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己の信念を、決してぶらさない
―人生を賭けてでも追いかけられるものを―

株式会社フリープラス 須田健太郎
須田 健太郎(すだ けんたろう)
株式会社フリープラス 代表取締役社長

1985年クアラルンプール生まれ。大学在学中に世界企業を残し死ぬことを夢に決めて、大学を中退。2006年、ベンチャー企業に入社。2007年に退職し、大阪市に株式会社フリープラスを設立、代表取締役に就任。中国、インドネシアに拠点を置き、インバウンド事業(訪日旅行事業)を中心に世界へと事業展開している。

※本文内の対象者の役職はすべて取材当時のものとなります。

2017.10.25 update/本社を新住所に変更しました。

ほかではできない、きめ細かなサービスがFREEPLUS最大の強み

FREEPLUS須田代表取締役

―まずはFREEPLUSの事業内容についてご説明をお願いいたします。

  我が社の業種はインバウンド(訪日外国人旅行)業、ランドオペレーターというものになります。ランドオペレーターとは直訳すると「地上手配」、つまり現地……私たちでいうと日本になりますが、日本での旅のオペレーションを専門に担う業種のことです。特に訪日旅行業、訪日観光客に特化したランドオペレーターをしております。

  具体的に説明しますと、日本の旅行企画やツアーパッケージを、海外の旅行会社に提供しています。そしてその旅行が催行されることになれば、我が社はその旅行に必要なリソース……宿泊施設や移動交通機関、飲食店などを予約・手配すると。

  そして当日になりましたら我が社で手配しているツアーガイドがお客様を空港までお迎えに上がりまして、一緒にツアーに同行し、お帰りになられるまでご一緒させていただきます。

―ほかのインバウンド業者との明確な違いはどういったところになりますか?

  タイやミャンマー、ベトナム、UAEなど、計17か国の旅行会社との取引実績があり、かつ国ごとの柔軟な対応ができるということが最大の強みです。

  インバウンド事業というと、対象が「外国人観光客」でひとつのマーケットと思われがちなのですが、全く違うんです。国ごとによって来られるお客様の収入幅、宗教、文化、風習を考えた柔軟な対応というのが必要になってくる。これは非常に手間のかかることで、大手企業はなかなかできない。我が社はその点において各国の特徴をまとめたデータベースをつくっており、そのデータをもとに企画を提供しています。

  また、同業では対象としている国は多くても数か国程度、従業員も10~20名の規模でやっているところがほとんどですので、社員が約90名、11国籍の社員を持つ我々は、おそらくアジアでは最大手だと思います。ですので、他社さんよりも大量にリソースを仕入れることができ、手厚く、質のいいツアーやホテルをご提供できます。

―インバウンド事業を行っていて、どのような点が一番難しいと感じられますか?

  各国に合わせた企画を考えるというのももちろん難しいですけれども、柔軟性のある対応が、やはり特に難しいと思います。

  例えば、日本のツアー観光客は決まった時間に決まった場所に行く、というのが普通ですよね。でも外国人、特に東南アジアでは、お金を払ったら基本的に自由なのが普通。富士山行った翌日に、今日もう一回富士山に行きたいとか言ったりするんです。それはちょっと日本ではありえないですよね(笑)。でも、そこで真摯に対応していくことが重要だと思っています。

ふと頭をよぎった死への恐怖。それがすべての原動力に

セレスにて株式会社フリープラス須田社長

―大学2年生の成人式の日に起業を決意し、大学を中退されたとうかがいましたが、これにはどういった心境の変化があったのでしょうか?

  もともと夢もなく、就活するのも面倒で嫌だと思っていたんです。部活で陸上競技をやりながら、マクドナルドでアルバイトをしていました。大学の授業も適当にして、こんな気楽な人生がずっと続いたらな……と思っていました。

  成人式のその日は、本当に楽しくて。朝から10年ぶりくらいになる友達に会って、夜には同窓会して、お酒を飲んで。その日の夜、「今日は楽しかったな、寝よう」と思いながらウトウトしていた時に、ふと「次はいつこんな日が来るかな」と考え始めたんです。

  成人式は二十歳のためのイベントだから、もう来ない。じゃあ、二十歳である自分も、その次の21も22も23の歳も、人生で1回しかなくて、あとに戻ることはできない。でも、生き続けなければいけない。生き続けたその先に何があるかというと「死亡する」という現実が待っている。……そのことに気づいて、すごい衝撃を受けたんです。

  僕は人間が生きているという現実は、脳みそにあるデータが生きているということだと考えています。でも、死ねば脳みそは腐るわけです。しかも復元できない。じゃあ、何のために生きてるんだろう?と思いまして。

