バイト・仕事を楽しむキャリアマガジン

バイト・アルバイトはモッピーバイト > 東京都 > 港区 > 六本木駅のバイト > 森敦子

データベース&ライブ配信でスタートアップの魅力を伝える

ジャパンベンチャーリサーチ 森敦子
森 敦子(Atsuko Mori)
ジャパンベンチャーリサーチ 執行役員・シニアアナリスト

千葉県印西市出身。2009年、青山学院大学 経済学部を卒業。国内の金融機関に新卒入社し、法人融資業務に4年半ほど従事したのち、2014年4月に国内の大学院へ進学してMBAを取得する。2016年2月、株式会社ユーザベースへ入社。世界の企業・業界情報プラットフォーム『SPEEDA』において顧客の課題を解決するコンサルティング、アナリストチームを経て、2018年1月にはユーザベースのグループ企業である株式会社ジャパンベンチャーリサーチにシニアアナリストとして異動。 同年7月に執行役員へ昇格した。

株式会社ジャパンベンチャーリサーチユーザベースグループ)
[創立]2011年4月
[所在地]東京都港区六本木7-7-7 TRI-SEVEN ROPPONGI 13階
[アクセス]東京メトロ日比谷線 / 都営地下鉄大江戸線 六本木駅から徒歩5分

※内容はすべて取材当時のものとなります。

『Career Groove』の編集長になって、約1年半。「リーダーインタビュー」のラインナップや候補者を考える際に食指が動くのは、ユニークで味わい深い事業を手がけるベンチャー企業やスタートアップを立ち上げた創業者でした。

ただ編集部で取材できる会社は限られており、サービスや事業の魅力を伝えられるのは、ほんの “ひと握り”。だからこそ、たまたま目に入った企業の代表にアプローチするのではなく、新興企業の全体像をつかんだうえで慎重に取材対象者を決めたいと考えていました。これから伸びるのはどのような業界で、気鋭の起業家はどんな人物なのか……?

日本にスタートアップやベンチャー企業がどれだけあって、どんな起業家が何人いるのか瞬時につかめる方法はないものかしら、と考えていた矢先に知人から紹介を受けたのが、スタートアップのデータベース『entrepedia』。運営している “中の人” はどんな方なんでしょう?

「スタートアップを活性化させたい」という思いで、あらゆる企業の情報が網羅されている『entrepedia』に関わる森敦子さん。最近は、ファウンダー(創業者)と気軽にコミュニケーションが図れるライブ配信サービス『ami』の運営にも取り組んでいらっしゃいます。「取材候補者を決める手がかりがつかめるかも!」とさっそく会いに行き、話をお聞きしました。

株式会社ジャパンベンチャーリサーチ(ユーザベースグループ)の森敦子さん

大学卒業後は金融機関で法人融資業務に従事したのち、大学院に進学しMBAを取得した森さんは株式会社ユーザベースに入社。企業・業界情報プラットフォーム『SPEEDA』を活用しながら顧客の抱える課題を解決するアナリストに転身します。その後、ユーザベースのグループ企業であるジャパンベンチャーリサーチ(JVR)にシニアアナリストとして移籍し、スタートアップ業界を盛り上げるべく執行役員に昇格しました。

新卒4年目にして、キャリアの舵を大きく切ったその心は?
スタートアップや起業家に魅了されるようになったいきさつは?


「いまの働き方でいいの?」


と悩むアラサーキャリア女子(だけでなく男子)よ、迷いを振り切った森さんに続こうではありませんか!

スタートアップの “生態系” を網羅する『entrepedia』

――この度は取材の機会をいただき、本当にありがとうございます! 早速ですが、『entrepedia』にはスタートアップのどんな情報がまとまっていますか?

