バイト・仕事を楽しむキャリアマガジン

 >  >  >  > 細木祐孝

一度きりの人生、紆余曲折があるからおもしろい!
―ご縁はチャンス。自らご縁を創出できる人が成功する!―

株式会社喜ばせ屋 細木祐孝
細木祐孝(ほそき  ひろたか)
株式会社喜ばせ屋 代表取締役

1974年生まれ。明治大学卒業後、個人事業主として携帯電話販売の小売業を開始する。1999年、アルファグループ株式会社に入社、2002年、同取締役に就任。2006年、アルファグループの子会社・アルファイット株式会社が設立され、代表取締役に就任。2010年、株式会社エグゼクティブコンシェルジュ設立、代表取締役。2012年、株式会社喜ばせ屋代表取締役を務める。

起業、借金……人生の答えを探し続けた学生時代

―まず、細木さんの学生時代のお話からお聞かせ頂けますか?

  大学生のころはイベントやツアーサークルの代表を務めていました。他大学のサークルの代表者とも交流があったので、大学2年生の時に、その仲間たちと有限会社を設立したんです。サークルを束ねているメンバーということもあり、かなりの数の大学生とつながっていたので、イベントや旅行以外にも学生向けにシャンプーや香水などのサンプリングなどのプロモーションも行っていました。

  沖縄ツアーを企画して、トータルで1,000人くらいが参加してくれたこともありました。それがうまくいったので、だったら、北海道ツアーもやってみようと思って企画をしたのですが、これが大コケ。全然集客がうまくいかず、広告費(チラシ代)も支払えなくて……。結局、先輩に立て替えて払ってもらって、僕も含めて各メンバーは借金を背負うことになりました。

  その出来事によって、自分は社会ではまだまだ通用する人間じゃないということを痛感し、就職活動をすることにしたんです。僕の父親は商社に勤めていたので、なんとなく、自分も商社に就職しようかなという考えがあって。知識も何もないなか、商社に就職することが難しいということも知らずに「俺だったら受かるだろう」くらいの上から目線だったんですよね、当時は(笑)。でも、実際に受けてみたら、面接でいいところまで選考が進んだところもあったんですが、全滅でした。自分の人生はこうなる、こうしようって思っていたので、それが思い通りに行かなかった時の、別の選択肢を全く考えていなくて……そこから人生の迷子になってしまったんです。

  それでも、就職が決まらないと親が心配するんじゃないかと思って、合同説明会に行ったりしたんですけど、人事担当者の話を聞いては論破して帰ってきてしたりしていて……最低な学生ですよね(笑)。結局そのまま1年くらいは何もせず、ずっとフラフラしていました。

“生きてるだけで丸儲け”人生の核となる言葉との出会い

―アルバイトのご経験はありますか?そこから得たことがあれば、教えてください。

  僕は大学時代にBARでアルバイトをしていたんですが、どうしてそれを選んだかというと、ただ単にカッコよくてモテそうだったから。お恥ずかしい話ですが、僕は人生を振り返ると全てのプロセスにおいて「モテるかどうか」で意思決定しているんですよ(笑)。そんな安易な気持ちでアルバイトを選びましたが、実際にこのお店の店長から私は接客の大切さを叩き込まれました。24歳くらいの若い方でしたが、お客様とのやり取りや距離感、心の配り方……お客様から自分がどう見えているかということを常に意識した、プロフェッショナルなお仕事をされていました。とにかくカッコよかったです!

  お酒のお店なので、お客様が酔っぱらってしまうことも当然あるじゃないですか。僕はまだ精神的に子どもだったので、お客様に対してイラッとしてしまったこともあったんです。すると、店長から「俺はお前のイライラになんて興味がない。わざわざお店にお越し頂いているお客様に対してそんな顔をするなら、俺のチームにお前はいらない」と言われて。お客様がいらっしゃるおかげで、僕らはご飯が食べられているんだということを、徹底的に教え込まれました。

―“人生の迷子”という状況からは、何をきっかけに抜け出せたのでしょうか?

