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「東大→ゴールドマンサックス→出産→MBA→起業」ビザスク端羽氏のキャリア論
 

株式会社ビザスク 端羽英子
端羽 英子(はしば  えいこ)
株式会社ビザスク 代表取締役社長

1978年生まれ、熊本県熊本市出身。2001年東京大学経済学部卒業。ゴールドマン・サックス証券へ入社し、投資銀行部門にて企業ファイナンスを担当。出産のため1年で退職。USCPA(米国公認会計士)を取得後、日本ロレアル株式会社にて化粧品ブランド「ヘレナ・ルビンスタイン」の予算立案と管理部門に携わる。マサチューセッツ工科大学にてMBA(経営学修士)を取得。2007年、投資ファンドのユニゾン・キャピタル株式会社にて5年間企業投資を担当。2012年3月に株式会社walkntalk(本社最寄り:都庁前)設立。2014年11月に株式会社ビザスクへ社名変更。平成25年経済産業省「多様な「人活」支援サービス創出事業」に採択される。

働く人が輝けるサービスを。人生が豊かになる働き方を提案したい

株式会社ビザスク代表取締役の端羽英子さん

―まずは、御社の事業説明をお願いいたします。

  「visasQ」(以下、ビザスク)というサービスを運営していて、私はその創業者です。ビジネスシーンで生まれる課題に対して各分野の経験が実際にある方に、電話や対面式でビジネスの相談をすることができるクラウドソーシング系のプラットフォームです。現在約6000人の方にご登録いただいております。BtoBとCtoCの面をもち、企業の方には新規事業や業務改善をしたい方にご利用いただいております。

―端羽さんの仕事のやりがいは何ですか?

  「ビザスク」のようなサービスは海外にはすでにあったのですが、日本には存在していない新しい市場のため、新たな価値をつくる意識で仕事をしています。市場を構築していく立場なので何をやってもマイナスになることはなく、プラスの意識で取り組めます。失敗を恐れる必要がないのです。

―「ビザスク」のサービスを立ち上げたきっかけは何だったのですか?

  仕事において“個人が輝けるサービス”をつくりたいと思っていました。それは自分の経験がベースになっていて、私は学生結婚を経て社会人2年目の23歳で出産し、育児とキャリアの両立で苦労した時期があります。

  2001年に新卒でゴールドマン・サックスに入りましたが、出産のため退職しました。子育てをしながらUSCPA(米国公認会計士)を取得し、日本ロレアル株式会社に入社したものの、夫の留学で1年半後にはアメリカへ……。

  女性は結婚や出産、ご主人の転勤など自分のキャリアと向き合わなければいけないタイミングが多いので、それらがハンデにならず、いきいきとした自分でいられる仕事のしかたがあったらいいなと思っていました。

  企業で忙しく働いていた経験とアメリカでの専業主婦の経験の両方を体験してみて、これからは仕事もプライベートも充実してハッピーでいられることが、人の人生を豊かにするのではないかと気づいたのです。

―起業するにあたり、どのようなビジネスにするのか基準はあったのですか?

  人生に一度は起業をしたいと思っていたので、何をするか情報収集は常にしていました。その基準は3点あって、個人の働く部分を豊かにしたい気持ちが反映されるもの、今後ビジネスとして発展性があるかどうか、自分の今までの経験が活きる仕事かどうか。「ビザスク」のモデルを考えた時に3点が重なり「私がやるのはこのビジネスしかない!」と思ったのです。

  2012年3月には株式会社walkntalkを立ち上げていましたが、「ビザスク」のサービス方針が最終決定したのは7月でした。そのころはまだWEBサービスを運用する知識が足りず、実際に動き始めたのが2013年10月。しだいにユーザーが増えはじめ、ボランティアだったエンジニアもフルタイムで働いてくれるようになりました。チームになるって大事ですね。ひとりよりも仲間に対して責任が湧くので早く形にしたい気持ちが強くなり、2013年10月に正式ローンチ(公開)しました。

“自分のキャリア”とひたすら向き合った、アメリカでのMBA取得

ビザスク端羽社長のキャリア

―アメリカでの経験は今に活きていますか?

