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グローバルワークの第一歩として
―PurpleCowが繋ぐオンラインワーカーと企業の架け橋―

PurpleCow株式会社 柴田憲佑
柴田憲佑
PurpleCow株式会社 代表取締役社長

1985年生まれ、愛知県出身。高校時代にはカナダへ留学し卒業とともに帰国。2005年中央大学へ進学。2008年7月から9月までサンフランシスコへ留学、大学卒業後の2009年4月ソフトバンクテレコム株式会社へ入社。2012年6月PurpleCow 株式会社を設立し代表取締役へ就任、現在に至る。

幼少時代から働く楽しさを身に着けていた―学生時代

学生時代の話をしている楽しそうな柴田憲佑氏

―初めて仕事をしたのはいつ頃ですか?―

そうですね、1番最初は小学校1年生頃だったと思います。と言うのも、僕の実家は名古屋で食肉の卸売店を営んでいたのです。時給に換算したら500円にも満たない金額でしたが、正月や年末といった繁忙期の長期休みは毎年大人達に混ざって働いていました。両親が商売人だったということもあり、「小遣いは自分で稼ぎなさい」という方針でした。そのため、幼い頃から自然と商売人としての意識を持っていたように思います。小学生の内から店頭に立つことを「早すぎる」と感じる方もいるでしょうが、僕にとっては家庭内でやっていたお手伝いの延長といった感覚でしたね。高校生になってからはアルバイト店員としてシフトを組んで働いていました。幼いころから両親の仕事を近くで見ていたこともあり、「将来は自分がこの仕事を継ぐのだろうか…」と、両親の仕事を継ぎ自分も商売をしていく道を考えるようになりました。

大学へ進学してからは、居酒屋でアルバイトを始めました。東京へ上京したことで両親の営む店では働く事ができなくなったことと「せっかくだから、今しかできないアルバイトをしよう!」と、思ったことがきっかけでした。それまではずっと実家でアルバイトをしていたこともあり、他のアルバイト経験はありませんでしたが、それがよかったのかも知れません。同世代が多く働いていたこともあり、スタッフと協力して働くことの楽しさを知りましたし、どんな仕事でも大変だと感じたことはありませんでした。

―学生時代にIT企業でインターンをしていたと聞きましたが、始めるきっかけが何かあったのですか?―

実は、僕が生まれ育った名古屋という場所はスケートが非常に盛んな土地でして、フィギュアスケートでは有名な選手を何人も輩出しています。そういった環境があったので、僕も小学生の頃からアイスホッケーを始めたのです。大学に入学してからも1、2年の頃は本格的にアイスホッケーを続けていたのですが、大学2年の後半に怪我をしてしまい、完治には約1年かかると言われたことがありました。「大学での貴重な1年が丸々潰れてしまうのか…」と、当時はかなり落ち込みました。しかし、その時にちょうど起業やビジネスに興味を持っていたこともあり、悩んだ末に思い切ってアイスホッケーから離れて本格的にビジネスの勉強を始めることにしたのです。今思えば、ここでの一大決心が将来の道を決めたのかも知れません。

そして、就職を前にして、企業で実際に仕事を経験したいと考え、とあるIT企業でインターンを始めました。その企業は、ECサイトやモバイルコンテンツなどを手広く運営しており、中でもソーシャルゲームの分野では現在では最大手の一角になっているプラットフォーム事業が評判を呼び、業界内でも一般ユーザーからも大きな注目を集めていた時期でした。インターンでもしっかりと業務に関わることができたので、ITやWebへの興味はますます大きくなりましたね。IT業界での仕事はとても面白いと思いましたし、間違いなく現在に繋がる基礎的な業務や知識を学ぶことができたと感じています。仕事自体はとても面白かったので、インターンを始めた当初はその企業への就職も多少考えていました。しかし、仕事の進め方や企業方針を理解できるようになると「自分には合わない気がするな…」と、思うようになったのです。どこに違和感を覚えたかと言うと、ビジネスモデルや事業戦略といった企業としての経営理念やビジョンそのものについてでした。その企業は、いかに効率よく収益をあげるかという点を最も大事にしており、利益が出るのならばどんな方法でも良いという考え方で各々の事業が仕事を進めていました。もちろん、企業として利益を出す、収益率をあげるという事が重要だというのは分かります。しかし、社会のために働くのではなく自分達の利益のためだけに働いている姿が、僕にはお金稼ぎというゲームをしているように映ったのです。僕自身まだ若かったですし、社会の仕組みや安定した売上を立てる難しさが分かっていなかったのだと思います、「こういう働き方はどうなのだろう…」と、つい考えてしまったのです。社会に貢献する仕事や理念…そういった「強い想い」を持っている会社の方が自分らしい働き方ができるんじゃないかと、感じるようになりました。