国内スタートアップの情報がワンストップで取得できる『entrepedia』には、

 ファイナンス情報(資本政策の推移)
 スタートアップ関連ニュース
 株主情報(投資家・ファンド情報)

といった情報がまとまっています。

『entrepedia』企業ページ・サンプル

これらの情報をもとに、どのセクターが盛り上がっているのかパッと見て分かるように可視化された「マップ」も用意しています。たとえば今はソフトウェア/システム、HealthTech(※1)、FinTech(※2)系のビジネスが盛り上がっているなぁ……というのが分かったり。

(※1)健康・医療にまつわる社会課題の解決を目指して、ヘルスケアとITを融合したサービスを提供する機運が高まっている。テレビ電話を用いた医療相談、専用アプリで受けられるダイエットの専門トレーナーや栄養士からのサポートなど。

(※2)金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語。両者を結びつけ、革新的なサービスを提供する企業が増えている。仮想通貨をはじめ、決済・資産管理&運用・ソーシャルレンディング・会計など多岐にわたって展開されているのが特徴。

『entrepedia』ベンチャーマップ

――『entrepedia』はどういった経緯で生まれたツールなんでしょうか?

スタートアップって、これまで日本でブームが「3回あった」と言われているんですね。でもすべて一過性の “ブーム” で終わってしまっていて……。社会に根づかない理由はいろいろあると思うんですけど、そのひとつに「よくわかんない」があるのでは、と私は考えています。

その “わかんなさ” を言語化してみると……日本のスタートアップ業界は資金調達額などの “定量ファクト” がとりわけ見えづらいんですよ。スタートアップの聖地であるアメリカでは、インターネットで検索するだけでレポートが簡単に見つかるのに。

――定量ファクトが見つからないと何がまずいんでしょう?

スタートアップはスケールする事業で速い成長が求められます。その際にどのタイミングでどの投資家から、どのくらいファイナンスされればよいか……など参考にできる指標があったらうれしいですよね。投資家サイドからすると、そもそもどういったスタートアップがいるのか、彼らのファイナンス情報や業績推移がないと評価のしようがありません。

この状況を解決しようとしているのが『entrepedia』。我々は、スタートアップ業界のデータをとにかく集めてデータベース化し、彼らの “生態系” を網羅しようとしています。一般的にありそうな数字が実は『entrepedia』にしかまとまっていないんですよね。

――スタートアップが世間に公表しておらず、『entrepedia』で独自取材をされているということですか?

方々に散らばっているデータを、『entrepedia』が一覧できるようにしているイメージですね。

上場企業のデータであれば『EDINET』(※3)のような、国が運営しているデータベースに有価証券報告書(※4)が出ているので、そちらを参照すればいいんですけど。スタートアップにはこうしたデータが一度に揃わないので。

(※3)金融商品取引法にもとづく有価証券報告書など開示書類に関する電子開示システム。有価証券報告書、有価証券届出書、大量保有報告書といった書類について、その提出から公衆縦覧にいたるまでの一連の手続きを電子化するために開発され、24時間365日稼働している。

(※4)金融商品取引法で規定されている、事業年度ごとに作成する企業内容の外部向け開示資料。

――スタートアップは『EDINET』で有価証券報告書を開示していないのでしょうか?

未公開であるスタートアップには、それらを一般公開する義務がないんです。企業の過去の結果である財務諸表ではなく、“将来性” を評価される場合が多くて。

――そうか、だからスタートアップ自体の存在や手がけている事業内容を知ってもらう必要があるんですね。

その通りです。情報が少ないから「こんなスタートアップあります」と紹介されるだけでも便利なんですよ。たとえ財務情報がなかったとしても、過去の受賞歴やファイナンス実績があったら参考になりますし。

――なるほど。『entrepedia』では公表されていないデータをどうやって集めているんですか?

専属のリサーチャーが、大量にあるスタートアップのニュースやプレスリリースを毎日1,000~2,000件確認しながら拾っています。新規の資金調達状況や事業提携といったトピックから、『entrepedia』のファイナンス情報に関係ある情報だけをピックアップしてデータベースに入力して。

――気の遠くなりそうな作業ですね。

弊社のリサーチャーは、情報を集めるのがすごく得意なんです。作業はけっこう泥臭いかもしれませんね。

――リサーチャーが泥臭く集めた情報を、ユーザーはどのように活用すればよいのでしょう?

