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経験は、恋に似る。―40か国以上を訪れたマナビシア池原氏からスキルアップの秘訣を学ぶ!

株式会社MANABICIA 池原真佐子
池原 真佐子(いけはら まさこ)
株式会社MANABICIA 代表取締役

福岡県生まれ。早稲田大学教育学部に在学中、オーストラリアへ留学。帰国ののち同大学を卒業後、早稲田大学大学院教育学研究科にて移民・難民の成人教育を研究する。新卒でPR会社に就職、様々な企業、NGO等の広報を担当。その後、国際教育を専門とするNPOに転職し、広報と教育プログラム開発に関わる。のちにコンサルティング会社へ転職し人材開発に携わる。会社員をしながらINSEAD(インシアード/Executive Master in Consulting and Coaching for Change)へ入学。日本とシンガポールを行き来しながら組織変革、心理学、コーチングを学ぶ。
キャリアおよび人材育成のワークショップ団体の立ち上げを経て、2014年9月に株式会社MANABICIA(最寄り駅:赤羽橋)設立。

女性のために何かしたい。その想いで設立したマナビシア

マナビシアカリキュラムのようす マナビシアでは女性のキャリアアップ支援のため、個人向け、法人向けにそれぞれの目的・キャリアに合ったコースやカリキュラムが用意されている。

―現在の仕事内容について教えてください。

  法人と個人のお客様向けの2つの仕事があります。法人向けとしては、社員のキャリアに応じたトレーニングや、クリエイティビティを引き出すワークショップ、コンサルティングを行っています。

  個人のお客様に対しては、転職や起業、復職など、キャリアアップを考えている女性に向けて、一人一人の創造力や潜在意識を最大限に引き出し、ビジョンが描けるように、メンタルレディネス(心理的準備)のワークを行っています。

  ロジカルな左脳だけで考えすぎてビジョンが描けない、モヤモヤしすぎて行動できない、そのような女性は非常に多いのです。そのような女性たちが自分の本当にやりたいことを明確にし、より高度な挑戦ができるようにサポートしています。

―現在の仕事のやりがいは何ですか?

  私が関わった方が自身の中にある創造性に気づき、固定概念の枠を壊し、輝き出した瞬間にやりがいを感じますね。

  人は何かしら、本音と建前を持っています。建前だけで過ごしていると、本音が分からなくなるだけではなく、自分の中の豊かな創造力や直感をも忘れてしまいます。

  そのようなメンタルブロックに気づき、乗り越えた時に、人は次の行動に向かい、成果や実績となって表れるものなんです。その、が私の役目だと考えています。

―今の仕事において、池原さんが影響を受けた方はいらっしゃいますか?

  大学院の時に出会い、そこからは家族のように仲良くしているコロンビア人の年上の女性です。すでに国際社会で活躍している方で、当時は環太平洋地域のビジネスについてリサーチするために日本に来ていました。

  彼女はすでにグローバルなキャリアを築いていましたが、仕事だけを追い求めるのではなく、オンとオフの切り替えが明確で常に人生を楽しんでいました。また、家族や友人のこともとても大切にしていて、とにかくコミュニケーションを重視していました。

  忙しくても優先順位をつけながら自分のやりたいことにチャレンジしつつ、周囲のことも思いやる優しい彼女のことを尊敬しています。また、ファッションにもこだわりがあり、いつも華やかで本当に素敵な女性です。今もキャリアを積んで自分らしく生きています。

  彼女は女性として“生き方のお手本”ですし、今の仕事においても、彼女から学んだことは活きています。メンター的な親友を持つことは大切ですね。

キャリアの“まわり道“、そこから得たものとは……

MANABICIA(マナビシア)池原真佐子さん

―池原さんはPR会社、NPO、コンサルティング会社など様々なご経験を経て、今に至っていらっしゃいますよね。それぞれの経験で、どのような学びがありましたか?

  自分のキャリアについて“まわり道”をしたと思っていた時期もありましたが、今では、どのような経験であっても全てが繋がっていて、次に活かされるのだと感じています。

  早稲田での学生時代は、海外の多文化や移民研究を通じて、社会的に弱い立場にある人たちのエンパワメント(※)について考えさせられましたし、成人教育についても理解が深まりました。そこでの学びや視座は、今の仕事のベースにもなっています。

※個人が自律性を持って問題解決できる能力をつけること。またはそれらを促す支援。エンパワーメント(Empowerment)。

  新卒で入社したPR会社では、世の中のニーズに合わせた情報の伝え方の大切さを学びました。学生時代に、どれだけ素晴らしい活動をしていても、伝え方がうまくできず埋もれているNPOを沢山見てきましたから。
  また、PR会社の次に働いた国際教育のNPOでは、改めて、教育の重要性を痛感することができました。

  そのあとのコンサルティング会社での経験は、特に私のなかで重要な意味を持ちました。国内と海外拠点のコンサルタントのスキルの開発に携わりましたが、社会人の能力開発に関する経験を、たくさん積むことができました。

  そこで感じたのは“優秀さというものは、能力だけではなく人格も含む”ということです。優秀な人材、という時、仕事のスキルが高いというだけではなく、人としての優しさや思いやりなど、精神面を磨くことも大事だということです。
  とにかくこの会社では、仕事もできて人柄も温かく優しい人たちに多く出会いました。

―INSEAD(以下、インシアード)に通われたのは、そのころですか?