  ある時、たまたまテレビを見ていたら、明石家さんまさんが「娘の名前は、生きてるだけで丸儲けという意味でつけたんだ」とお話されていたんです。それまでの僕は、有名大学を出て有名企業で働き、高い年収をもらうといった高いステージにいけなければ、自分は幸せじゃないと思っていた。でも、その言葉を聞いて、命を削って産んでくれた母と愛情を込めて厳しく育ててくれた父からすれば、僕が生きているだけで幸せなのかもしれないと思ったんです。それに、生きているだけで丸儲けであれば、どんな失敗をしようが、生きていることが一番の幸せであり、贅沢なんですよね。生きていることに対して感謝のマインドが発生した時、負のモードから抜け出せた気がします。それからずっと、「生きてるだけで丸儲け」は僕の座右の銘です。

  そんなタイミングで、たまたまお世話になった先輩から声が掛かりました。「このスペースを自由に使っていいから、何かビジネスを始めてみたら?」と。新橋浜松町のちょうど中間にあるお店の一角だったのですが、そこで個人事業主として携帯電話の小売店を始めたんです。その仕事をしていた時の仕入先が、のちに僕が働くことになるアルファグループでした。僕がボスと呼んでいる生涯の師匠となる人との出会いもそこから生まれたんです。

20代での成功……過信が生んだ歯車のズレ

―その出会いをきっかけにアルファグループに入られたわけですね。

  そうですね。ボスと出会ったことで「この人を支えられるような存在になりたい」と思いました。現場の一般社員として入社して、リーダー、マネージャー、事業部長と役職がついて、最終的には取締役になって、僕が29歳の時に会社が上場しました。そのプロセスで普通の人の何倍もの失敗を経験できました。

  アルファグループでは、25店舗くらいの携帯販売店のマネージメントを担当していましたが、接客にはかなり重点を置きました。ノベルティグッズの配り方や店頭・店内での仕掛け、そして接客と、スタッフ一丸となってお客様が喜ぶポイントを追求し続けたんです。こういったお客様目線に立った接客というのは、やはりバイト時代に学んだことが活きていたと思います。

  お客様はもちろんですが、みんなにモテたかった僕は、スタッフに対してもおもてなしをしたかったので、スタッフみんなを連れて、よくご飯を食べに行きました。今となっては笑い話ですけど、僕、会社が上場した時に借金があったんですよ(笑)。会社から交際費が出なかったので、スタッフへのおもてなしを続けていたら、いつの間にか借金ができてしまって……。

―会社が上場したあと、たくさん失敗したというお話がありました。具体的にはどのような?

  自分が同世代の人たちよりもできる、実力があると過信してしまったことですね。人間としての失敗です。「生きてるだけで丸儲け」と思って生きてきたはずなのに、多くの人に支えられて今の自分があるんだという感謝の気持ちを忘れてしまって、勘違いをしていたんです。だから、仕事に向き合うこと、人徳ということよりも、目の前の欲につられてしまいました。また日々の努力を怠り、怠惰な時期もあった気がします。

  しばらくそんな生活が続いて、やはりいろいろな歯車がうまく回らなくなってきた31歳の時に、僕が代表取締役として子会社の新会社としてアルファイットを立ち上げることになり、改めてゼロイチでスタートしようという気持ちになりました。

有限な人生の時間は、大切な人のために使っていきたい

―アルファイットはどういった経緯で立ち上がったのでしょうか?

  アルファグループが上場した時は営業代行会社という位置づけでした。法人の営業リストもある、飛び込み営業もテレマーケティングもできる。店頭での会員獲得もできるし、DMやFAXも打てます、というなかで、WEBマーケティングのプラットフォームだけなかったんです。なので、そこをつくろうという流れでITに特化したアルファイットを立ち上げることになりました。でも実は、僕はITに関する知識が全くなかったんです。設立半年後くらいに初めて、「IT」が「インフォメーションテクノロジー」の略語だと知ったくらいですから(笑)。

  会社も常に順調だったわけではなく、ずっと一緒に働いてきたメンバーをリストラしなくてはならない時もありました。本当にしんどかったですね。全ての責任は自分でありスタッフには何の責任もないわけですから。その経験から経営者は継続して経営努力を続けていかなければいけないものなんだという当たり前のことを改めて痛感しました。「生きてるだけで丸儲け」どころじゃなく、「死んではいけない存在」なんだと。

―12年間所属したアルファグループを離れて、ご自身で起業されたのにはどのような経緯があったのでしょうか?

  起業したのは35歳の時でしたが、僕は勝手に自分の人生を70年で設計していて、35歳は折り返し地点だったんです。それと、アルファグループにも12年近く所属していたので、ちょうどひと周り。そのポイントが重なったので自分の将来を見つめなおすいいタイミングかなと思いました。

  20代から30代前半までに経験してきたことというのは、自分のなかで本当に大きいんですよね。35歳まで自分なりに全力で生きてきたことによって、自分の強みや弱みが明確になりました。人生はやはり有限な時間で、みんな1秒の長さは同じ、そして寿命がある。それまでは人の好き嫌いも関係なく多くの人とお付き合いしてきましたし、苦手と思うビジネスにもチャレンジしてきたんです。でも、有限な人生の時間をいかに大切に生きるかということを考えた時、何でもやるというのではなく、自分が持っている能力を最大限に活かして大切な方々のためにお役に立って、幸せになれる生き方を追求したいなと思いました。