スタートアップ側からすれば、

 参入した業界にどういった競合がいるのか
 現在どのセクター(※5)が盛り上がっているのか
 →盛り上がっていなくとも “穴場” で狙い目だったりする
 気になる会社がどのような資本政策を行っているのか

といったことを確認できます。

(※5)主に株式相場や市場を分析する際に、便宜上区分するグループを指す。

投資家サイドの使い道としては……まずはどういうスタートアップがいるか知ることができます。そして、我々が集めた定量ファクトを材料に、ご自身が投資したい企業を見定めていただければ。そもそもスタートアップって「定義」が曖昧なところがあるんですよね。ですので『entrepedia』では改めて定義づけを行い、投資家にとって有用な情報が集まる仕組みを整えました。

――私も取材候補者の選定材料として参考にし始めました。すごく勉強になっています!

ありがとうございます! 仕事冥利に尽きますね。

定量レポートを発信することで、スタートアップ業界を盛り上げたい

――次に、森さんが『entrepedia』の運営チームの中で担っている役割について教えてください!

それは会社の設立意図をお話しすると伝わりやすいかもしれません。私の役割はその “延長線上” にあるので。

――ぜひ!

『entrepedia』を運営する弊社、ジャパンベンチャーリサーチ(JVR)はもともとNPO法人で、公共性・社会性を重視しながら2006年に設立された会社なんです。スタートアップが “生まれ”、“育ち”、“成長” するエコシステムの基盤を担い、 新たなイノベーションの創造に貢献するという強い志から始まり、2011年に株式会社化したタイミングで『entrepedia』がリリースされました。17年には “拡大” を目指してユーザベースと一緒になることが決まったんです。

株式会社ジャパンベンチャーリサーチ(ユーザベースグループ)の森敦子さん

――“拡大” が目指すビジョンは?

起業家や投資家のために、『entrepedia』は泥臭いデータ収集を続けてきました。でも現状は、彼らにとって必要なデータがここに一元化されている事実が世に広く知られていません。それってめちゃくちゃもったいない!

だから私の役割は、『entrepedia』にまとめられている定量ファクトの存在意義を周知させることです。「上場企業だけじゃなくて、スタートアップの各種データも開示されている方がいいよね」という風潮をつくり、世間のマインドにまで浸透させるためにも、とにかく発信し続けるのが私の仕事だと思って取り組んでいます。

――上場企業だけでなく、スタートアップの情報開示にこだわるのはどうしてですか?

スタートアップ業界って、外部からきた私からすると少し見えづらいんですよね。だからもっと社会にもっと “開いて” いってもいいのかなって。熱量が高い、クローズドなコミュニティの必要性もあるので、すべてオープンになることがよいとは言いません。ただ、スタートアップのデータを可視化して輪郭を浮かび上がらせることで、人や技術・お金の流れが新しくつくられる……は言い過ぎかもしれませんが、少なくともそんな世界につながると信じてやっています。

『entrepedia』を通じて業界に注目が集まり、スタートアップが一過性のブームではなく継続的に生まれて育つような新しいコミュニティをつくっていきたいです。

――新しいコミュニティをつくって、どんな世界を実現してみたいですか?

社会に出て活躍する選択肢のひとつに、スタートアップが選ばれるような世界をつくりたいですね。そのためにファウンダーが尊敬されるカルチャーを醸成する。そうすればおのずと起業に興味を持つ若者が現れるんじゃないかと思って。

とにかく起業家を増やしたい! スタートアップを通じて社会を、日本をワクワクさせたいです。その波が国を越えて海外に広がっていけば、今よりもっとおもしろそうな世界が実現するのでは……と感じています。

――リリースから数年が経過した『entrepedia』において、森さんが現在もっとも力を入れている業務を教えてください。

『entrepedia』で収集しているデータから定量的な傾向を読み取り、「スタートアップって今こういう状態なんだよ」とレポートにまとめて発信しています。

左『entrepedia』・右『NewsPicks』スタートアップ2018レポート

参考(左):entrepedia / 国内スタートアップ 資金調達動向2018
参考(右):NewsPicks / 評価額1,000億円に近づくFinTechスタートアップが増えた2018年

――リサーチャーが集めた定量ファクトを “有機的” なものにするというか。

そうですね。 クレンジングして、集計して、読み取って、外に出せる形にしています。

――レポートを拝見していると、数値データやグラフ一辺倒ではなくテキストも入っていますね。

定量と定性のバランスが重要と感じて入れました。弊社が持っている定量データは公表されているものだけ。でもそれって膨大にある企業データの種類からすると、一部にすぎないんですよね。

――他にはどんな種類のデータが想定されるのでしょう?

