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自分の能力は未来進行形で考えてほしい
―今は未熟でも、自然と実力はついていく―

株式会社メディアフラッグ 福井康夫
福井 康夫(ふくい やすお)
株式会社メディアフラッグ 代表取締役社長

1968年、千葉県生まれ。早稲田大学法学部卒。1991年に株式会社三和銀行(現:三菱東京UFJ銀行)を経て、1995年にセブン-イレブン・ジャパンに入社。店長、SVを経験後、セブンネットショッピングやセブン銀行等の立ち上げに携わる。2004年、株式会社メディアフラッグ(本社最寄り:渋谷)を設立し、代表取締役に就任。現在に至る。

“現場”を熟知したスタッフによる強力なマーケティング支援

メディアフラッグ福井康夫社長

―メディアフラッグの事業説明をお願いいたします。

  店舗・店頭に特化したマーケティングのご支援をさせていただいております。弊社には全国20万人のメディアクルーと呼ばれる登録スタッフがおり、彼らに店頭の調査(リアルショップリサーチ)や、店舗の営業・販促の支援(リアルショップサポート)をお願いしています。

  リアルショップリサーチというのはいわゆる覆面調査、ミステリーショッパーのことで、お客様のふりをして店舗に向かい、お客様目線で店を評価したり改善の提案をしたりします。お客様目線ですから、結果的にCS(顧客満足度)の向上、リピーターを増やすことにつながり、売上げに貢献できるのです。これは流通業者や飲食チェーン、銀行などの金融機関からご依頼をいただくことが多いですね。

  いっぽう、リアルショップサポートは、ドラッグチェーンや家電量販店といったメーカーさんを中心にご依頼をいただいております。先方の営業さんの代わりに弊社のスタッフが商品の売り場を見て、より商品を売れやすくするための売り場づくりをしたり、時には「マネキン」と呼ばれる試食・試飲スタッフを務めたりもします。また、デジタルサイネージ(映像を使った電子看板)を使った店頭の販促の支援も行っています。

  要は、「商品がもっと売れるにはどうしたらよいか」「お店が良くなるにはどうしたらよいのか」ということを、ご支援させていただいているということですね。

―御社のフィールドマーケティングシステム「Market Watcher」について詳しくお聞かせください。

  リアルショップリサーチやリアルショップサポートにおいて集積した情報をデータベース化する仕組みですね。弊社では大体毎月、5000人ほどのメディアクルーが動いており、リアルショップリサーチですと昨年(2014年)では10万店舗、リアルショップサポートでは25万店舗をご支援し、テレビの設置台数も12万台にのぼり、トータルで年間46万か所のデータが上がってきています。それらがリアルタイムでしっかりとデータベースに格納され、分析・共有できるのが「Market Watcher」というソフトになります。

―他社のミステリーショッパーと、御社の決定的な違いは何でしょうか。

  社員の半分以上が流通業や小売業、飲食業を経験しています。つまり、店舗の “現場感”をよく知る人間がこのサービスを提供している。ここが弊社の一番大きな特徴です。

  この“現場感”は、調査におけるアンケートの設問の適正さに活かされています。各業態の特徴を押さえたうえで企業ごとに最適な設問を設定し、メディアクルーに適切な評価の仕方を指導しています。上がってくるレポートの精査もしっかりと行いますので、企業が本当に求めている情報を提供することができるのです。

  良いことばかり書いてお渡ししてもお客様は喜びませんから、店舗の売上げのため改善すべきポイントをきちんと把握し、お客様にレクチャーしていく、というのが大事ですね。

日本が元気だった学生時代。お金には困らなかったが起業の想いは薄く

学生時代について語る福井康夫社長

―福井さんの学生時代や、経験したアルバイトについてお聞かせください。

  私の大学4年間はバブルによる好景気の時代でしたので、力いっぱい遊びましたね(笑)。アルバイトもありとあらゆることをしていましたが、一番お金を稼げたのは近所の子どもたちに勉強を教える仕事でした。家の庭にプレハブを建てて、友達を講師として誘い、子どもを5人~10人集めて。家庭教師の延長というか、寺子屋のようなスタイルの学習塾ですね。

  それと、調査会社でもアルバイトをしていたんです。店舗の出口調査や、覆面調査もやりまして、その時に初めてこの仕事の存在を知りました。のちに起業する時に、このバイトのことを思い出して、今につながってきます。

―福井さんはのちにセブン-イレブン・ジャパンに入社されますが、接客業のアルバイトはされなかったのでしょうか?