営業力を身に着けた―ソフトバンクテレコム時代

仕事中の柴田社長

―新卒でソフトバンクテレコムへ入社をされますが何が決め手だったのですか?―

インターン先での経験もあり、就職活動中も自分の行く道については若干迷っていました。そんな時に出会ったのがソフトバンクグループの創業者である孫正義社長です。ソフトバンクグループは、当時インターンに行っていた企業とは真逆の企業でした。「インターネットで世界を変える!」と、簡潔かつ壮大な目標をはっきりと公に宣言していたのです。「孫社長はそんな壮大な理念を持っていたのか…」と、孫社長の発する言葉の数々に惹かれ、「自分も孫社長のもとで世界を変えてみたい!」「ソフトバンクへ入社をしたい!」と、決意を固めました。

その後2年半、ソフトバンクテレコムでお世話になりました。右も左も分からない新人でしたから、まずはビジネスのいろはを学ぶ上でも営業をした方がいいだろうと営業職を希望しました。最初に受け持った担当先は大手の鉄道会社だったのですが、そこでは専用回線を主力商材として販売していました。さらに、ネットワークやソフトウェア、携帯電話など他の商材についても積極的に売り込んでいました。どうしたらお客さんは興味を示すのか、興味をそそられるプレゼン方法とは何なのか…などを広く学ぶことができました。やはり営業を選んだのは正しかったのだと思います。

半年間の構想を経ての起業―世界中のクリエーターと企業を繋ぐサービス

designclueやCrevoを生み出すオフィス

―PurpleCowの設立前からdesignclueのビジネスモデルは考えていたのですか?―

そうですね、前職を退職した時には何となくビジネスモデルのビジョンはありました。今思い返せばかなり脆い感じのビジネスモデルでしたが、それを元にスタートアップのメンバー4人で議論しながら少しづつ形にしていきましたね。designclueの流れを簡単に説明すると、企業のロゴや名刺のデザインを新たに制作したいと思った時、designclueのサイトから、デザイン制作の依頼を行います。それら企業からの発注依頼を見ることができるのは、designclueに登録している国内外のデザイナー達です。デザイナー達は自分達が受けたい内容のデザインを作成し、期日までに提出をします。提出されたデザイン画は、依頼先となっている企業でコンペを行いそれに通過して初めて金額が発生するのです。自分のペースで仕事を受けることができるとフリーランスの方を中心に好評のサービスとなっています。designclueの仕組み自体が海外ではすでに一般的だったものの、日本にはそういったサービスを提供している企業はどこにもなかったのです。

僕自身高校の時にカナダへ留学していまして、その後はサンフランシスコへも留学しました。海外では1つの組織にも様々な国籍や文化を持つ人が集まり、様々な角度から意見を出し合うことが当たり前です。様々な意見を出し合っていく内に自分では思ってもみなかった解決策が生み出されるということもあります。そういった土壌自体が日本にはまだなかったので、仕組みができれば面白い方向へ転がるかも知れないと思いました。「多国籍のプロフェッッショナルが集まって価値あるアウトプットを作れる場所を作りたい!」というのが、このビジネスで起業をしようと思った最も大きなきっかけです。さらに、海外ではデザインのクラウド自体は定着していますので、海外のデザイナー達の理解が早いのではないかと思ったのも、大きなポイントの1つでした。日本はマーケットとして魅力的なのですが、海外のクリエーターへデザインを発注する機会は少なかったですし、発注を受けることのできるシステムもありませんでした。designclueのサービスが始まるや否や「日本にもデザインのクラウドサービスができたんだ!登録しておこう」という海外の優秀なデザイナーが沢山集まってくれました。弊社のビジョン「グローバルワークを始めるきっかけ」の名の通り、世界中のスキルを持ったオンラインワーカーとプロジェクトを始めるきっかけを作り出す事業としてオープンし、その立ち上がりは非常に順調でした。