たとえばユーザーや社員の満足度みたいなアンケート系のデータは手元にありません。公表されている数字だけでスタートアップを “語る” こと、その生態系を網羅することは難しいので定性の情報も大事だな……と痛感しています。

あとはやっぱり、起業家やファウンダーの人となりを伝えていかなければと考えていて。

――“人” にフォーカスする?

企業だと無機質で “顔” が見えてこないですよね。少数精鋭で立ち上げるスタートアップって、特に初期段階はファウンダーの人柄をはじめ、サービス・事業内容に懸ける “思い” が大切なんです。そこに共感して惹かれるからこそ、「一緒に働いてみたい」「応援したいから投資する」といった動きが発生するので。だから彼らの人となりにスポットライトを当てたいんです。

――それが今後のビジョン?

そうですね。ただ「挑戦する勇気と機会を提供するプラットフォームを生み出す」というビジョンを達成するには「起業家を増やす」ことが必要だと考えていて。それは『entrepedia』だけでは難しいという結論にいたり、起業家と未来の仲間をつなげる『ami(アミ)』というサービスをつくって運営し始めたところなんです。

――へぇ! どんなサービスなんですか? 詳しく教えてください!

起業家のライブ配信サービス『ami』で、スタートアップをより身近に

――『ami』おもしろそうですね。ぜひ詳しく教えてください!

起業家が仲間を集めるためのストーリー発信を、amiがクリエイティブとテクノロジーの力でサポートするサービスです。

具体的には、

 インタビュー動画(記事)
 起業家ページ
 ライブ / ライブアーカイブ動画(記事)

といったコンテンツがサービス内に盛り込まれています。それぞれ、ユーザーが起業家を “発見” し、“理解” したうえで、彼らに “共感” できるように設計されています。

起業家ライブ配信『ami』設計イメージ&スマホ表示イメージ

ライブでは、見ているユーザーが起業家に直接コメントを送れるようになっていて、

「どうしてこのサービスをつくろうと思ったんですか?」
「そのサービスで実現したい世界は何ですか?」
「なんで起業の道を選んだんですか?」

といったことをリアルタイムで聞くことができます。

――起業家に特化しているんですね。サービス名の由来は何ですか?

能を大成した観阿弥や世阿弥にちなんで、『ami』と名付けました。自己表現を通じて新しい世界を切り開くアーティストに、起業家をなぞらえたんです。

世界を変えるには、アーティストを応援する仲間が必要です。起業家の挑戦は、彼らが目指す未来に共感する仲間が集まって加速すると考えています。

起業家ライブ配信『ami』コンセプト

――キャッチの「起業家はアーティストだ」にはそういった思いが込められているんですね。彼らを中心にファンコミュニティを形成する狙いはどこにありますか?

メディア露出や情報発信が難しい創業初期のスタートアップは、応援してくれるサポーターの存在が必要です。そこで起業家が、サービスを生み出すにいたった原体験や実現したい世界を、ライブ配信を通じて伝える。

その思いを目の当たりにした参加者に “共感” が生まれることで、駆け出しの起業家による仲間集めの手助けができればいいな、と考えました。

――“共感” に着目したのは?