  人間はどうせいつか脳が腐って死ぬ。誰しも、その同じ点に向かって生きていくんだったら、別にいつ死んだって、誰の人生も変わらないだろうと。誰かが死んだとして、その誰かの周囲の人が悲しんだとしても、その人たちもどうせいつか、死んでいく。人ひとりの命なんて、そんなに価値があるものではないんだな……と考えて。

  じゃあ、明日死んでもいいのか?と自分に問うと「こわい、死にたくない」と思ったんです。何か身近な死を経験したわけではないですが、ただ消えていく自分を想像すると、すごくこわくなった。きっと、何か世界レベルのことを成し得ないと、生きている価値はない。じゃあどうすればいいか?と考え抜いた結果、「会社をつくる」という想いに至ったんです。

  日本では、1円でも起業ができる。勇気さえあれば、会社を興せる。自分より優秀な人間を集め続けて、世界企業にできたら、僕が死んだとしても、その会社が世界中に幸せな人間を生み出し続けてくれる。僕は生きた価値があると思えるだろうと。

―「死への恐怖」が起業、ひいては生きる原動力だったのですね。

  そうです。それと、人間の愚かさへの挑戦ですね。やろうと思ってもなかなか行動できない、というのは、人間が愚かだからですよ。

  例えば、親や友達が死んだ時にようやく「ああ、人生って1回しかないんだ」って実感しますよね。人が死ぬなんて普遍的なことなのに、わざわざ実体験を持って気づくなんて、愚かすぎるわけなんですよね。僕は、そういうのが好きじゃない。

  でも、そんな僕自身も愚かだと思っているから、そういう自分自身への挑戦でもあると思っています。

ハンバーガー屋で出会ったお客様の笑顔が、BtoC事業への想いを築く

FREEPLUS設立について須田社長語る

―成人式を迎える前は部活やアルバイトをして過ごしていた、というお話がありましたが、アルバイトのご経験について詳しくお聞かせください。

  マクドナルドのアルバイトの経験はすごく大きいです。従業員みんな「お客様が大好きだ」という共通認識を持っていて、マニュアルにはないサービスも積極的に行いました。例えば雨で濡れてしまったお客様のためにタオルをお出しする、といったような。そういった文化が、マクドナルド内で自然と熟成されていたんですね。今のFREEPLUSも、そうありたいと思っています。

―須田さんとマクドナルドといえば、「コーヒーおじさん」のお話が印象的ですね。

  常連のお客様に、いつもハンバーガーとコーヒーを元気よく頼むおじさんがいて、僕は心の中で「コーヒーおじさん」と呼んでいました。その方が来店したある日、心なしか表情が浮かなくて。そこで、僕はいつもよりも笑顔で、愛情こめてハンバーガーとコーヒーをお出ししました。すると、その方の表情がぱっと明るくなって。

  その時、気づいたんです。マクドナルドはハンバーガー屋さんだけど、そのハンバーガーにこめた愛情が通じれば、お客様はハンバーガーを買った以上の喜びを感じることができる。僕の何気ない行動や一言で、元気になる人もいる。ここは商品以上の素晴らしい価値を、お客様に提供できる場所なのだと。あのおじさんが感じてくれた素敵な気持ちが世界中に広まったら、とっても素敵だなって思いまして。

  心底お客様を愛し、最高のサービスを提供する。その美しい心がお客様の心を感激させると信じ、これからもずっとBtoCの仕事をしていきたいなと思いました。

―今の仕事の根幹になったのですね。ほかには何かアルバイトはされていたんでしょうか?

  マクドナルドのバイトを15の時からずっとしていたのですが、ちょっと別の仕事もしてみようと、ある個人経営の居酒屋のバイトもしてみたんです。そうしたら、全然合わなくて。

  というのも、マクドナルドって、暇な時は必ず掃除するんですよ。ボーッとするなんてありえない。それに引きかえ、その居酒屋では暇だと社員さんは椅子にもたれかかって怠けている。それを見て嫌気がさして、2週間で辞めてしまいました。

自分の人生を賭けた夢のために――FREEPLUS設立の経緯

須田健太郎社長の信念

―2005年に大学を中退された後、ベンチャー企業に入社し、IT人材派遣業に携わったそうですね。

  僕が会社選びで重要視したことは、24歳で起業するまでに1000万円の資本金を稼げる会社。社長も会社のメンバーも若くてイキイキしているようなところにしようと思い、当時IT人材派遣業をしていたベンチャー企業に営業として入社することにしました。3年後に辞めるけど、必ず1番になって利益貢献すると宣言しまして。

―それで本当に営業成績トップに立たれたのですよね。どのような点を重視して仕事をされていたのでしょうか?

