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徹底的に「好き」を見つけてやり通そう!
― 逃げずに追い続けることで世界は広がる ―

株式会社trippiece 石田言行

みんなで旅をつくるコミュニティ旅行サービス「trippiece(トリッピース)」を運営する、株式会社trippieceの石田言行さん。ユーザー自身が旅を企画し、共感した人をネット上で集め、実際に旅に出かけるというユニークなサービスを展開しています。石田さんが体験した思い出の旅や過去の後悔から得たもの、今後のビジョンなどをたっぷりとうかがいました。

石田言行(いしだ いあん)
株式会社trippiece  CEO

1989年、東京都調布市生まれ。大学1年時に、子どもたちが撮った写真を通して国際協力を支援する学生団体うのあんいっち(2010年1月、特定非営利活動法人化)を立ち上げ、活動を展開する。活動の一貫として、旅行会社や参加希望者とスタディツアーを共同企画・実施。3ヶ国に約60名の集客をする。その経験をもとに、2011年3月、株式会社trippieceを設立。ユーザー数16万人、旅行者2万人を超える旅行コミュニティに育てる。ラオスで象使いになる旅や、ウユニ塩湖に行く旅などオリジナリティある旅行サービスとして注目を浴び、テレビやラジオ、新聞などのメディアに多数掲載されている。

自身が旅で得た体験を多くの人にも感じてほしい

trippiece-マリオカート

―まずは、trippiece(トリッピース)の事業内容について教えてください。

  ソーシャル旅行サービス「trippiece(トリッピース)」の運営をしています。「trippiece」では、もともと決まったツアーを提供するわけではなく、ユーザーの方たちに旅の企画を立てていただきます。ソーシャルメディアなどを通じてその企画に共感する人が集まったら、みんなで計画を話し合い、実際に提携する旅行会社にツアー化していただき、旅をしてもらうというサービスです。これまでに20,000人以上の方々が参加してくださっていて、数千もの企画が実行されています。年齢は25~34歳の方が中心で、女性の割合がやや多めです。

  旅の企画はさまざまで、もちろん行き先は海外だけではありません。近いところでいうと、代々木公園に300人が集まってピクニックをしたり、みんなで仮装して公道をカートで走ったりした企画もあります。僕は「非日常体験」はすべて「旅」だと思っているんです。飛行機や新幹線に乗って、どこかに行くだけが旅ではない。旅は身近なところでも体験できるんです。非日常体験に仲間たちとの出会いもプラスされるというところが魅力だと思っていますね。

―「旅」をテーマに事業を立ち上げられたのはなぜですか?

  理由はひとつではないんですが、大学3年生の夏休みにバングラデシュに行ったことは大きなきっかけになっています。ソーシャルビジネスを学びに行くという目的だったので、ソーシャルビジネスに興味がある人をTwitterやmixiで募ったところ、18人が集まりました。そのうち13人くらいは面識のない人だったんです。その旅は、自分にとって期待以上のいい体験になりましたね。旅自体が楽しかったのはもちろん、共通の興味を持つ仲間たちと、見たことや感じたことを毎晩話し合えたことがすごく刺激になりました。

―そもそも、なぜバングラデシュに行くことになったのでしょう?

  大学1年生のときに、「うのあんいっち」という学生団体(2010年1月に特定非営利活動法人化)を立ち上げたんです。「うのあんいっち」では、「世界のリアルを伝えること」という活動理念のもと、NPOやNGOを介して、世界中の子どもたちにカメラを渡して写真を撮ってもらい、その写真を展示するイベントを開催したり、フリーペーパーを発行したりという活動をしていました。それに興味を持ってくださった方と現地へのツアーを企画し、得た収益をNPOやNGOを通して、子どもたちに還元するという仕組みになっています。

  団体の立ち上げに参加したのは、初代代表に誘われたことがきっかけでしたが、活動をしていくなかで、貧困をはじめとする社会課題をビジネスによって解決するということに、非常に興味を持ちました。その流れで、自分でツアーを企画し、バングラデシュに行ったんです。「うのあんいっち」に所属していたのは、期間にして2年くらいでしたけど、当時を振り返ると、そのことしか思い出がないといっても過言でないほど、力を入れて取り組んでいました。

―アルバイトをされていたこともありますか?

