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自分にとっての「理想の姿」を追求してみよう!
―仕事選びのカギは、やりたいことと役割のマッチング―

株式会社STANDING OVATION 荻田芳宏

ファッション・コミュニティアプリ「XZ(クローゼット)」を運営している株式会社STANDING OVATIONの代表・荻田芳宏さん。大手広告会社、ベンチャー、そして起業と、つねにチャレンジしながら邁進し続ける荻田さんに、学生時代から今に至るまでのエピソードをたっぷりうかがってきました。

荻田芳宏(おぎた  よしひろ)
株式会社STANDING OVATION 代表取締役CEO

早稲田大学卒業後、1999年に株式会社博報堂に入社。事業プロデュース局にてモーターショーや愛知万博などのイベントプロデュースやプロモーション企画に携わる。その後、キャスティング局ミュージックエンタテインメント部では、アーティストやタレントの広告キャスティング、CM音楽タイアップ等を担当。2007年、「魔法のiらんど」役員陣がスピンアウトした株式会社フューチャースコープの立ち上げに参画。モバイルコンテンツサービスのプロデューサーを務め、カテゴリーTOPの月間有料モバイルサイトに育てる。その後、ブランド戦略部長を経て、取締役COO(新規事業管掌)就任。スマホアプリ事業やソーシャルゲーム事業などを立ち上げる。2014年1月、株式会社STANDING OVATIONを設立、代表取締役CEOに就任。

目指すは“ファッション版クックパッド”のような存在

「XZ(クローゼット)」

―STANDING OVATION(スタンディングオベーション)の事業内容について教えてください。

  女性向けのファッション・コミュニティアプリ 「XZ(クローゼット)」を運営しています。自分が持っている洋服を撮影してアプリに登録していただくと、自宅のクローゼットをつねに持ち歩ける状態になりますよね。その登録アイテムを、ほかの「XZ」利用者がコーディネートに使用することで、自分では思いつかなかった新たな着回し方を発見することができます。そんなふうに、ファッションを通じて、コミュニケーションの場をつくっていくサービスを展開しています。

―この事業を始めようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

  ファッションに対する行動って、「買う前」「買ったあと」「不要になる」という3段階に分けられると思っているんです。今、世の中に存在しているサービスのほとんどは、リアル店舗も含めて、ファッションアイテムを提供する場なので、「買う前」にあたるサービスですよね。

  それに加えて、不要になったアイテムに関しては、捨てるか、人にあげるか、売るかという選択肢がありますが、売ることをサポートするものとして、近年はフリマサービスが流行っていると思います。でも、ファッションを楽しむ人にとって、一番大事なのは、購入したアイテムをどう使うかという「買ったあと」の部分だと思うんですよね。現状、ここをフォローしているサービスはないので、僕らはこの部分を盛り上げていきたいと思ったんです。

  新しい洋服を買ったとしても、着回し方をひとりで考えるには限界があります。ワンパターン化しちゃうと、だんだんその洋服を着る機会が減って、結果的にタンスの肥やしになっちゃうじゃないですか。じつは、クローゼット内のおよそ70%、約80アイテムが使われずに眠っていると言われているんですよ。「XZ」は、その眠っている宝の山に対してのコミュニケーションに特化することで、今持っているファッションアイテムをより楽しむことができる機会を提供したいと考えています。

―たしかに、同じようなコーディネートに飽きて、その洋服を着なくなってしまうという経験はとても思い当たります。荻田さんはもともとファッションにご興味があったんですか?

  そうですね、ファッションは好きです。ただ、「XZ」で提案している“着回し”という概念は、男性ではあまり重視されていないように感じていて。女性は、「この前あの人に会ったときはこの服だったから別の洋服を着なきゃ」とか「このコーディネートはこの前とかぶっちゃうからダメだ」とか、物理的には洋服がたくさんあるのに、着るものがないという状況になりがちですよね。そういった悩みから解放されるようなサービス…わかりやすく言うと、ファッション版の「クックパッド」を目指したいんです。衣食住の「食」にあたる料理のレパートリーを広げてくれるのが「クックパッド」なら、「衣」に関する着回しのレパートリーを増やすのは「XZ」でありたいと。そんなポジションになりたいと思っています。

プロデュースすることの楽しさを学んだアルバイト

STANDING OVATION荻田芳宏社長と社ロゴ

―荻田さんが現在に至るまでのルーツを探るために、学生時代のことについて教えてください。学生のときは、どんなことに注力されていましたか?

