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「楽しい!」と思うことがすべての原動力
― “自信”を追求すれば目標は達成できる ―

サムライト株式会社 柴田泰成
柴田泰成(しばた やすなり)
サムライト株式会社  代表取締役

1983年生まれ。愛知県出身。2006年楽天株式会社に新卒入社し、複数の新規事業立ち上げに携わる。2010年には、社内で開催される新規事業コンテストにて優勝を果たす。2012年に株式会社リクルートに入社後も新規事業の運営に従事。2013年にはインキュベイトファンド主催の「Incubate Camp 5th」で優勝。2013年9月サムライト株式会社を設立し、代表取締役を務める。

アルバイトで感じた時間の大切さ

サムライト柴田泰成-アルバイトを語る

―学生時代はどんな風に過ごされていましたか?

  大学生のときから、将来は起業したいと思っていたので、他大学の学生とベンチャーに特化した学生団体を運営していました。ベンチャー企業の社長さんに講演をしていただいたり、企業にインターンシップの紹介をしたり。あとは、合同説明会を実施したこともありました。学生側はできるだけ経営者の体験談を聞きたいと思っていましたし、企業側は学生と会いたいというニーズがあったので、うまくマッチングできていたと思います。この学生団体を運営していたメンバーの大半は、のちに起業をしているんです。あのときの体験が活きているという喜びもありますし、そういう仲間がいることは自分にとって刺激にもなりますね。

  飲食店でアルバイトをしていた時期もありました。バイトを経験して学んだことは、限られた時間をいかに有効に使うかということです。アルバイトは時給で働くので、ほかのアルバイトスタッフと同じ1時間という時間の中で、自分がどれだけ成長できるか、楽しく仕事ができているかということをつねに考えていました。学生時代にそれに気づけたことは、今の自分の働き方にも大きく影響しています。

起業したい気持ちを後押しした父の願い

―起業をしたいと思ったのには、何かきっかけがあったんですか?

  父親が経営者だったんです。父は私が高校生のときに亡くなってしまったんですけど、ずっと父の背中を見て育ってきたこともあって、サラリーマンになって定年まで勤め上げるというのは、あまりイメージが持てなかったんですよね。それと、父が生前、私に会社を継がせたがっていたという話を母から聞いて。自分で会社を立ち上げることで、父の意思が継げるのかもしれないという想いも強かったです。

―IT業界で起業をしようと思ったのはなぜですか?

  都内の大学に通うために愛知から上京してきたんですが、就職活動をしていたときに、楽天やライブドアといったIT企業がニュースをにぎわせていたんです。それらの企業のダイナミックな動きを見て、大学生なりにIT業界には大きなチャンスがあるんだろうなと感じました。もともとインターネットにすごく興味があったというわけでもなく、プログラミングを勉強していたわけでもないんですけど、将来的な可能性を求めてというのが主な理由です。それで、IT業界に進もうと思い、楽天に入社しました。

  私が大学生だった当時は、今のように学生がスタートアップで起業するという事例はそこまで多くなかったんですよね。それと、学生団体のイベントでお話をうかがった起業家の方の「20代は修行だと思って、経験を積んだほうがいい」というメッセージが印象に残っていたんです。その言葉を受け止めて「20代はしっかりと修行して、30歳で起業をしよう」と、学生時代に決意しました。

―20代は、まさに修行でしたか?

  修行でした(笑)。楽天時代には、年に1度、社内で新規事業コンテストが行われていたんです。そこで優勝することを目標に、毎日のようにビジネスプランを考えていました。新規事業は何もないところから事業を作り出すという作業なので、起業に通じるものがあると感じましたね。結果的に、入社5年目のときに開催されたコンテストで1,700件あった応募の中から優勝することができました。

世の中の変化に注目! アイデアを量産した20代

サムライト柴田泰成-20代の働き方

―コンテストで優勝するまでの5年間、どうやってモチベーションを維持したんですか?

  性格的に、決めたらとことんやるタイプなんです。小学生から高校生までは、バスケットボールをやっていたんですが、練習や試合を通して、どうすれば周りに勝てるか、そのためにどう行動するかというところを意識してやってきました。そういった思考が身についているので、企画を生み出し続けることができたのかもしれません。

  それと、5年の間で実際に新規事業を任せてもらう機会もあったんです。だから、自分でビジネスを作っていく経験というのが積み重なっているんですよね。自分で事業を担当してみて、新たに気づいた部分というのもたくさんあって。それを企画にも活かすことができたので、優勝にたどり着けたんだと思います。

―企画を考えるときのコツはありますか?

  海外のトレンドや情報は参考にしています。あとは、何もないところから考えるよりも、ある程度、考え方のパターンを作ったほうが考えやすいなと。考えることが習慣化したことで、いくつかポイントが作れたように思います。その市場・業界が伸びているのか。その中で解決できていない課題があるのか、その問題の大きさはどの程度かということですね。もっとも重要視しているのは変化のタイミングです。“変化率”って呼んでいるんですけど。

  変化が起こったところには、必ずと言っていいほど課題が発生します。たとえば、ガラケーからスマートフォンに変えたら、文字入力がしにくくなったとか。これは、ガラケーからスマホに移行したときに初めて出てくる課題ですよね。そこに対して、何かビジネスアイデアがあるんじゃないかということを考えるんです。変化率のインパクトが大きければ大きいほど、そこにアイデアのヒントがあると思っています。

経験を積み重ねてつかんだ起業のチャンス

サムライト柴田泰成-起業に向けて

―その後、楽天を経て、リクルートに転職をされますね。その経緯を教えてください。

  2012年に転職したんですけど、その前年である2011年は大きな出来事が続きました。当時、共同購入型のクーポンサイトが流行っていましたが、楽天も参入することになっていて、私はその責任者だったんです。でも、そのタイミングで業界内の不祥事が起きました。その後、東日本大震災が起こって…。市場参入機会を逸してしまったんです。しっかりと準備を進めたとしても、どうにもならないことがあるんだなと、これがビジネスなんだなと痛感しましたね。ビジネスにはタイミングが大事なんだと改めて思いました。

  そのとき、私は28歳で、30歳という自分で決めた起業のリミットが見えてきていたんです。30歳までの時間をどう使おうかと考えていたときに、別の環境で勝負してみようと思いました。リクルートは社員の副業も認めてくれているので、働きながらでも自分の時間を作って、独立するためのビジネスプランを考えることもできるだろうと思えたことが、転職を決めたポイントでした。

―リクルートでも新規事業に携わったんですよね。やはり、新規事業に関わることにはこだわっていましたか?

