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ドリンク無料、持込OK、スマホ充電も可!“大学生限定”『知るカフェ』のヒミツを、生みの親が語る

株式会社エンリッション 柿本優祐
柿本 優祐(かきもと ゆうすけ)
株式会社エンリッション 代表取締役CEO

1987年生まれ、兵庫県神戸市出身。同志社大学商学部卒。学生が企業の人事担当者と気軽に、直接交流ができる大学生限定カフェ『知るカフェ』を運営。2016年6月現在で東京大学前、京都大学前など国内で11店舗を展開する。
2011年4月、ERPパッケージソフトメーカーの株式会社ワークスアプリケーションズに新卒入社。2013年、株式会社エンリッションを設立。2014年同志社大学前に『知るカフェ』一号店を出店。2016年4月には海外初出店となるインド工科大学ハイデラバード店がオープン。スポンサー企業は200社を超える。(エンリッション本社最寄り:今出川駅
※本文内の対象者の勤務先・役職はすべて取材当初のものとなります。

学生・企業に大人気!『知るカフェ』が無料で使えるワケと、真の意味

知るカフェ慶応大学前店 今回の取材場所である慶応大学前店のスタッフの皆さん。『知るカフェ』店舗の運営はすべて現役生が担っている。

―エンリッションが運営する『知るカフェ』についてご紹介ください。

  大学生限定のカフェです。大学のすぐそばに店舗を構えていまして、大学生だと証明できればコーヒーなどの飲み物はすべて無料。持ち込みも可です。コンセントもあるので携帯やスマホの充電もできますし、wi-fiも利用できます。

  企業200社がスポンサー参画するスポンサー料だけで運営しているのも特徴で、家賃、人件費、運営費、すべてスポンサー料でまかなっています。

  スポンサーとなった企業は『知るカフェ』に自由に入ることができ、会社案内など企業の広告を出したり、説明会、交流会といったイベントを開くことができます。人事担当者が来ることもありますが、多くはその大学のOBOGです。

―就活生やキャリア志向の高い学生が、主な利用層になるのですか?

  いえ、そうでもありません。学年問わず、皆さん大学そばの気軽なカフェとして使っていただいています。僕らも100%「カフェ」として運営していますので、居心地のいい空間づくりと一杯のサービスクオリティーにこだわっています。

  また、就活生だけにターゲットを絞っているわけでもありません。学年別だと、『知るカフェ』利用者の42%が1~2年生で、これは『知るカフェ』の目的と合致しています。

  『知るカフェ』が目指しているのは、学生と社会人が同じ空間を共有し、交流できる場です。今はSNSによって敷居は低くなりましたが、授業や部活の合間をぬって社会人と会おうと思ってもなかなか難しいですよね。特に1~2年生の間は、社会人と触れ合える機会が少ない。

  でもいつも来るカフェに、たとえば「三井物産の慶応大OBが来る」って聞いたら「じゃ、ちょっと覗きにいこうかな」って思いますよね。『知るカフェ』という空間を通じて、早い段階から学生に、社会との接点を提供したいと思っているんです。

『知るカフェ』の誕生――大学時代の経験が身に染みて

株式会社エンリッション代表取締役CEO柿本優祐さん

―全体的にとても興味深い事業モデルですが、そもそも気軽に社会人と交流が持てる場づくりを目指したきっかけは何でしょうか。

  『知るカフェ』の事業モデルを思いついたのは大学3年生の時ですが、1年生の時から僕は社会人のいるスノーボードサークルに入っていたので、社会人と触れ合う機会がすごく多かったんです。

  大人が運転する車で、兵庫からスキー場のある長野まで、6時間かけて行ったりしていました。それもワンシーズンで2~30回くらい(笑)。

  同乗しているのは証券マンや銀行マンといった社会人ばかりでしたが、すごく楽しくて。「トンネルをつくってるんだ」「どうやって掘ってるんですか?」とか、そんな会話を車の中でずっとしていました。

  気づいたら、自分のなかでいろんな業界に興味が湧いていました。社会人といると得るものも大きくて、大学時代は「社会人と触れ合うこと」「自分の足で情報を集めること」をルールにして過ごしていました。ですので、就活時期が始まったころにはすでに自分の将来の方向性が決まっていたんです。

  普通は、就活が始まったらまず就活サイトに登録、それから企業研究して……といった流れですよね。僕は最初は商社を希望していましたが、そんな周囲を見ているうちに「社会人との交流があれば選択肢が広がるのに」「大学1年の時から、社会人と触れ合う場をつくれないか」と思い始めたんです。