  実はコンビニのレジやレストランのウエイターといった接客業は、バイトでは1回もやったことがないんです、時給が安かったから(笑)。周りはお金持ちが多かったけれど僕はそうではなかったので、どうやったらみんなと同レベルで遊ぶことができるか、ということをいつも考えていました。先ほどの2つのバイトでうまく稼ぐことができましたから、お金に困ったことはなかったです。

―ご自分でプレハブを建てて講師を雇って……と、学生アルバイトの枠を超えた働き方をされている印象ですが、この時期から起業しようという想いはあったのでしょうか?

  稼いだお金を元手に起業する人もたくさんいましたが、僕はまずはちゃんとサラリーマンとして働きたいと思っていました。どうしてもお金持ちになりたい、という強い願望もなければ、信念もなかったんです。でも、人に使われるよりは使う側の人間になりたいな、とは考えていましたね。

  大銀行の頭取は無理だろうけど、子会社の社長くらいにはなりたい。それが自分にはぴったりなんじゃないか、と。……ただそれではいけないと、あとから気づくことになるんですけどね。

セブン-イレブン・ジャパンへの転職。そこで今の事業の着想を得る

福井康夫社長の新卒時代から転職にかけて

―新卒では三和銀行(現:三菱東京UFJ銀行)に営業として入社されて、それからセブン-イレブン・ジャパンに転職されています。

  当時、三和銀行の営業は他社とは別格だと感じていましたし、将来トップを目指すなら数字に強くなければ勤まらないだろうと、勉強のつもりで入社しました。茨城県土浦支店に配属になったんですが、そこは流通業との取引が多かったんです。スーパーのカスミグループさんやホームセンターのジョイフル本田さん、ジーパンを売っているRight-onさんとか。

  そこで、流通業はおもしろくてチャンスのある分野だと感じ、いつかは流通に関われる領域で仕事をしたいと思うようになりました。そこで、どうせ入るなら、業界トップの会社を選ぼうと思い、4年後の26歳の時、セブン-イレブン・ジャパンに転職したんです。

―セブン-イレブン・ジャパンではどのような業務に就いていましたか?

  最初は店舗の店長を務めました。ここで初めての接客業です(笑)。それを1年ほど経験したあとはSV(スーパーバイザー)という、いくつかの店舗を管理して指導するという立場になりました。

  セブン-イレブン・ジャパンの業務は店舗ごとに非常にきめ細かな対応をし、さらにインターネットを使った管理システムが徹底されていました。ITと、人というアナログの両輪をうまく活用しているんです。この両輪を使えば、バイトで経験した覆面調査のようなフィールドマーケティングのアウトソーシング化ができるのではないか。……これが今のメディアフラッグの事業の発想の原点になります。

  SVを経験後はセブンネットショッピングの立ち上げに携わりました。それまではメールにも触ったことがなかったんですけれど、ここでインターネットというものに触れて、ITもおもしろいなと感じましたね。元銀行員だったことを買われてセブン銀行の立ち上げのプロジェクトにも参画しましたが、ネット事業のほうが楽しかったですね。

  でも、セブン-イレブン・ジャパンにいた9年間で一番勉強になったのは、店長をやっていた最初の1年間です。食べたいものを決めて店に入る飲食業と違い、コンビニといった小売店は入った時に欲しいものがなければ、お客様はよその店に入ってしまう。品揃えがとにかく大事であるほか、気温とかブームによってもお客様が欲しいものは変化していくから、それにどう対応していくのか。その辺がとても勉強になりましたね。

赤字が続き、人が辞めていく……苦難の時を乗り越えて

メディアフラッグの創業当時について

―2004年、35歳の時にメディアフラッグを起業されます。起業前後でイメージと違ったことはありましたか?