―起業時の苦労話などがあればお聞きしたいのですが―

僕も起業は初めてでしたから、常に苦労は絶えなかったです。最も苦労したのは、皆の意見が合わなかったことですね。PurpleCowは4人でスタートアップしたのですが、4人という人数の多さから、議論や打ち合わせをしても4人の意見や考え方がなかなか揃わないのです。2人や3人という人数の方が足並みを揃えやすかったのかも知れません。役割は決めていたものの、最終的に誰が決断を下すのかという部分を決めなければならないのが大変でしたね。「全員で一緒に進んでいきたい!」という想いが強かっただけに、全員の意見をすり合せる作業には一番時間を割きました。起業の準備期間は約半年ほどだったのですが、そのほとんどの時間を4人での打ち合わせや会議に使ってましたね。

PurpleCowの新たな挑戦―designclueを元に生み出した新サービス「Crevo」

Crevoにて制作をされた採用課金型アルバイト求人サイト「おすすめディスカバイト」案内動画

―designclueの次に「Crevo」のサービスを開始したのはどうしてですか?―

designclueは序盤とても順調だったのですが、1年も経たない間に他のクラウドソーシングサービスがデザイン方面のクラウド事業にも参入してきたのです。さらに、以前から展開していたデザインコンペサービスも1案件の単価を大幅に下げ3万円台から発注が可能なデザインのクラウド事業を始めるようになりました。元々薄利多売のサービスなので、競合他社が増えればそれだけ市場全体が厳しくなるのが現実です。弊社のdesignclueでは、海外のデザイナーを多く抱えおり、海外のデザイナーは日本のデザイナーと比較をしても、一人あたりが制作をする作品の数や提案数が多いというメリットはあります。しかし、競合が増えると収益を上げることは難しくなります。「designclue以外にも収益の上がるサービスを確立させないとダメだ!」と、思うようになったのです。

そこで思いついたのが、動画制作サービス「Crevo」でした。せっかくdesignclueを通じて多くの優秀なクリエーターを抱えることができたのですから、それを活かしたサービスにしようと考えました。ECサイトは動画を使って商品を紹介した方が購買意欲は高まりますし、商店でも動画を使ったプロモーションが効果的な店舗もあるでしょう、動画の需要は必ずあると感じました。または、もっと単純に営業ツールの1つとして使っていただくのも良いと思います。弊社が最も強みにしているのは「海外のクリエーターを有している」という部分ですが、その強みはデザインよりも動画作品の方が活きると思っています。鮮やかな彩色に目を引く大きな動きや感情表現豊かな表情など、日本のクリエーターとは感性が違うので、他にない斬新な動画をご提供できると思い、新たな事業としてサービスを開始しました。

―今後PurpleCowが考えているビジョンはどんな形ですか?―

今まではdesignclueを通してクリエーターがデザイン制作したものを販売するという流れをメインでやってきましたが、今後は、もっと幅を広げていきたいと思っています。動画を作ってインストール数を増やしたいという要望を叶えるために動画を制作するのはもちろんですが、Crevoで作った作品でチラシを制作し配布することでお客さんを呼び込みたい…といったように、直接売上や利益に繋がるような目標まで加味した導線作りをしていきたいです。分かりやすく言えば、コンテンツマーケティングですね。私達が制作する動画は、取引先となるお客様の収益に繋がるための手段、そのためのクリエイティブ制作だということを意識した動画を作っていきたいです。

今後はCrevoを軸に動画+αのサービスを提供していく予定です。より売れる導線を動画でプロモーションしても良いですし、もっと言えば、オフラインの制作プロモーション部門を作ってしまっても良いと思います。弊社の見通しとしては、来年度までにCrevoを軌道に乗せ、新たな事業として確立させることで安定した収益を作っていきたいと考えています。売上的には10億円程度にまで持っていくことが目標です。

動画制作の分野では、クラウドワークス社やランサーズ社はやはり競合になると思いますが、一番の競合はテレビ番組等の制作会社だと思っています。しかし、動画制作におけるバリエーションは弊社の方が多くご提案できると思いますので、映像制作会社とはお互いの足りない部分を補い合いながら協業していきたいと思っているんです。クラウド市場全体が活気付くように尽力していきたいと思います。

[取材/執筆/編集] 高橋秀明、白井美紗

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