  大学生のときは、いろんなアルバイトをしていました。コンビニや引越し、レストランの厨房、あとはイベントでピエロになるようなバイトもしましたね(笑)。なかでも、一番身になったのは、テニスのインストラクターのバイトです。中高時代は硬式テニス部だったので、その経験が活かせるかなと思って始めました。

  初めはアシスタントとしてスタートするんですけど、一定のレベルまでいくと、自分でレッスンを受け持つことができるんです。1コマ90分×3ヶ月のレッスンの構成をすべて任せてもらえるんですよ。年齢差、レベル差などを考慮してメニューを組んでいく作業は、社会に出てからビジネスをつくったりプロデュースしたりすることに近い感覚だったと思います。それと、レッスン生は社会人がほとんどだったので、学生のうちから、社会人の方たちと接点を持てたことも社会に出てからのコミュニケーションに役立ちました。

―大学卒業後は博報堂でイベントや事業のプロデュースに関わっていますが、テニスのインストラクターの経験も影響しているんでしょうか?

  そうですね、自分で考えて創っていく作業は楽しいなと思いました。性格的に飽きっぽいところもあるので、単純作業よりも課題に対して都度、策を練っていくような変化のある仕事が向いているのかなと。広告会社はクライアントに対して、解決策を提案していく仕事なので、必ず課題があります。それに、ただ自由に考えるだけでなく、予算とスケジュールという制約があって、その中でベストな提案をしていかなければならない。そういう仕事をやってみたいと思いました。

挑戦できる場を求めて大手広告会社からベンチャーへ

スタンディングオベーション荻田芳宏社長"

―博報堂では、イベントやプロモーションの企画、キャスティングなどをご担当されていたそうですが、印象に残っていることはありますか?

  成果を挙げたことよりも、失敗のほうが思い浮かびますね(笑)。たとえば、イベントでは、ステージで何を訴求するのか、展示では何を見せるのかというテーマがあって、ブースの設計自体を提案することもあるんですね。でも、ブース設計をミスしてしまったことがあったんです。実際に現場に行ったら、予定していたことができない設計になってしまっていて…。これは設計会社との連携ミスが原因でした。キャスティングの仕事でも、タレントさん側の都合で急きょ出演がNGになってしまうというようなこともありましたね。

―自分の力ではどうにもならないようなトラブルもたくさんあるんでしょうね。

  でも、そういうリスクヘッジも含めて仕事ですからね。自分ではコントロールできないものをきちんとコントロールするという責任領域の仕事だったので。それは、今もそうですし、すべての仕事において言えることかもしれないですけど。アンコントローラブルなことが二重三重になっても言い訳はできない環境でやっていたので、先をしっかり読んで行動する力や精神力は鍛えられたと思います。

―その後、フューチャースコープの立ち上げに参画されます。これにはどういった経緯が?

  博報堂では、自分が興味を持っていたイベント、キャスティングや音楽といったエンタメコンテンツを扱う仕事に関わっていました。でも、それはクライアントに対してのサービス提供なので、自分たちが主役にはなれないんですよね。そういったジレンマがあって…。自分たちが主体となってアクションしてみたいという想いが芽生えました。

―博報堂から立ち上げ直後のベンチャー企業に転職するというのは、かなり思いきった選択だったと思いますが、いかがでしたか?