  こだわっていました。先ほど申し上げた通り、20代は修行期間と決めていたので、いくつの新規事業を自分で立ち上げることができるかということを意識していました。ネット企業の大手でこれだけ新規事業に関われている人はそんなにいないはずなので、自信にもつながっています。

―そういった経験を活かして、ついに起業ですね。

  目標通り、ぴったり30歳で起業することができました。今のビジネスは、楽天のときに携わっていた広告配信事業と、リクルートで関わっていた情報提供メディアを足したものがビジネスモデルになっているんです。時代の流れもあるんですが、あるとき、自分の中で「これとこれはつながる!」と確信しました。点と点が線でつながったような感覚でしたね。これはもう、自分がやるしかない!という使命を感じて、起業に至りました。

  20代でたくさんの経験をしたことで、自分のことも、ビジネスのことも客観的に見られるようになっていた気がします。起業を決意してから、不思議なくらい、人との出会いやいろいろなタイミングがうまく重なることが続いたんですよ。漠然と決めた30歳で起業という目標でしたが、自分にとっては、まさにベストな時期だったんだと感じました。

ミッションは「広告」を「情報」に変えること

somewrite.jp

―サムライトの事業について教えてください。

  企業が消費者に発信するコンテンツ…企業ブログをイメージしていただくとわかりやすいと思いますが、それらは「オウンドメディア」と呼ばれるものです。そういったメディアの制作支援を行っています。それを行うにあたって、サムライト自体のオウンドメディアとして「somewrite.jp」を立ち上げました。サムライトと提携しているオウンドメディアのネットワークという役割を持っています。

  我々にとってのお客様は、オウンドメディアを運営している企業です。そういった企業が求めていることは、自分たちが作っているコンテンツを多くの人に見てほしいということ。だったら、サムライトのオウンドメディアを使って、企業とユーザーの接点を作ろうと考えました。それを形にしたものが「somewrite.jp」です。「somewrite.jp」では、ネットワークに参加しているオウンドメディアの記事を掲載しています。そこで目にした記事に興味を持ったユーザーが、オウンドメディアを読んでくれるようになる…この仕組みをうまく循環させたいと思っています。

  また、オウンドメディアのコンテンツを、自社で開発した広告配信システムによって、さまざまな提携媒体の関連記事枠などに自然な形で掲載するという、ネイティブ広告ネットワークの運営もメイン事業として行っています。ネット広告というと、バナーのイメージが強いと思いますが、コンテンツ形式で配信することで、記事として拡散されていくというのが特徴です。

―サムライトの今後のビジョンを教えてください。

  ユーザー目線の広告の在り方というのを追求したいと思っています。私自身が楽天でネット広告に関わっていたときに感じたことなんですが、ネット広告って、ビジネスサイド(発信側)に立つと、技術も含めて画期的な仕組みだと思うんです。今でもそう思っているんですけど。ただ、一方でユーザー目線(受信側)に立って考えることができていなかったかもしれないという反省点が残っていたんですよね。

  これだけ情報があふれている世の中で、莫大なお金を使った企業目線の広告というのは、今後はどんどん、ユーザーに避けられるようになってしまうと思うんです。だから、企業がユーザーに寄り添っていくしかないという状況になるでしょうし、そうなるべきだと思っています。自分自身の過去の反省や課題も含めて、サムライトでは、お客様(企業)に納得いただけるような記事を作成し、その記事を必要としているユーザーに配信していく、ここに力を入れたいです。

  “「広告」を「情報」に変える”ことが、わが社のミッションだと思っています。これを追求することで、今の広告の在り方とは違う世界が見えてくるんじゃないかなと思っているんですよね。すぐには難しいでしょうが、我々がやっていることを、新しいマーケティングの手法として根付かせたいんです。先日、グリーベンチャーズ株式会社から1億円の第三者割当増資を得たので、今後はさらにスピードを意識し、一気に業務を拡大していきます。

―働くことに対して、どんなことを大切にされていますか?

  一番大切にしていることは、楽しく働くということです。これは、起業してからではなく、アルバイトをしていたときもそうですし、“働く”ということを意識したときから変わらず思っていることですね。それから、自分で決めたことは、最後までやり抜くこと。途中で投げ出したくなるようなこともあるかもしれないですけど、挑戦しているプロセスそのものを楽しむために、いかに工夫するかということも仕事のおもしろさだと思っています。私は、チャレンジが困難であればあるほど燃えますよ(笑)。

  あとは、どんな小さいことでもいいので、自分にとっての“一番”を見つけることも大事です。この分野に一番くわしいのは自分だって思えるようなこと。私の場合、新規事業を作った経験もそうですし、今行っているビジネスに関しても、自分が一番くわしいという自信があります。そういう強みを持っていることが、働くうえで大切なことだと思いますね。



[取材] 高橋秀明、渡辺千恵 [執筆/撮影(インタビュー写真)] 渡辺千恵

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