  自分の能力はご先祖様が代々命を紡いでくれて、その人たちが命を削ってつくってきたDNAを僕は踏襲しているんだと思っていて。だから、その頂いた能力を今の時代にカスタマイズして、次の時代に繋いでいくというのが、僕の役目でもあるのかなって考えているんです。

大切なことを追求して出会った、心からやりたい仕事

―その想いが今のお仕事にもつながっているわけですね。

  そうなんです。その想いに行きついた時に、仲間が「喜ばせ屋」というサプライズを演出する会社をやっていたので、それを現在私が引き受け、経営をしております。もうひとつ、僕が立ち上げた「エグゼクティブコンシェルジュ」は企業の営業戦略や役員教育、新規事業立ち上げなどを通じて収益貢献を行っています。喜ばせ屋と事業モデル一緒で、違いはBtoCか、BtoBかというところですね(笑)。

  喜ばせ屋で考えると、結婚記念日、誕生日、プロポーズなどサプライズができる場面というのはたくさんあります。そこで僕らが演出のエスコートをすることで、かけがえのない記憶としてお客様に刻まれて、さらにはその想い出がお客様が生きていくうえでの大きな勇気の源になる。本当に大切な絆でつながるんですよね。そんな絆を紡いでいくことを黒子役として応援するのが、僕らの役目。僕は幸せを感じてくれている人を見るのが大好きなんです。

  BtoBの場合は、企業様の様々なフェーズで発生する問題に対して、僕がこれまでの経験で得たことを真剣にフィードバックしていく。そのことによって、売上げが伸びて利益が伸びて、会社が成長する。その結果、社長さんも役員さんも社員さんにも喜んで頂けることを、利益で支える……幸せな人を見るのも好きですが、幸せを提供できた時のそんな自分のことも好きなんですよね(笑)。今の仕事が僕の生き方そのものだと思っています。

―素敵なお仕事ですよね。「この人に協力したい」と思える人たちを支えることが人生の喜びでもあり、仕事をするうえでのポリシーでもあると。

  そうですね。有限な自分の人生、誰のために時間、命を削るか。その「誰」というのは、選ばないといけませんよね。その方のために知恵を絞って、全力投球したいと思っています。何かをしても「ありがとう」と言ってくれない人のためには頑張れないじゃないですか。人を選ぶ、時間の使い方を選ぶ。今はそれを意識しています。だから、今日お会いして明日から取引がスタートするということは100%ないんですよ。信頼関係を築き上げて初めてからお取引をさせて頂いています。

  ただ、そうなったのは、20~30代の経験ありきなんです。昔、僕はだまされ体質でしたけど、今思えば、自分が人を見る目がなかっただけだと……。自分が相手にいいように思われたい接し方をしているので、相手もいいふうに見せるわけですよ。お互い本心が見えていない。だから、だましたりだまされたりする。それがよくわかりました。

―最後に、就職活動中の学生、将来に不安や悩みがある人にメッセージをお願いします。

  20代は選り好みしないで、いろいろな人と会う。いろいろなことをする。経験によって多くのことを知って、とにかく情報をたくさん持つと良いかなと思います。チャンスは、人との出会いで得られるものなので。経験を積んだ者勝ち。チャンスを引き寄せた者勝ちです。あとは、仕事も一生懸命やること。20代のうちは、働く企業を選んでいること自体、もったいないですよ。どの企業にもいろいろなタイプの経営者がいますから、その企業のビジョンや経営戦略があるし、各部署がどんな仕事をしているかということを知ろうと思えばいくらでも知り学ぶチャンスはあります。そう考えると、ひとつの企業の中にはものすごい情報量がありますよね。

  人生はポイントじゃなくて、物語として考えるとおもしろくなると思いますよ。映画のストーリーと一緒。紆余曲折を経て幸せをつかむ物語のほうがおもしろいじゃないですか。自分の人生で物語をつくるような気持ちで、プロデュースしてみてください。そのために、喜怒哀楽もマックスで経験すること。より多くの喜怒哀楽を経験すればするほど、本当の意味で成長できるんだと思います。

[取材・執筆]渡辺千恵 [写真撮影]真田明日美

あわせて読みたい

Career Grooveとは?

「Career Groove(キャリアグルーヴ)」は、様々な業界で活躍している起業家や著名人が語る、バイト・仕事のやりがいや働く楽しさを一人でも多くの人へ伝えるというミッションを持ったウェブマガジンです。

新着記事

Access Ranking

Social Account