  アメリカには3年間住んでいたのですが、最初の1年は専業主婦、残り2年がMBAを取得するためマサチューセッツ工科大学に通っていました。26歳でチャレンジしたMBA受験がとても勉強になりましたね。

  受験課題が自己アピールのエッセイだったんです。自分はどのような人間で、クラスにどのように貢献できるのか、だからぜひ自分を合格させてください、という内容を書くものでした。これは今までのキャリアを振り返るきっかけになりましたし、今後のキャリアを考え、それを聞いた人がどのように思うのか自分を客観視できた経験でした。

  今までは出産や夫の留学によって、“働きたいけれどもどのように働いたらいいのかわからない”状態だったので自分に迷いが多かったんですが、入学してから“自分のキャリア”をどのようにつくるかひたすら向き合う2年間になりました。

  この経験が弊社のサービス「ビザスク」に活きています。登録者は自分の過去の経験を振り返り、自身の知見を登録します。弊社のサイトから外部に発信することで、自分の今までの経験が、違う業界の人からするととても価値のあるものだったと再発見することができる。人から見つけられてこそ、“価値”を認識できるのだと捉えています。

―起業に際し、不安はありませんでしたか?

  この質問はよく皆さんから聞かれるのですが(笑)、自分では全くリスクを感じていませんでした。

  今の時代、起業に向かって一生懸命な人材って、信念を持って行動している人です。たとえ1年後にビジネスがうまくいかなかったとしても“その人自体の価値“が下がるものではありません。むしろ経験を積んでいるので次はプラスに働くはずです。

  私も「ビザスク」のサービスも社会を良くするものになると思って始めたので、不安を感じることなく起業しました。

―実際に起業してみていかがでしたか?

  実際にビジネスを始められるようになるまで丸1年かかり、自分が予定していたよりも時間はかかりました。WEBサービスや起業のノウハウ習得に苦労しましたね。このサービスを実現化したい想いは強く持っていたので、本を読んだり詳しい方から話を聞いたり、足りない知識はインプットの繰り返しで吸収しました。

  金融業界出身のため、WEB業界に関しての知識はありませんでした。今も日々勉強だと思っています。だからこそ“こんな社会ができたらいいな”とイメージしていることを、しっかりと形にして世の中に提供していかなければいけないと責務も感じています。

失敗を隠そうとしない社風。失敗を次につなげる力に変える

ビザスクの社風について端羽さん語る

―端羽さんが仕事をするうえで意識していることはありますか?

  たとえば、プレゼンでうまく話せず失敗したなと思った時、「プレゼン能力を上げよう」と次の行動につなげるようにしています。自分の胸にため込んでいても気持ちが落ちていくだけなので、私はなるべく失敗話を周りに話すようにしているんです。

―どのような方に話をされているのですか?

  よく社内のチームメンバーに話していますね(笑)。失敗談と愚痴は違うので、私は必ず「次はこういう工夫をしようと思う!」とか「ここを強化する!」と次につなげる台詞を発しています。これって、社内の効果も現れていて、みんなが失敗を隠そうとしなくてすむのです。

  失敗をみんなで共有し、組織として意思の疎通ができ、コミュニケーションが取れる。同じ方向、同じ熱量で次の仕事に向かっていきやすいのです。

―会社のトップの方がそのように率先して失敗した姿を見せてくれると、皆さんも失敗を恐れずに仕事ができるでしょうね。

  そうですね。でも、馴れ合いの組織はよくない。だから「すっごく悔しい!次回がんばる!」と宣言まで共有していこうと、みんなで決めているんです。

  今は、次のステップのために弊社も変わらなければいけないタイミングです。これまではみんなで協力しあって足並みを揃えてゼロから生み出していくスタンスでした。でも今はリーダーシップも考えていこう、と。

  私も「会社のトップとしてリーダーシップを一番発揮しなければいけないけれど、人として完璧ではない。だからみんなで意見を出し合って一番適した方法を見つけていきたい」と伝えています。今の会社は私がつくったというより、共感してくれた人たちとの信頼関係で成り立っています。

学生時代に養われる、コミュニケーション能力の大切さ

端羽英子さんの学生時代について

―学生時代はどのようなことに注力されていましたか?

  大学の時に熊本から上京しました。ちょうど父が転勤になり家族全員で東京に移り住んだんです。熊本と異なる環境が楽しくて、好奇心旺盛にいろいろと取り組みました。テニスサークルに入って、アルバイトをしたり、海外旅行をしたり。

  大学3年の時に好きになった人が勉強をがんばる人だったので、その時は自分も勉強に注力しました。学生結婚をしたのもこのころでしたね。

―アルバイトから得たことはありますか?