  カフェ でバイトしていましたね。オープンメンバーとして入ったので、結構自由に任せてもらえて。フェアを企画したこともありましたよ。1年くらい続けて、そのあとは漫画好きということもあって、漫画喫茶で働きました。接客のバイトが多かったですけど、インターンシップでは事務作業をやっていたこともあります。

“やりたいことがやれる場所”が起業だった

株式会社trippiece石田言行社長

―大学在学中にtrippieceを立ち上げられましたが、一般企業に就職するという選択肢を考えられたことはありますか?

  そもそも就職と起業とを区別して考えたことがないんです。大事なのは、やりたいことがやれるかどうかということ。僕はずっと“仕掛ける”ということがやりたかったので、就職活動は1社だけ、広告代理店を受けました。でも、まさに、trippieceは“仕掛けている”と僕の中では思っているので、やりたいことができているんです。自分のパフォーマンスが一番発揮できるところとして、起業を選んだという感じですね。とはいえ、そのときは、先のことはわからないので、結果的に起業を選択したことがベストだったと言えるようになれたらと思っていました。理想に自分を近づけていきたいという気持ちでしたね。

―起業されてみて、どんなことに苦労しましたか?

  苦労しかないんじゃないかと思いますね(笑)。「大変なこと」って、言語化できないんです。言語化できた瞬間、それは課題に置き換わると思っているので。何が課題かがわからない時期というのが、精神的に一番つらかったですね。明確化できる課題に対しては別に悩まない。やればいいだけなので。起業したときは、メンバーが3名いましたが、株主という意味では僕一人でしたし、右も左もわからない世界なんですよね。どうしたらいいのかわからなくて、メンバーとのぶつかり合いもありましたし、お金が足りない、このままじゃサービスがリリースできない…そんな問題が山積みでした。

想いで作り上げた旅はすばらしい体験を生む

trippiece-ランタン祭り

―「trippiece」のサービスについては初めにお話いただきましたが、初対面の人と旅をするというのは、少しハードルが高いように感じます。その辺りはどのようにお考えですか?

  たしかに、知らない人と旅をするというのは、すごくハードルが高いことだと思います。でも、ちょっと考え方を変えてみて、たとえば、僕はスキューバダイビングが好きなんですが、「その日しかできないスキューバダイビング」というものがあったとしたら、心惹かれるんですよね。趣味に特化すればするほど、行きたいと思っても、一緒に行ける人がいなくて断念するということって多々あると思うんです。

  「trippiece」というサービスだけに目を向けてしまうと、ハードルが高いように感じるかもしれませんが、企画されている旅はそれぞれ参加者の「好き」を「旅」というカタチにしたものなんです。旅を探す側も、自分の「好き」にフィットしたものがあったら、一気にハードルは下がるんじゃないかと。純粋に「この景色を見てみたい」「これを体験してみたい」という気持ちになってくれるんじゃないかと思うんですよね。知らない人と旅をするというのは、手段であって、目的ではないので。

―きっかけはソーシャルメディアであっても、実際に会って、一緒に旅をする。このオンラインとオフラインを両立させるということに、こだわりはありますか?

  そうですね。人間には血縁、地縁、社縁という3つの縁があります。僕らのミッションは「“好き”で隔たりのない世界をつくる」というものなんですが、わかりやすく言うと、血縁や地縁だけじゃなくて、社縁のコミュニティを形成していこうという発想です。僕は自分の好きなものや趣味に対してのコミュニティの形成は、もっと多様でいいと思っているんですね。その考えに至ったのは、中学から高校1年生までやっていたバドミントンでの経験が影響しています。

  僕は父が全日本ベスト4、祖父は全日本チャンピオンというバドミントン一家に育ったんです。中学に入るときに自分の意志でバドミントンを始めましたが、学年でバドミントンをやっている男子が自分だけというような環境でした。そこに不平を言ってはいけないと思うんですけど、全日本で戦えるような環境に身を置きたかったという想いがあります。好きなものに打ち込めるコミュニティがあったら、人生が変わっていたかもしれない。だから、オンラインだけでは物足りなくて、オフラインも絡ませたいと思うんでしょうね。オンラインは距離を縮めてくれますけど、新しい刺激というのは、リアルであるからこそできるものですから。

後悔から学んだ、好きなことをやり通す大切さ

石田社長-クリスマスツリー

―バドミントンのお話が出ましたが、途中で辞められることに迷いはなかったですか?

  いや、ずっと迷いながら辞めましたし、今でも引きずっていますね。辞めた理由は、学年で男子がひとりだけで恥ずかしかったという高校生ゆえの単純なこともあるし、父や祖父という存在のプレッシャーに負けてしまったというのも、もちろんあります。でも、ここまで引きずっているからこそ、好きなことはやり通さないといけないんだ、結局、追いかけてくるんだということを学びましたね。

―スポーツの世界は大変厳しいと思います。そこから得たことで、現在でも役立っていることはありますか?

