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大学生なら、アルバイトのように、起業しよう!
― 思いをカタチにし、多くの挑戦を続けることで、やりたいことが見えてくる ―

株式会社ウィルフ 黒石健太郎

「若者が未来に希望を持てる社会を創る」をミッションに掲げ、起業を考える学生を応援するプラットフォームを運営されている株式会社ウィルフの代表取締役・黒石健太郎さん。政治の道を志していた学生時代の取り組みや、社会課題解決への想い、起業に至るまでのお話などをうかがいました。

黒石健太郎(くろいし けんたろう)
株式会社ウィルフ  代表取締役役

1984年生まれ。東京大学法学部卒。株式会社リクルートに入社後、採用・育成・社内活性化コンサルティング等の営業、新規事業の戦略企画、立ち上げに従事する。2013年6月株式会社ウィルフ(WILLFU)を設立、代表取締役社長に就任。サイバーエージェント主催アントレプレナーイノベーションキャンプ優勝。

「起業したが、何から始めていいかわからない」という悩みを解消したい

株式会社ウィルフ-黒石健太郎社長

―まずは、ウィルフが行っている事業内容について教えてください。

  2つの事業が柱となっています。ひとつ目は、学生が起業を学ぶビジネススクール「WILLFU STARTUP ACADEMY」の運営、もうひとつは、学生起業家シェアハウス「WILLFU STARTUP VILLAGE」の運営、この2つを行っています。

  ウィルフのミッションは「若者が未来に希望を持てる社会を創る」です。その達成に向けて、起業家の数を増やす必要があると考え、2つの事業に取り組んでいます。起業家を増やすことと、学生が起業を学ぶビジネススクールにどんな関係があるかというと、それは起業家が誕生する背景に理由があります。起業家は、学生起業家から生まれてきているのです。在学中に起業している人は、学生全体のうち0.1%しかいないのですが、最終的に起業している人々の中では、在学中に起業している人の比率は30%を超えています。とにかく、在学中に起業している人が、最終的に起業家になっているのです。リスクの少ない学生時代に起業をすると、結果はどうであれ、起業することのメリット・デメリットの感覚がつかめますよね。これが大きいと思うんです。一方で、ビジネスプランコンテストって、たくさんありますよね。ただ、ビジネスプランコンテストを経て起業している人って、ほとんどいないんですよ。ビジネスプランを頭の中でいくらイメージしても、実際に起業してみないと、起業できるようにはならないのです。学生起業家のうち、6割程度の方は、いったん企業に就職をされるんですが、すでに起業することの感覚を経験として持っているので、また起業していくんですよね。

  学生起業家が誕生するにも、背景があります。学生起業家は、小さな起業体験から生まれてきているんです。起業体験というのは、文化祭やクラブイベントなどのちょっとしたビジネスを、経営者視点で本気で戦略を考え抜いて実行し、結構な利益が上がったという成功体験を積むということです。文化祭に出店したり、イベントを行ったりしている人はたくさんいると思うんですが、経営者視点で、市場・競合調査を行い、戦略を考え抜いて、利益を上げている人はそんなに多くはいないですよね。ほとんどの方が、みんなで楽しく出店して終わりだと思うんです。それに、そういった機会もなかなかないと思います。これらのことを踏まえて、起業体験の場を作っておくことが必要じゃないかと考えました。

  一見、「起業」と聞くと、すごくハードルが高そうですよね?ただ、文化祭に出店するって、ほとんどアルバイトと一緒じゃないですか。大学生だからこそ、アルバイトのような感覚で起業すると将来につながると思っています。起業するときの、経営戦略を考える力、成功確率を上げるサポートを、我々のビジネススクールとシェアハウスで行なっているのです。

―これまでにどのくらいの方が参加されているんでしょうか?

  WILLFU STARTUP ACADEMYは、現在(2014年11月)までに、累計100名以上の大学生にご参加いただいています。WILLFU STARTUP VILLAGEは西荻窪にある一軒家なんですが、今は7名が入居されていますね。シェアハウスはもともと枠が少ないので、選考をさせていただいています。選考の基準は、“行動してやりきる人”であるかどうか。そこに注目していますね。結果として、すでに起業している大学生か、半年以内の起業を決めている大学生が集まっています。

政治の道を志して行動し続けた学生時代

―これまでいろんな学生さんとお会いしていると思いますが、黒石さんご自身は学生時代、どんな活動をされていましたか?

  高校時代から政治を志していて、政治家になるために東京大学の法学部に進学しました。ただ、サークルに入ろうと思ったところ、東大には官僚を輩出するサークルはあったんですが、政治家を目指す人のサークルがなくて。大学2年生のころ、政治家志望の学生を集めて、自分でサークルを立ち上げたんです。規模は、学生が50名程度、それに加えて、サポーター議員という位置づけで10名ほどの国会議員の先生方にご指導をいただいていました。サポーター議員の先生方に勉強会を開いていただいたり、インターンシップで働かせていただいたりということをやっていましたね。

―国会議員の方たちにご協力いただくって、ハードルが高そうなイメージなんですが、どうやってご協力いただいたんですか?