  熊本の田舎暮らしが長かった生真面目な両親の方針で、人に指導をするアルバイトならやってもよいと許可をもらっていました。だから家庭教師やプールの監視員のアルバイトをしていたのですが、今思うと接客業もやっておけばよかったと思いますね。

―それはなぜですか?

  社会人になった時に気づいたのですが、接客業のアルバイトをしてきた友人がみんなコミュニケーション能力が高い人が多かったのです。人に頭を下げるとか丁寧な対応は、“先生”と呼ばれる家庭教師ではなかなか身につかない行為です。「若い時には頼まれてでも頭を下げろ」とよく言われますが、コミュニケーション能力の差を痛感しましたね。

―学生結婚を経て、新卒でゴールドマン・サックスを選んだ理由は何ですか?

  当時も新しいサービスを何かしたいと思っていました。業界で定評があり、強い企業を見てみたかったのです。父が地方銀行に勤めていたきっかけで、金融業はおもしろそうだと興味がありました。

  2001年当時の総合職採用は、どこに配属されるか分からない採用方法が主流。でもゴールドマン・サックスは投資部門に配属と入口が明確だったため、私には入社後の働き方がイメージしやすかったのです。

―就職活動で印象に残っていることがあれば教えてください。

  私立大学の学生がとてもアピール上手で、様々なネットワークを持っている柔軟な印象を受けました。ゴールドマン・サックス以外にもいくつか受けたのですが、特に面接では彼らに負けないようにアピールをしなければと“競争意識”が芽生えましたね。

  突発的な質問に対してうまく答えられるか、興味を持ってもらえるか、毎回が力試しでした。1対1の面接は自分のペースで話せるため得意でしたが、グループ面接は若干苦手。就職活動では自分の得意・不得意なコミュニケーションがあるのだと発見できて、学び多き体験でした。

失敗を“課題”に変えて前進し続けよう!

visasQ(ビザスク)端羽英子代表取締役

―子育てと仕事の両立で意識していることがあれば教えてください。

  子どもには毎日「大好きだよ」と言っています。過ごす時間が限られるので意思表示をするようにしています。私は早くに出産し、夫の留学で海外に移り住んだり、離婚を経て現在に至っています。

  同級生が社会で活躍している間、私は家で子育てをしていたり、いざ働きたくても次の仕事先がなかなか決まらなかったりと葛藤や悔しい思いをたくさんしています。だからこそ、今働いていることがとても楽しい。子どもにもその姿を見せたいですし、働いているママはカッコいいと思ってもらいたいのです。

―端羽さんが仕事で大切にしていることは何ですか?

  目標に明確にしていることですね。書くことに意味があると思っているので、都度チェックしやすい手帳に目標を書いています。年間目標や3か月くらいで達成できそうな目標などを具体的な数値や期限とともに記していて、“行動指針”にしています。目標に縛られすぎてもいけないので、3か月目標に関しては微調整することもありますよ。

  目標が明確だと、なぜ失敗したのかも明確です。“次の課題“になるため落ち込まずにすみます。今度はその課題に向かって進んでいけばいいだけ。気分も前向きでいられるのです。

―今後のビジョンを教えてください。

  組織、世代、地域を超えて世の中のためになるプラットフォームを構築していきたいですね。現在「ビザスク」のサービスは東京中心ですが、地域を広げたりグローバルな展開もしていきたいと考えています。

  そして、“インパクト”も大事にしたいですね。「ビザスク」のサービスを活用してもらうためにも、ある規模がなければ認知もされませんし社会に浸透しにくいのです。このサービスを社会に広げていくためにも、今は規模が重要であり、できるだけ早く作りたい。それに対応するためのチームづくりが今の私には求められています。

―これから社会で活躍する学生に向けて、メッセージをお願いします。

  失敗は怖いものではありません。むしろ、学ばないことのほうが怖い。失敗から学ぶことが大事です。いろいろとチャレンジし、失敗を繰り返しながら学んできた私の結果が、現在の経歴になっています。皆さんもどんどんチャレンジをし続けてほしいですね。

<株式会社ビザスク>
東京本社
〒160-0023 東京都新宿区西新宿6-15-1 ラ・トゥール新宿703号室
JR新宿駅より徒歩15分
都営大江戸線 都庁前駅より徒歩約5分
東京メトロ丸ノ内線 西新宿駅より徒歩6分

[取材・執筆・構成]yukiko(色彩総合プロデュース「スタイル プロモーション」代表)
[撮影(インタビュー写真)] 真田明日美

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