誰かのファンになる瞬間って、その人の価値観やセンスに “共感” した時だと思うんです。次に「もっとよく知りたい」「応援したい」という気持ちが生まれる。そして、実際に仲間になる。そんな流れが自然に発生するような仕組みを整えたかったんです。

――ライブ配信の流れを教えてください。

事前インタビュー

ライブ配信をより充実したものにするため、事前に登場してもらう起業家にインタビューを行い、サービスにフォーカスした紹介記事を掲載しています。ライブ配信に登場するのはどんな人物かあらかじめ知ってもらうことで、ユーザーは彼らを “発見” することになるんです。

参考:今田孝哉 / 株式会社Asobica「熱量のある小さなコミュニティを支える仕組みを」

今後はこのインタビューをもとにした動画も公開予定です。

ライブ配信

ユーザーと起業家の出会いを演出したあとはいよいよ、当日の正午にライブ配信。タイムラインに流れるユーザーからの質問やコメントに、起業家が回答していく……という流れですね。

ライブアーカイブ

ライブをオンタイムで見られなかったユーザーや、起業家の “発見” につながるように、ライブの書き起こし記事も用意しています。この記事のファンという方も登場し始めました。アーカイブ動画も近日中に公開予定です。

参考:note / amiライブ

――正式リリース以降、ユーザーと起業家からそれぞれどんな反応がありましたか?

ユーザー

『ami』で取り上げるのは、一般メディアに露出する一歩手前……いわゆる “シード期” の起業家。そんな彼らが、「自分の言葉でスタートアップや起業の “リアル” を語ってくださるのを聞くのが楽しい」とユーザーから言われたことがあります。いいこと・悪いことを含めて。

起業家の想いをベースに話を掘り下げているため、「事業に懸ける熱い気持ちが伝わる」という声も頂戴しました。UIや機能面に関して反省点も多いですが、私たちの狙いはユーザーに伝わっていることを実感しています。

起業家

メディアに露出したくても取り上げられる機会の少ない起業家からは「紹介されること自体がうれしい」という声が上がっています。

『ami』に登場したことで求人応募やプロダクトの商談につながったケースもあるそうです。他のメディアに取り上げられる起点になった企業もありました。

――私もランチ休憩中にライブ配信を拝見しています。この「リーダーインタビュー」の取材候補者を探す企画立案が楽しくなりました!

ありがとうございます! ユニークな起業家やスタートアップにぜひ出会ってみてください! 2019年4月以降に新しいお知らせもどんどん出していけると思いますので、ご期待ください。

ami

ami

ジャパンベンチャーリサーチ無料

参考:ami

ノリと勢いの法人営業がMBA取得、 “公私混同” キャリアを築いたら

――次に森さんのキャリアについて聞かせてください。新卒入社したのは金融機関でしたが、当時はどのような基準で企業をお選びになっていましたか?

当時は本当に何も考えてなかったですね……というのも「大手の会社に入ってくれたら安心」と考える両親のもと、保守的な家庭で育ったので。安全な道を歩くのが当然だったので完全に思考停止していて、“考える力” が本当に弱かった。

――そうだったんですね。銀行では法人営業の仕事に就いて、一定の評価を得たとお聞きしています。社会人になって “考える力” がついたのでは?

いやいや……ひょっとしたらすでにお気づきかもしれませんが、私、基本論理よりパッションが先行する、ノリで生きてるタイプの人間なんです。

――確かに森さん、ノリと勢いで人の懐に入ってくる “コミュ力おばけ” っぽさありますね(笑)

本当は人見知りです(笑)

株式会社ジャパンベンチャーリサーチ(ユーザベースグループ)の森敦子さん

――ちょっと信じられませんが……続きをお聞きします(笑)

銀行で営業やってたころは “若さ” に救われてました。男性社会だったので飲み会での功績が評価を左右するところもあって。にぎやかな雰囲気が好きだったのでよく顔を出してたんですけど、年を重ねたら体力的にキツくなってきて。

そのころ、大きな失敗をしたんです。でも周囲の仲間やお客さんは変わらずよくしてくださって。私の能力不足のせいで、いざという時に彼らを助けられないというジレンマを抱えていたんですよね。

――助けたいのに助けられない場面って?