  そのことを大学のキャリアセンターにも相談しに行ったんですが、結局「柿本、お前に任せた」と(笑)。それでどういう形がいいかなと考えたところ、やっぱり僕が車の中で体感したような、リラックスして気軽におしゃべりできるような空間があればいいなと。

  学生に気軽にどんどん来てもらうには、やっぱりカフェで、飲み物は無料がいい。そのために企業のスポンサーをつけるという事業モデルにしよう、と考えました。
  これが『知るカフェ』をつくろうと思った経緯ですね。

知るカフェ大阪大学前店 柿本さんもお気に入りという『知るカフェ』大阪大学前店の店内。内装は各大学のイメージやカラーに寄せているため、店舗によって特徴がある。

―ご自身の経験から『知るカフェ』が誕生したわけですね。現在の就活についてお話が出ましたが、現代の就活という視点から見れば、『知るカフェ』はアナログで非効率的ではありますよね。

  まさにその通りなんです。でも、僕は今の「就活」という形はあまりに凝り固まっていると感じているので、それをつぶせたらいいなって期待しています。

  大学1年の時から自然に社会に触れる環境をもっとたくさんつくってあげれば、結果的に就職の間口ももっともっと広がるはずです。

  『知るカフェ』利用者の42%が1~2年生ですから、企業さんとしても1~2年生に向けたアプローチができる機会があります。キャリア支援という意味でも双方とても喜んでいただいていますし、学生さんも企業さんも、今後もどんどん利用していただきたいですね。

―『知るカフェ』の店舗スタッフはすべて現役生が担っているとのことですが、それはどういった意図があるのでしょう?

  たとえば同じ学生でも、慶応、東大、京大、早稲田……それぞれ日々の生活スタイル、勉強スタイルが全然違います。慶応には慶応生向けの、東大には東大生向けの接客やサービスが必要です。それにはその大学の学生が運営するのが一番だ、と。

海外にも進出する『知るカフェ』。今後の展望は?

知るカフェの今後について語る柿本氏

―今年(2016年)インド工科大学にも出店し、『知るカフェ』は国内外問わずますます広がりを見せていますね。今後どうしていきたいと考えていますか?

  空間づくりはできたので、あとはどういうコンテンツをつくればもっと気軽に交流してもらえるかを考えています。

  また、大学内に『知るカフェ』を誘致したいという要望もいただいていまして、来年は国内で16店舗、海外は22店舗まで増える予定です。

  一部の学生だけじゃなく、世界中の学生たちに『知るカフェ』の空間を提供したいですね。

―海外の『知るカフェ』も、事業モデルは同じなんですか?

  まったく一緒です。「学生にもっと多くの選択肢を」という部分は、日本だけじゃなく海外でもものすごく求められています。インド工科大学に関しては、日本よりも企業情報が行き届いておらず、そのため情報に飢えている学生が多いです。

―日本とインドの学生で違いを感じることはありますか?

  日本よりも、インドの学生のほうがキャリア形成に関して目的が明確です。みんな地元のインド企業よりも、日本を含めた海外のグローバル企業を目指して大学に入学します。

  でも情報は限られているし、海外の企業の人に会う機会は、さらに少ない。インドの学生のために、そういった機会を得られる場所をつくろう、と思ったのが、海外進出のきっかけですね。

  今回、インドの学生の採用に積極的なワークスアプリケーションズさんや村田製作所さんなどにスポンサーになっていただきました。ちなみにフリードリンクはインドらしく、チャイやマンゴージュースを出しているんですよ。

どうしても『知るカフェ』をつくりたくて――エンリッション柿本氏の素顔

エンリッション柿本優祐さん

―大学に入るまで、なりたい職業や夢はありませんでしたか?

  なんとなく、起業はしたいなって思ってましたね。小学生の卒業論文に「お寿司屋さんを経営したい」って書いていたんです。

  でも、それがなぜなのか全然覚えてなくって(笑)。両親も公務員ですし、どういうきっかけがあったかはまったくわからないです……。

―(笑)大学時代では、社会人となるべく会うように心がけていたということですが、アルバイトもそういった意識でされていたのですか?

  そうですね。通っていた同志社大学の近くにある、アメリカンレストランのオープニングスタッフとして働いていました。僕は17時からのシフトで、30席のカウンターでバーテンダーをしていました。

  お酒の席でしたのでお客さんはほとんど社会人。カウンターごしで「どんな仕事をしているんですか?」とか、いろいろお話を聞いていましたね。楽しかったです。

―『知るカフェ』を思いつく前は商社を希望されていたんですよね。それはどうしてですか?