  私のコースはパートタイムの修士課程でした。休暇をやりくりしながら、ほぼ毎月シンガポールへ渡航し、集中講義や実習のために1週間ほど滞在していました。

  その際は、仕事の後に急いで自宅に戻って家事を済ませて空港へ。深夜便に乗り、朝5時にシンガポールに到着、そのまま8時からインシアードの講義。授業後も連日夜までイベントが組まれていましたので、寝るのは深夜です。

  講義期間が終わるとまた深夜便で帰国して、そのまま空港から会社へ出勤する……という、今思うとかなりハードなスケジュールですね(笑)。それを1年半続けていました。そしてその後半年かけて修士論文を書き上げました。

―どのようなことを学ばれましたか?

  主に組織変革の手法や心理学、コーチングについて学びました。心の在り方や右脳の使い方など、組織や社会のリーダーとなるうえで必要なソフト面を理論的に勉強できました。

  また、自分らしいキャリアを構築するには“固定観念を持たないこと”も学びました。世界中から集まってきた36名のクラスメイトたちは、人生やキャリア構築に対して「こうあるべき」といった固定概念を持っていない人が多かったため、年齢や経験に囚われず、柔軟な生き方をしていました。
  どれだけ大企業で成功を収めていても、自分らしいキャリアを求めて国境を越えて異業種へ転職したり、あるいは、会社を辞めて子育てをしながら起業したり。

  日本人には特に多い傾向ですが、私たちはどうしても「この歳でキャリアチェンジなんて無理」「自分には新たなチャレンジができるのだろうか」など自分自身で枠を作りがちです。あるいは、世間のしがらみに囚われています。

  しかし、彼らを見ていて、本当にハッピーなキャリア設計は枠から飛び出し、自由に考えること。そのほうがうまくいくことを知りました。そんな彼らは、人としてもとても魅力的でした。

  シンガポールと行き来をしながら、学んだことを活かすために友人とワークショップ団体を立ち上げました。今の会社の前身となる活動です。「学び」というのは、インプットして完結なのではなくて、吸収した情報や経験を基に“誰かの役に立てる”ことが大事であって。そこが、「学び」のおもしろさなんですよね。

経験してわかった、自分のキャリアを育てるためのポイント

マナビシア池原真佐子社長 池原さん自身も時にトレーナーとしてカリキュラムに参加。1年弱で250人を超える女性のキャリアを支援してきた。

―今までの経験で、苦労したことや大変だったことは何ですか?

  まずは新卒で入社したPR会社での業務ですね。学生時代に留学やインターンシップの経験があったので、それなりに仕事ができるだろう!と思っていたんです(笑)。

  ところが、コピーやFAXのやり方もわからない、ビジネスメールの書き方も知らなくて……半年から1年くらいは本当に大変でした(笑)。

  次に勤めたNPOでも、最初は慣れずに苦労しました。前職のPR会社は、プロモーションを行ったあとに見えてくる“結果”を重視します。スピード感も大事です。

  いっぽう、転職先のNPOでは、PR会社とは全く違う、ゆったりとしたプロセス重視の組織風土でしたので、再度、新人のつもりで新しい変化を自分のなかで起こしていく必要がありました。

―そのなかで、ご自身で工夫していたり、意識していたことはありますか?

  「アクションを起こす」ということは常に意識していました。単に与えられた仕事をこなすだけではなく、自ら動き、工夫を加えるようにしました。

  また、組織のなかだと人間関係が限られるので、積極的に外へ出て、様々な分野の方と接点を持ちました。そうすると視野が広がります。

  そうやって新しい情報や場を開拓していくと本来の仕事自体も楽しくなります。現状だけに満足せず、自分の直感に従って行動力を広げていくことは大切だと思っています。

  たとえば転職も、「アクションを起こす」方法のひとつ。とにかく自分の求めているものを明確にし、行動に移すことは大切だと思います。

ボランティア、留学、インターンシップによって視野が広がった

学生時代のことについて語るMANABICIA池原真佐子さん

―学生の時は、どのようなことに注力されていましたか?

  大学時代は、ボランティア活動とインターンシップに力を入れていました。ボランティアでは、留学生や移民の方々に日本語を教えたり、日本の学校教育についていけない外国籍の子どもたちの勉強をサポートしたり、教育に関わる活動をしていました。

  また、海外にも興味があったので、オーストラリアへ留学し、帰国後に海外事業を行う政府機関など、数カ所でインターンシップをしていました。

―海外やボランティアに興味を持ったきっかけは何ですか?