お客さんが抱える問題をきっちり言語化して明確にしたうえで、「じゃあうちの銀行にはこんな解決策がある」と提案することが当時はできませんでした。見事なまでにノリと勢いだけの人間だったので、ロジカルに説明する能力が著しく欠けていたんですね。

――これからの働き方を考える、ターニングポイントが訪れた。

そうなんです。「30~40代になってもノリと勢いの森が通用するのか?」と考えた時に、初めて「あれ?」と立ち止まって。身体を壊したことが直接のきっかけですね。

――思考停止していた森さんの時計の針が、少しずつ動き始めた?

はい、体力と提案力に不安を覚えてからは「手に職」をつけたいと考えるようになりました。

まずは圧倒的に欠けている “考える力” や “ロジカルに説明する力” をつけようと、大学院に進学してMBA(経営学修士)を取得しようと思い立って。キャリア転換しないと、体力不足の問題も解決しないと感じていましたし。

――大学院ではどんなことを学んで “考える力” を身につけていったんでしょう?

最初に基礎授業をいろいろ受けるんですけど、「統計」に出会った衝撃は忘れられません。「何これ、めっちゃおもしろーい!」って夢中になりました。

――統計の何が森さんに刺さったんですか?

統計を “ツール” にして、自分が実現したいことをうまく進めることができるんじゃないか……と感じたんです。それに、今まで銀行の法人営業でおそるおそる提案していたものにロジカルさが加わるだけで、救えるお客さんがだいぶいたんだ……ということに気づいた。

とにかく初めて自主的に「これ勉強したい!」と直感したんですよ!

――統計を使うと、何が可能になると感じられたんですか?

あらゆる物事には構造があって、比較する……相対評価することができることに気づいて。でもこれまで直感で「これいい!」と絶対評価しがちだったなぁ、と。

銀行の法人営業時代も「なんとなくこれがいいんじゃないか」みたいにピン! と直感するものの、その理由を明確に説明できなかったんですよ。この曖昧な状態に統計の視点が加わると、「AはBと比べて、このポイントに優位性があるからいいんです」と相対的に物事をはかることができる。逆に相対性から外れる、絶対的な価値観が際立って見えてくることもありますし。

――そうだったんですね! 統計を勉強してよかったことは?

物事の全体感を、自分の頭の中で捉えられるようになったことですね。「木を見て森を見ず」だったのが、森が見えるようになった。

――そのようにして “考える力” を身につけた先に、どうしてユーザベースを選ばれたんでしょうか?

個人を尊重する社風やカルチャーを、選考の段階から感じたんですよね。常に「君は何をやってみたいの?」と聞かれました。転職活動ではいろんな会社を見たんですけど、ユーザベースは最初からそのスタンスで。

前職の関係と私の雰囲気から「営業に興味ない?」と最初に聞かれたものの、きっぱり「ありません」とお断りしたら以降は話題に挙がらなくなりましたし、「それなら応募された職種で選考活動を進めますね」ということで私の考えを尊重してもらいました。個人の思いを大切にしながら実現に向けて一緒に考えつつ、ブラッシュアップしてくれる姿勢に打たれました。

――入社してからも個人を尊重する風土に変わりはなかったですか?

最近は「行ってみたい」と希望したら、シリコンバレーに出張で行かせてもらいました。

――スタートアップの聖地じゃないですか!

そうなんですよ! スタートアップ業界に携わり始めた当初、「聖地を見ずして語ってよいのか?」みたいな葛藤があって。単純に興味があったのと、自分の成長を見据えて芽生えた気持ちを伝えたら……通りました。

個人の興味関心が会社の方向性と合っていれば、チャンスをくれるのがユーザベース。もちろん結果を出すことが前提ですが。私は最初、『SPEEDA』のコンサルティングサービスチームに配属されましたけど、コンテンツをやりたくてアナリストチームに異動しましたし。

JVR(ジャパンベンチャーリサーチ)に来たのも志望したからなんですよ。

――柔軟ですね。

あと私、配属されたチームでずっと同じ仕事をしていきたいタイプではないみたいで。常に新しく変化のある状態が好きらしく、その志向性も満たしてもらっているなぁ……と感じています。

仕事を “拡張する” とか “つくる” みたいにデザインしたり、時にプロジェクトを組んだり、安定したレシーブを供給するバレーボールの “リベロ” 的な動きをして現在のポジションに流れ着いたところもあって。社内でも「本業や所属チームがわからない」と言われることがあるんですが、それが私の特徴だと思います。今はカメラマンやってますし。

――突然のカメラマン宣言(笑)!