  僕が出会った商社マンが、単純にカッコよく見えたんです。仕事も遊びも「デキる」って感じの人で、こういう大人になりたいなーって。……大学1年生って、そんな単純なもんですよね(笑)。それから5大商社のパンフレットを請求して、商社の違いは何かって研究をしましたね。

  結局、商社は1社も受けませんでしたが。それくらい、『知るカフェ』のほうをやりたかったんです。

慶応大学前の知るカフェにて

―すぐには起業せず、ワークスアプリケーションズに入社したのはなぜですか?

  最短で力をつけられる会社、という軸で会社を探していたところ、ぴったりだと思ったのがワークスアプリケーションズでした。『知るカフェ』をやりたいと伝えたうえで入社しています。

  ワークスアプリケーションズは主に大手企業が使うような業務ソフトやシステムをつくるメーカーでしたので、大手企業向けの営業をずっとしていました。『知るカフェ』のスポンサー集めには、この時の経験がめちゃめちゃ活きてますね。

―2013年に『知るカフェ』第一号店である同志社大学前店を開店されます。営業経験があるとはいえ、まだ実績もない状態でスポンサーをとるのは相当難しかったのでは。

  大変な時は、本当にもう……。まだ何もない状態の会社にスポンサー参画するのって、企業さんにとっては相当ハードルが高いですしね。

  こちらはホームページもないし、本社が実家という状況でしたし(笑)。まだお店もつくってないので「架空の商品」として資料を作成し、とにかくテレアポをしまくる毎日でした。

  結果、三井物産さんを始め、25社のスポンサーを集めることができましたが、実際はその10倍以上は訪問しています。この時スポンサーになってくださった企業さんには、本当に感謝していますね。

―何か営業面で気をつけていたことはあったのですか?

  「スポンサーになればこういう効果がある」といったサービス面を推すよりも、「僕は、こういうものがつくりたいんです!」という想いやビジョンを話すようにしました。それに共感してスポンサー参画を決めてくださった会社さんも多かったし、信用を得るにはそれが一番やりやすかったんです。

  大阪のある企業さんに参画していただいた時の話ですが、電話に2回出れず、3回目の電話でようやく出られたんです。その時、「飛んだ(行方をくらました)かと思ったわ、ちゃんと電話出ろ!!」ってものすごく怒鳴られまして……それくらい、当時は信用なかったわけですよ。今はもう、電話が来たらできるだけ1秒以内に出るようにしています(笑)。

もっと気軽に、気兼ねなく。『知るカフェ』を使ってほしい!

知るカフェ慶応大学前店スタッフと柿本優祐さん

―柿本さんが仕事をするうえで、ポリシーとしていることはありますか?

  自分しかできないことをやること。ほかのメンバーでできることは任せて、僕は自分にしかできない仕事をやるように意識しています。

―柿本さんが描いているエンリッションの将来像を教えてください。

  海外の100大学に、『知るカフェ』をオープンしたいなと思っています。あとは毎年行われている「EY アントレプレナー・オブ・ザイヤー(※)」に優勝することを目標としています、がんばります!

※新日本有限責任監査法人が行う、国際的な起業家表彰制度。毎年6月に各国の代表の起業家がモナコ公国に集まり、世界一の起業家が選ばれる。

―それでは最後に、学生の皆さんへメッセージをいただけますでしょうか。

  勉強でも、サークル活動でも、おしゃべりでも。『知るカフェ』をもっと気軽に、どんどん使ってください。社会人との交流は、ぜひ入店1回目から体感してほしいですね。

  学生と社会人では視点が全く違うけれど、マイナスにはならないと思います。それを何かのきっかけにできたら、きっと大学生活の在り方も変わってきます。

  そして、『知るカフェ』の中だけでなく、外でも。社会人との交流を、思い切ってどーんと!やってくれたら、嬉しいです!

<株式会社エンリッション>
本社
京都市上京区今出川通室町東入今出川町313 SAKURA BLD.今出川II 2-E
京都市営地下鉄烏丸線 今出川駅より徒歩すぐ

<知るカフェ 慶応義塾大学前店(取材場所)>
〒108-0073 東京都港区三田3-1-5 慶応義塾大学三田キャンパス前
都営三田線 三田駅より徒歩約6分

[取材・執筆・構成・撮影(インタビュー写真)]真田明日美

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