  お客様にどんな人材が必要なのかをしっかりとヒアリングし、そしてとにかくスピード感を持って仕事をしました。IT業界はスピードが速いし、先方もすぐに人材が欲しいから、そういうところは重要視していました。今のインバウンド事業と一緒ですね。

  でも途中で会社の給与システムが変わり、給料が減らされることになってしまいました。これだと、3年で1000万なんて貯まらない。同じビジネスモデルだったら自分でもできると思い、そこは辞めて起業することを決意しました。

―そして2007年に、慣れている人材派遣業でFREEPLUSを創業されます。しかしリーマン・ショックで大変な痛手を受け、SEO事業に転換されたとうかがいました。

  SEOは右肩下がりの情勢下でもストックビジネスとして成長できて、さらに参入できそうな産業でしたからね。生きるためです。

  無事、SEO事業が軌道に乗ったところで、「世界企業をつくる」という目標に改めて目を向けました。儲けだけ考えればSEO事業だけでもいいんですけど、もうそれは当時の役員に任せて、もっと僕の人生をすべて捧げてもいいような産業をやりたいと探しはじめたんです。

  条件は3つ。まず、BtoCの産業であること。2つ目が、いきなりグローバル展開ができること。大阪から東京に進出、なんて時間をかけていたらあっという間に年を取ってしまいますから。そして3つ目が、日本の元気の原動力になる仕事をすることです。

  この3つの観点からいろいろ調べていくなかで、日本は2003年から「ビジット・ジャパン・キャンペーン」をスタートしていて、観光立国を目指していると知ったんです。特に経済発展しているアジア諸外国からの観光客を増やして、外貨を獲得しようと。なるほど、と思いましたね。それで、訪日観光業を始めることにしました。

  訪日観光業のすべてを僕らが担いたい。そこで、訪日マーケットの風上から風下まで網羅できるランドオペレーターをやろうと思いました。そうして4年半続けた結果、おかげさまでたくさんの日本の企業様から、一緒にインバウンド事業をやろうと、お声掛けいただくようになりました。

建前はいらない。信念を持つ人だけ来てほしい

―須田さんが仕事をしているうえで、大切にしているポリシーはありますか?

  信念を曲げないことですね。一貫して同じ判断基準で、判断をする。自分の感情によって、判断をぶらしちゃいけないと思っています。

  我が社としては、「世界で最も素敵なメンバーが、世界中の素敵なお客様に、人生に残る思い出をプレゼントする」というのが企業理念で、使命が「日本の観光立国を成し遂げ、日本のファンを世界に広げ、日本の元気の原動力となる」と。これが根幹ですから、ここからはぶらさない、ということですね。

―今後、どんな人に入社してほしいと思っていますか?

  僕は、先ほどの会社の理念と使命を追いかけていれば、自分の信念が達成すると本気で思っている人を採用したいと思っています。FREEPLUSの理念や使命についてどう思っているかではなく、その人自身の信念が一番大事。学生時代に何をしていたかとかは全然興味がないです。

  例えば将来こうであったらいいな、というのは、ただの希望的観測であって、信念じゃないんですよ。何に代えても、自分の人生を賭けてでも手に入れたい、と思えるものが信念です。そういう信念を持っている人は、従業員として現場に投入しても強いですね。逃げないし、絶対に折れないですから。

  我が社としては、ウソをついたり虚勢を張ったり、自分のことをよく見せようとして着飾るくらいなら、正直に生きていてほしいと思います。こちら側としても、カッコつけるつもりもないですし、素のままをお伝えするから、素のままで来てほしいです。

―御社に入ると、どういった成長や、キャリアの積み重ねができるのでしょうか?

  そうですね。例えば海外に関連した仕事がしたいのなら、インターンシップであっても海外と連絡を取り合ってもらいますし、新卒でも入社してすぐに海外出張に行ってもらったりします。一般企業において「いずれは海外」の「いずれ」は、ほぼ達成されない可能性が高いですが、うちなら海外の経験をすぐに積むことができます。

  実際に、入社して1年でベトナムの大手旅行会社と連携し、ツアー企画を完成させ、自分の出身地である佐賀にベトナム観光客を連れてくる、ということに成功した人がいます。海外の人を自分の地元に呼んで、地元を活性化させたい……それが彼の夢だったんです。それを、入社してたった1年で実現させた。

  自分がやりたかったことをあっという間に叶えられるというのは、ほかではなかなかできないことじゃないでしょうか。自分の信念のために人生を尽くせる人は、きっと我が社で活躍できると思いますよ。

株式会社フリープラス
大阪本社
〒530-0011 大阪市北区大深町4-20 グランフロント大阪 タワーA 29F
JR大坂駅より徒歩3分

[取材]高橋秀明・真田明日美 [執筆・構成・撮影]真田明日美
[撮影場所]株式会社セレス

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