写真を撮り出したのは必要に迫られて。『ami』をリリースした昨年(2018年)10月から始めました。それまでは全く興味なかったんですけどね、スマホでの撮影も特に好きじゃなかったので。

とりあえず動いて成果物を出して、反省して……というPDCAを高速で回した結果、めちゃくちゃハマりました。コンテンツづくりにもともと興味があったので、自分の性分に合ってたんですね。

いまではプライベートでも撮影に行くくらい、写真が好きになりました。仕事でも撮れるのでモデル(起業家)が毎日いるのが幸せです。会社にカメラもありますし。

株式会社ジャパンベンチャーリサーチ(ユーザベースグループ)の森敦子さん

――なるほど! プライベートでPh.D(博士号)取得を目指していたのも、ひょっとして自分のやりたいことを拡張させていったから?

そうですね。MBAを取得して、そのまま博士課程の後期に入りました。今は退学しましたけど。

“公私混同” してるんですよね。でもめちゃめちゃありがたいことに、この状態を会社からは「それでよし」と尊重してもらってます。退学を選んだのも「スタートアップ業界を活性化させる!」という途方もなく大きなミッションを持ったJVRの仕事に集中して成果を出したかったから。私の新しい挑戦なんです。

――いつからポジティブな文脈の “公私混同” をされているんですか?

ユーザベースに入って、目の前の仕事に取り組むうちに……自然と。あらゆるしがらみから解き放たれて、本来持っていたと思われる “わがまま” の素が出ちゃってます(笑)

――その心は?

おそらく私みたいなタイプって一定数いると思うんですよ。「こっちの道が安全」と手招きされて、疑うことなく進んできたような。でもそんな固定概念にとらわれることないと思う。強い気持ちがあって安定志向を選んでいるんじゃないなら、もっと自分本位に生きてみてもいいと感じています。

あと「やりたいことや強みがわからない」って人もいると思うんです。でもその状態ってみんな一緒だからまずは目の前のことに一生懸命取り組んでみればよいと思います。

私も、今のワーキングスタイルが合っているって、銀行で一定の業務量をこなさなかったら知り得ませんでした。ユーザベースに入社してもイージーモードでいたわけではなく、頑張りどころではちゃんと踏ん張ってツラい思いもしてきた。その繰り返しで、自分のバリューや好き嫌いって見えてくるんだなって。

――日々の積み重ねで、“わがまま” を発揮すべき自分の方向性が見えてくる。

現代はSNSが発達して、個人の声が社会に反映されやすい世の中になってきました。それってすなわち、自分にスキルがあれば活躍できる……フリーランスで働きやすい環境が広がってきたということなんですよ。だから心の向くまま、“わがまま” が昔より早く実現できる。

私は “わがまま” になるのに、かなり回り道をしました。でも時間はかかったけど、今はやりたいことを実現できています。だから本当に好きになれるもの、夢中になれたものは手放さない方がいいと思いますよ。

――ありがとうございました!

株式会社ジャパンベンチャーリサーチ
[創業]2011年4月
[所在地]東京都港区六本木7-7-7 TRI-SEVEN ROPPONGI 13階
[アクセス]東京メトロ日比谷線 / 都営地下鉄大江戸線 六本木駅から徒歩5分

取材・文・撮影 / 岡山朋代

あわせて読みたい

Career Grooveとは?

「Career Groove(キャリアグルーヴ)」は、様々な業界で活躍している起業家や著名人が語る、バイト・仕事のやりがいや働く楽しさを一人でも多くの人へ伝えるというミッションを持ったウェブマガジンです。

新着記事

Access Ranking

人気のタグ

タグ一覧へ

Social Account