  やはり、メンタルは強くなりましたね。それから、理不尽さに耐えること、基本をずっとくり返すこと。あとは、死ぬほど練習する。練習した人しか活躍できないし、結果的にそれで日本チャンピオンになれなかったとしても、日本チャンピオンになった人は、みんな努力しているので。仕事も同じで、自分の中でどれだけ理不尽さを感じようが、働く時間を決めて、ひたすらやり込むということにつながっていると思います。

―お話を聞いていて、ストイックな印象を受けましたが、そういう背景があったんですね。目標に向かって突き進むことというのはお好きですか?

  嫌いです(笑)。嫌いだからこそ、やっています。やりたいことをやるのって簡単じゃないですか。やりたくないことに挑戦していくのが、強くなることだと思うんで。嫌なこと、無意味なことにもたまには挑戦しないと、やりたくないことから逃げちゃうんです。それはよくないなと思うので、たまに追い込むんですよね。ちなみに、来月はホノルルマラソンにチャレンジする予定です。これも本当は嫌なんですけどね(笑)。

―石田さんが働くうえで大切にしていることはどんなことですか?

  ミッションに対して忠実に働くというのは大事だと思っています。個人の目標としては、目指すんだったら、自分の最適なジャンルで最低でも日本一になること。明確な指標があるわけではないので、難しいんですが、僕の場合であれば、起業家でNo.1を目指す。やるからには、世界に名を連ねなければと思っているので。目標を低くしていると、そこにしか行けない。行けたとしてもそこまでになってしまうので、目標は高く持つようにしています。そこに対しての努力は怠らないという、当たり前のことを大事にしていますね。

―これまでの人生で、もっとも影響を受けた人というのはどなたでしょう?

  難しいですね…。でも、やっぱり父のような気がしますね。あんまり言いたくはないですけど(笑)。僕が幼いころから、父は「“ゼロからイチを作り出す”というところに価値があるんだよ」と話してくれました。あと、石田家には「前進なくして進歩なし。命をかければなんでもできる」という家訓があるんですよ。超ストイックですよね(笑)。僕が起業を選択したことも、小さいころからの父の教えが影響しているのかもしれません。

1,000万人の旅行者を「trippiece」から作りたい!

株式会社trippiece石田社長-エントランス

―trippieceの今後のビジョンを教えてください。

  年間旅行者を1,000万人まで増やすことを目標にしています。それが達成できたら、経営をバトンタッチしたいなと思っているんです。僕は海が好きで、深海に興味があるので、潜水艦を作りたいんですよ。trippieceの新規事業としてなのか別会社なのかはわからないですけど、潜水艦を作って深海ツアーを企画したいですね。

  それから、ミッションである「“好き”で隔たりのない世界をつくる」ということ。「好き」は、自分の興味や趣味ですね。「隔たりのない世界」というのは、人種とか国籍とか肌の色ではない、地縁、血縁ではない世界観を作っていくということです。それを「旅」というカタチにして、新しい旅行体験を提供し、みなさんの世界観を広げるサポートができたらと思っています。

―働くことに疑問を持っている人、仕事に悩んでいる人にメッセージをお願いします。

  働くというのは、公私混同か、ワークライフバランスという働き方に分かれるのかなと思っていて。僕は公私混同しかオススメできないタイプなんです。自分がそうなので。好きなことをやって、人生を終えられるほうが楽しいし、働いているという意識を持たずにやっているほうがおもしろいと思うんですね。そのためには、自分の「好き」は何かというのを徹底して探っていく作業が必要になってきます。

  僕もバドミントンを失ってから、ずっと自分の「好き」について考えて、結果的に見つかるまで6年くらいかかったんです。だから、すぐには見つからないかもしれませんが、ちゃんと自分と向き合って考えることが大事です。考えただけでは見つからないと思うので、アクションを起こしていく。スティーブ・ジョブズがスタンフォード大学卒業式でのスピーチで言っていましたが、「点と点が自分の歩んでいく道のどこかで必ずひとつに繋がっていくと信じる」ということですね。

  自分の「好き」に出会えるかどうかはわからない。もしかしたら、一生出会えないかもしれないですが、探して見つけたときの感動は本当に大きなものなので、一生懸命探してほしいと思います。

[取材] 高橋秀明、渡辺千恵 [執筆/撮影(インタビュー写真)] 渡辺千恵

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