  海外については、昔から漠然とした憧れがあり、小さい時から、世界の文化や民族について書いてある本をよく読んでいました。田舎の小さなコミュニティで育ったので、外の世界に強い憧れがあったのだと思います。

  ボランティアに興味をもったきっかけは、バックパッカーとして様々な国を一人旅していた経験が影響しています。旅をしていると、様々な文化、言葉、肌の色の人たちと出会います。

  私は、色も黒く外国人っぽい顔立ちだったため小学校時代にいじめにあい、そのため、無意識に「人と違ってはいけない」と思いこんできました。

  しかし、海外での出会いを通じて、「人と違うことは美しい」と思えるようになりました。色黒で外国人っぽい顔の自分でも、誇りに思えるようになりました。

  そしてそれがきっかけで、「自分と異なる人たちを受け入れる」教育、つまり異文化理解教育に興味を持ちます。そこで、異文化理解教育を追求するためにオーストラリアに留学するのですが、そこで困難な状況にある移民や難民の存在と、そのような方々の教育支援の存在を知ります。

  そこで、私にも何かできないかと思い、帰国後に上記のようなボランティアやインターンに関わるようになりました。

―そのような学生生活を送っているなかで、アルバイトはされていましたか?

  学部時代は、教育関係から販売まで、いろいろなアルバイトをしていました。バックパッカーだったので、旅の合間に旅行資金を稼ぐ日々でした。インドをはじめ、今までに40か国以上に行っています。各国の文化や習慣に触れることで、感性が磨かれたと感じています。

  大学院に入ってからは、学生街の古い喫茶店でずっと働いていました。老舗の人気店だったので、人々に長く愛されるサービスや人間関係のつくりかたを学びましたね。
年齢や属性の異なる方々が来店していましたし、ご高齢のマスターからも色々な話も聞けてとても勉強になりました。

―就職活動はどのようなことを意識していましたか?

  卒業後のキャリアを意識しはじめたころ、まずはインターンとして経験を積もうと考えました。その際、どうしても働いてみたい政府機関があったんです。ただそこは私の大学からのインターンシップ受け入れ枠がありませんでした。

  しかし諦めきれず、その機関のイベントへ行き、数名の方に直談判しました。その結果、特例的に受け入れていただきました。

  そこで、道がなくてもすぐに諦めないことの大切さも学びました。そこでは広報事業部に配属され、広報・PRの存在を知ります。

  そこで、広報・PRというコミュニケーションに興味を持ち、就職活動ではPR会社を中心としたコミュニケーション関連の企業に的を絞りました。

  インターンシップの経験によって企業選びの視野が広がりましたし、自分がやりたいことを目標に就職活動ができました。

興味を持つことは、いろいろなものに“恋する”ということ

MANABICIA池原真佐子代表

―池原さんが仕事をするうえで、大事にしていることは何ですか?

  ふたつ大事にしていることがあります。ひとつめは「自分を大事にする」ということです。他者を思いやり、その先の社会に貢献するためには、まずは自分自身を大切にする必要があります。そうでないと、単なる自己犠牲になってしまい、他人を思いやる気持ちも持ちづらくなります。

  ふたつめは「役職や肩書きで人を判断しない」ということです。向き合う相手の本質を見つめ、肩書きを超えたところにある人柄や深さを理解するように努めています。その上で、人と信頼関係を築いていきたいです。

―今後のビジョンをお聞かせください。

  大人の学びの場を創ることを通じて、全ての人が、自分の能力を存分に発揮し、自立していける社会を創ることです。

  教育は、人の根幹だと思っています。現在、子供の教育は様々な支援がありますが、大人の教育はまだオプション的に捉えられています。実際、日本の生涯学習率は他国に比べ非常に低い。
  しかし、大人になってからも、私たちは常に学び続けなければならないし、学びの機会を創っていかなければいけない。

  特に女性は、様々なライフイベントに直面し、自信を失ったりキャリアを諦めたりすることが多いので、まずは、そのような女性たちが、新しい学びを通じて自信を形成し、自立と自己実現のための天職を獲得していける仕組みを作りたいです。

―最後に、これから社会に出る若い世代にメッセージをいただけますか?

  ひとつめは、学生時代にしかできないことをしてほしいと思います。朝まで仲間と哲学や世界について語り合ったり、一人で長期間バックパッカーをしてみたり。社会人になるとなかなかそのような時間が取りにくくなります。

  ふたつめは、今のうちから語学に力を入れておいてほしいですね。特に英語は習得して損はありませんし、多様な背景を持つ人とつながる機会が増えます。

  とにかく、たくさん恋をしてほしいです。男女の恋愛という意味だけではなく、いろいろなものに興味を持ち、自分が“これだ”と思う何かにのめりこむこと。たとえそれが最後は実らず“失恋”してもいい。恋をした経験によって、人としての深みは増していくでしょう。

  いろんなことに“恋”をして、経験を積んでください。そうすれば社会に出ても仕事が楽しくなりますし、生きることそのものが楽しくなります。いきいきと、自分らしい生き方をしてほしいです。

<株式会社MANABICIA>
〒106-0044 東京都港区東麻布1-7-3-7F
都営大江戸線 赤羽橋駅より徒歩約5分

[取材・執筆・構成]yukiko(ユキコ/色彩総合プロデュース「スタイル プロモーション」代表)
[撮影(インタビュー写真)・編集] 真田明日美

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