバイトの面接を受けたなかで、印象に残っていることはありますか?

  コンビニのアルバイトの面接で落ちたことをすごくよく覚えています(笑)。面接で何を言ったかということまでは、覚えていないんですけど、たぶん、すごく自己中なことを言っていたと思うんですよ。「勉強しながら、おこづかいを稼ぎたい」とか。お店のためになるようなことを一切言わない。当時は、悪気なんてないんですけど、自分が面接をする立場になって振り返ってみると、「あれじゃダメだよな」って納得できます。

―学生時代の面接といえば、就職活動での面接がありますよね。アルバイトの面接とは取り組み方にも違いが出てくると思うんですけど、どんな気持ちで挑んでいましたか?

  面接を受ける会社が、どんな人材を求めているかということをすごく考えましたね。雇ってもらうわけですから、会社にとってプラスになるような話ができなきゃいけないなという気持ちがありました。ただ、自分を安売りするのもよくないと思っていたので、きちんと就職活動の準備をしながら、自信を持って挑むようにしていました。面接では飾らず、自然体で話すことを心がけていたと思います。変に取り繕っても、それはすぐにバレてしまいますからね。

―現在は面接を行う側ですが、人事という立場から、面接を受ける人にアドバイスをいただけるとしたら、どんなことでしょう?

  絶対的な正解っていうのはないと思うんですけど、「あなたのためにがんばりたい」という気持ちが面接官に伝えられるかというのは、結構大事ですよね。昔の私みたいに自己中心的な考えではやっぱりよくなくて(笑)。面接官に「一緒に戦ってくれそう」とか「一緒に仕事をしてみたいな」と思わせることができるか。相手のためを思ったからって、すべての面接で合格するわけではないと思うんですけど、そういうスタンスが重要だと思います。なぜ、その企業やお店が求人を出しているのかということを、しっかり理解するというのもいいかもしれませんね。どういう意図で求人広告を出しているのか、思いきって面接官に聞いてみてもいいと思います。

悩んだ先に見つけたワクワクする仕事

サイバーエージェント曽山哲人-バイト経験

―就職活動を経て、新卒で伊勢丹にご入社されますね。社会人として働いてみたとき、それまでイメージしていた「仕事」というものとのギャップはありましたか?

  働き始めてすぐに感じたのが、市場や産業が今後成長していくのかどうかの見極めの重要さです。私が新卒で入社した当時は、バブル崩壊の影響もあって、百貨店業界やファッション産業が下降曲線の状況にあったんですよね。「ファッションで人を動かしてみたい」といった想いは持っていて、そのためにこんなことがしたいということは考えていたはずなんですけど、産業構造の研究というところまでは及んでいなかった。それが、自分自身のギャップにつながってしまったので、反省しましたね。飲食であっても流通であっても、ITであっても、“攻めている会社”であるかどうかというのは、働くうえですごく大事だと思いました。

―その後、現在のサイバーエージェントに転職をされましたが、百貨店業界からIT業界に移ったとき、どんなことを感じましたか?

  とにかく答えがないんですよね。新しい産業なので。メンバーから出てくる意見はすべて正しいかもしれないけど、すべて間違っているかもしれないという状況なんですよ。だけど、それがおもしろい。先が見えないワクワク感というのは、新しい産業でしか得られないんですよね。普通、先が見えなかったら不安じゃないですか。そういう意味では、不安もあったと思うんですけど、まだ引かれていないレールを、自分たちの手で引けるかもしれないというおもしろさ、それがここにはあるんだと感じました。

過去の経験によって増した仕事の厚み

曽山哲人-仕事を振り返る

―サイバーエージェントにご入社された当時は、広告の営業をされていたんですよね。そこから、人事本部設立と同時に人事本部長に就任されました。ご自身が抜擢された理由について考えられたことはありますか?