  うーん、そうですね。でも、一度は低くかがまないと高く飛ぶことはできないと思っていたので。それに、ゼロからの立ち上げながら、親会社が持っているコンテンツもあったので、順調に伸びていったんです。ただ、ガラケーの月額課金コンテンツが主軸だったので、スマホにシフトしていく過程でのビジネスモデルの変化という部分が、一番苦労した点かもしれません。

  あとは、ベンチャーではあるものの、親会社があるグループ経営だったので、傍から見ると、ベンチャーに見えづらいというか。採用側はベンチャーマインドを持ったメンバーを必要としているけれども、受ける人たちは安定志向だったり。スタッフが増えれば増えるほど、そういったところで温度差のようなものが出てきてしまったので、ベンチャーらしい強い組織づくりという点で、苦労はありましたね。

再び生まれたジレンマが起業への決意を後押し

株式会社STANDING OVATION荻田社長インタビュー

―フューチャースコープでは、最終的に取締役COOにまでなられましたけど、起業はどのタイミングで決めたんですか?

  博報堂からフューチャースコープに転職するときには、代理店ではなく事業会社でやってみたいという気持ちで移ったんですけど、いざその中でやってみると、大きな組織の論理のもとで動かざるをえない場面がいくつもありました。最終的には取締役COOにまでなったんですけど、できることには限界があったんです。ネットベンチャーの世界に飛び込んだのであれば、自分の裁量の中でスピード感を持って、やりきりたいなという気持ちはずっと持ち続けていました。今はスタートアップに挑戦するには環境も整っていますし、「今やらずしていつやるんだ」という気持ちで起業を決めて、2014年の1月にSTANDING OVATIONを立ち上げました。

―荻田さんが働くうえで大切にしているポリシーはありますか?

  できない理由じゃなくて、実現するための方法を考え抜くということですね。見逃し三振はしない。たとえ、すぐには当たらなくても、打席に立って、くり返し振っていれば、いつかは当たって絶対にうまくいくはずなんで。そこを他責したり環境のせいにしたりして、言い訳しているとうまくいかないと思っています。とにかく、信念を持ってやり抜くということは大切にしていますね。

世界中からスタンディングオベーションされるサービスを

株式会社STANDING

―今後、STANDING OVATIONが目指すべき場所はどこでしょうか?

  STANDING OVATIONは、“テクノロジーで新しい感性を”というテーマを掲げています。現在、提供している「XZ」は、現時点ではソーシャルの集合知でファッションの感性(センス)を広げるというサービスですけど、もっと、人とテクノロジーを融合させていきたいんですよね。今は事業としてファッションに特化していますけど、今後は女性のライフスタイル全般をサポートできる存在になりたいとも考えています。さらに、ファッションは日本だけでなく世界共通のテーマなので、日本発で世界を代表するビッグサービスになれたらいいなと。1億人が使うようなサービスを創って、社名の通り、スタンディングオベーションされるような会社を目指したいです。

―最後に、働くということに疑問を持っている人や、仕事に対して悩んでいる人にメッセージをお願いします。

  仕事を選ぶなら、「好きこそ物の上手なれ」じゃないですけど、そういった役割と出会えるかどうかが重要で、それを本気で考えるべきなんじゃないかと思うんですよね。1日の中で仕事が一番多くの時間を占めるという人がほとんどだと思うので、自分がどういう状態に置かれているのが理想の状態かというのを考えてみる。具体的に言うと、職業のジャンルもそうだし、職種もそうですよね。業界という広い括りで自分の好きなところに関わっていても、実際にやっている仕事が違っていたら、なかなか幸せは感じられないんじゃないかと。

  みんな、何となく広告業界に興味がある、ネット業界に興味があるって言いますけど、その中でどんな仕事をするかによって全然違いますよね。営業かもしれないし、企画かもしれないし、人事や経理かもしれない。職種として、自分はどんな仕事が向いているのかっていうところまで、突き詰めて考えられている人って、意外と少ない気がして。実際にどういうことをしているのかって、現場を見ないとわからないので、難しいかもしれないですけど、自分のやりたいことと役割をマッチングさせて仕事を選ぶというのは、大切なことだと思います。

[取材] 高橋秀明、渡辺千恵 [執筆/撮影(インタビュー写真)] 渡辺千恵

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