  実際に起業してみると、今までと見る景色の高さも角度も、全然違うと感じましたね。無名のベンチャー企業に仕事を発注してくれるような会社なんかなくて、2007年くらいまでずっと赤字が続き、危機的な状況でした。

  つらかったのが、人が定着しなかったことです。最初は僕と、現取締役の石田(石田国広[いしだ くにひろ]氏)の2人から出発し、1年後には僕と石田の間に10人くらい社員がいたんですが、その全員が続かず、辞めてしまったんです。

  僕は前の会社を辞めるまで優秀な社員だったという自負がありました。だから、例え1~2年で会社をたたんでしまったとしても、僕の経験を買ってくれる企業はいくらでもある、なんて打算的なことを考えていたんです。社員にとって、そんなことを考える人間についていきたいとは思いませんよね。特に副社長や役員といった、僕の右腕や左腕になるような人たちが辞めたことは、本当にショックを受けました。

  このままではダメだ、今いる社員のためにもがんばらなくてはならないと決意し、盛和塾(せいわじゅく)という、京セラ創業者の稲盛和夫(いなもり かずお)さん主宰の経営者の塾で学ばせてもらったり、ブックオフ創業者の坂本孝(さかもと たかし)さんに、経営者としての心構えをご指導いただいたりしました。

  そこで、会社がうまくいかないのは自分に覚悟や信念がないせいであって、自分自身が成長しないと会社は成り立ってゆかないということに、初めて気づいたんです。

―学生時代のお話で、起業するのにそれほど強い願望も、信念もなかったとおっしゃっていましたね。三和銀行やセブン-イレブン・ジャパンの社員でいた時も、仕事に対するやりがいはあまりなかったのでしょうか。

  サラリーマンとして働いている時は、確かにすごく働いていたんです。朝7時に出社して終電に帰る、という時期もありましたから。でも、今思うとそれは所詮、お金のために働いていたのであって、仕事を通じて社会に貢献しようとか、自己成長しようというような意識はあまりなかったんですよ。

  でも、それは会社の経営理念が、社員にきちんと浸透していなかったせいだとも思っています。僕自身も経営者として成長するのはもちろん、なぜ働くのか、社員にしっかりメッセージを伝えていく必要がある。そこで2008年に、改めてメディアフラッグの経営理念を打ち立てました。

  そしてそれを社員全員に浸透させるため、互いの意見を共有する「日報システム」といった、様々な仕組みづくりに取り組んできました。そうしてから、だいぶ会社が変わりましたね。離職率も低くなり、上場もできるくらい、会社として利益を上げることができました。

  でも、まだまだこれからですね。今後もそうして、しっかりと社員と想いを共有し、伝えていくようにしていこうと思います。

今、“できる・できない”の判断は危険。こつこつと努力しよう

メディアフラッグにて福井康夫代表取締役

―今後、メディアフラッグが目指すビジョンはございますか?

  弊社の理念は、従業員を幸せにすること、そして社会に役立つ仕事をするというシンプルなものです。なのでこれからは、より多くの従業員を幸せにし、そしてより広く、強く社会にインパクトを与えたいと思っています。

  2012年にマザーズに時価総額24億円で上場してから、赤坂大阪福岡名古屋にそれぞれ子会社をつくり、3社M&Aを実施しました。ようやく事業がうまく回るようになって、自分の狙い通りになってきていると感じています。だからこれから5年後、10年後……2030年までは突っ走って、どこまで会社を大きくさせることができるか。そこを目指して一生懸命やっていこうと思いますね。

  具体的な数字で言うと、現状、時価総額で営業売上が50億ほどですが、これを1000億くらいまでのばし、雇用している従業員も、今の10倍の1万人くらいにしたいですね。

―今後、どのような人に入社してほしいと思っていますか?

  特別優秀な人に来てほしいとは、あまり考えていません。優秀じゃなくてもいいので、「メディアフラッグが好きだ」っていう人を採用するようにしています。

  学生さんは、今現在の自分の能力でもって判断しないほうがいいと思うんです。あまり若いうちに活躍してしまうとすぐ天狗になって、ダメになってしまう人が多いんですよね。そういう意味では、今は大した能力がなかったとしても、5年、10年とこつこつやれる人を採用して、30、40歳くらいになった時に戦力になってくれればいいと考えています。

  学生さんには未来があります。まだまだこれからなんです。今現在の能力で、できる、できないの判断をするのはダメですよ。自分の能力は、いつも未来進行形で考えてほしいですね。

メディアフラッグ研修風景 <株式会社メディアフラッグ>
東京本社(渋谷)
〒150-0002
東京都渋谷区渋谷2-12-19 東建インターナショナルビル10F
JR渋谷駅より徒歩約10分

[取材]高橋秀明・真田明日美 [執筆・構成・撮影(インタビュー写真)]真田明日美

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