  人事本部を設立するということが役員会議で決まって、本部長は誰がいいかという話になったときに、当時、広告営業部門のトップであった私の名前が出たそうです。実際に人事本部長になってから、藤田(晋氏/株式会社サイバーエージェント代表取締役社長)に聞いたことがあるんです。「どうして、私が人事担当になったんですか?」って。そしたら、「っぽいから」って言われました(笑)。

  私は就職活動のときから一貫して「すごい組織を作りたい」って言い続けているんです。だから、業種にはこだわらず、業界No.1の組織を作りたいという気持ちがありました。転職をしたときもその気持ちで入っていますし、広告営業をやっていたときには実際に営業メンバーの育成プログラムを作って、それがうまく機能したんですよね。自分の中の成功体験としてはあったんですが、当時の役員たちの中でも人事本部長を選ぶときの要素になったのかもしれないと思っています。

―人事を担当される以前に経験されたお仕事の中で、今の仕事にも活かされていることはあるんでしょうか。

  たくさんありますよ。まず、コピー力ですね。私たちは人事制度にそれぞれ名前をつけているんですけど、広告営業時代には広告のキャッチコピーにたくさん触れてきたので、ネーミングを考えるときの参考になっています。それから、作った制度をどのように伝えるか。全社員に対して送るメールであったり、ブログに制度ができた背景を書いたり。文章での伝達方法というのも、広告で学んだ体験が活きていますね。あとは、社員の意見をどうやって聞き出すか、どんな風に想いを伝えるか。この辺りの考え方は営業での経験が役に立っています。社員と話すときとお客様と商談をするときでの意識に変わりはないと思っているので。

  結局、“感情を通じて、人を動かす”というところは、広告も人事も共通しているんですよね。広告はお客様の消費行動に移っていきますけど、人事の場合は、制度として社員の活力を生み出すことにつながるので。

人事の行動ひとつで会社は大きく変わる

サイバーエージェント曽山氏-書籍をもって

―曽山さんにとって、人事という仕事のおもしろさというのはどんなところですか?

  私たちの行動ひとつで会社全体が動くというのがすごくおもしろいです。僕らの行動がイマイチだと社員みんなが白けちゃうし、僕らの行動がいいものであれば、社員みんなのやる気が出て、信じられないような才能を引き出せる可能性もあるわけじゃないですか。それが全社員に起こったときの業績の上がり方って半端じゃないと思うんですよね。一見すると遠いように感じますけど、じつは、人事って業績に直接リンクしている部署なんですよ。じゃあ、初めからうまく行っていたのかというとそうではなくて。私が人事本部長になったくらいのときは、離職率がすごく高かったんですよ。

―離職率を減らすために、どんなことをされたんですか?

  大きく分けて3つあるんですが、ひとつ目は経営陣が会社が目指す方向性を明文化したこと。「21世紀を代表する会社を創る」というのがサイバーエージェントのビジョンなんですが、そこを目指すから、達成するためならば組織も変えてくし、人事制度も変えると言いきったことはすごく大きな意味があったと思います。そこから、ビジョンが人事制度までに落とし込まれているか、言行一致をつねに確認するようにしました。

  2つ目としては、社員同士のつながりを増して、連帯感が強くなるような仕組みを作ったこと。3つ目は、表彰などの個人に光を当てる制度を設けました。離職率が高かった時代というのは、メンバーや仕事内容にさほど不満はないけれど、自分の存在意義が感じられないと言って辞めてしまうケースが多くて。それはなぜかというと、会社として「その行動は正しいよ」とか「がんばりはしっかり見ているよ」ということを伝えることがあまりできていなかったんですよね。私が人事を担当して以降は、社内コミュニケーションを円滑にすることに注力しています。

―働くことについて、悩んでいる人、迷っている人にメッセージをお願いします。

  確実に言えることは、チャレンジしないと新たな自分の道は絶対に出てこないということ。今、歩いている道の延長線上に何があるかと考えたとき、疑問を感じたら、自らが変わることを選んだほうがいいと思います。みんな何かしら挑戦はしていると思うんですけど、チャレンジをしてうまくいく人とそうでない人の差はどこにあるかというと、与えられた場所で全力投球できているかどうかなんですよね。たとえ、それが短期間であっても、全力でやっている人だけが得られる景色というのがあるはずなので。

  私は「意思表明」という言葉が好きなんですけど、自分の意思を表明するときって、“外”に行きがちなんですよね。たとえば、「こんなことをやりたい!」というのを会社では言わないのに、会社の外のつながりの中で言う。社内で発言するよりは気軽だし、持てはやしてくれる人もいるから、それを真に受けて安易に辞めて別のところを探す。でも、近くの人を動かせないなら、外側にいる人を動かすのも無理だと思います。だから、今いる場所で批判されることを恐れずに、自分の意思を表明していく。その結果がダメだったら、次の道を探してみる、そうやってどんどんチャレンジしていってほしいですね。


[取材] 高橋秀明、渡辺千恵 [執筆/撮影(インタビュー写真)] 渡辺千恵

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