  当時は、どんな方法で先生方にご協力をお願いすればいいのかわからなくて、まずは僕の地元である岡山の国会議員の先生に連絡をしました。その先生と、先生がご紹介してくださった方にはご協力いただけることになったんですが、そこから先、どうやって人脈を広げていけばいいのか悩んでいたんです。そんなとき、そこで出会った秘書の方が「君は学生なんだから、失敗なんて恐れるな。失敗しても怒られて終わりだろ。だったら、もっとあれこれやってみろ」とアドバイスしてくださいました。

  その言葉をきっかけに、数百件ある議員事務所の連絡先リストの全宛先にメールを送ってみたんです。当然、見知らぬ学生からメール1通送っても、誰からも返信はありませんでした。しかし、その後、1事務所あたり3回くらいずつ電話をかけて、ようやくアポイントが取れて…というくり返しでしたね。4年生のときには、新卒で入社したリクルートで、内定者アルバイトとして営業と人事のバイトをしていたんですけど、そこでも、その経験は活きていたと思います。両方の部門でMVPを獲得できたので。電話をかけまくって培った営業力のおかげかなと(笑)。

アルバイトを通じた人との出会いで、視野が広がった

株式会社ウィルフ黒石社長

―リクルートで内定者アルバイトをされていたというお話が出ましたが、そのほかにもアルバイトの経験はありますか?

  渋谷のラーメン店でホールスタッフのバイトをしたことがあります。それと、お好み焼き店でも働いていました。大学3年生のとき、家の前にあったお好み焼き店に毎日のように晩ごはんを食べに通っていたら、マスターが常連のお客さんを紹介してくれて、みなさんと仲良くなったんですね。そしたら「黒石くん、うちで働いてよ」って(笑)。土日だけでしたけど、半年くらい続けましたね。

―アルバイト経験で、印象に残っていることはどんなことですか?

  ラーメン店のバイトでの話なんですが、一緒に働いている人の中に、結構見た目がこわい人もいたんですよ。スタッフみんなで飲みに行くと、そういう方たちがいろんな人生経験を語ってくれるんです。すると、一見こわそうな人でも、じつは仲間意識が強くてめちゃめちゃ面倒見がよくて、本当にいい人がいるんだってわかったりしました。キャンパスで学生生活を送っているだけではわからなかった、自分の知らない世界があるんだなと思って。いかに自分が狭いマーケットの中で保護されて暮らしてきたかっていうことを感じて、いろいろな人の多様な価値観を勉強しなくてはと思いましたね。議員事務所でのインターンをしたこともあって、そのときも同じことを思いましたけど、そこで働かなかったら出会うことのなかった人たちと、仕事を通して本音のコミュニケーションができて、自分に新たな価値観が生まれたというのは、その後の糧になりました。

未来への不安から考えた起業という選択肢

株式会社ウィルフ-ロゴボード

―学生時代のさまざまなアルバイト経験を経て、先ほども少しお話に出てきた通り、リクルートに入社されます。政治の道を目指していた黒石さんが、一般企業に就職されたのはなぜですか?

  当初は官庁に行こうと思っていたので、国家公務員の勉強を始めていたんです。そのときに、官僚の先輩から官庁の面接対策に民間企業も受けておいたほうがいいとアドバイスをいただき、官僚と民間企業の人、それぞれ100名ずつくらいにお会いする機会を作りました。それを通して、官僚と民間企業の人の思考回路がまったく違うことに気づいたんです。官僚の方たちは「私たちの仕事の魅力は、お金の制約にとらわれず、社会に役立つことを純粋に追求していけること」と語り、民間企業の方たちは、「私たちの仕事は、社会に役立つことを、お金が永続的に回る仕組みを作って、提供していくこと」と話していました。

  両者の違いを理解したときに、2つのことを思いました。まずは、これから求められるのは民間的な思考だということ。それと、政治家は官庁の人たちと議論して政策を作っていくので、今後、政治を本気で目指すことになったときに、官庁の人と同じ思考回路を持っていたら介在価値がないと。それで、民間企業に進もうと決めました。

  民間企業であれば、幅広い業界に携われる仕事がいいと思って、銀行に就職しようと思ったんです。でも、同じクラスの友だちが何人かリクルートに行くというので、僕も何名かの社員にお会いしてみると、魅力的な人が多くて。同期には、学生起業家の方もいましたし、六本木でバーを経営しているという人もいました。考えを行動に移してカタチにしている人がたくさんいて、刺激を受けたんです。軸として決めていた、「官より民」「幅広い業界に携われる」「一緒に成長できる仲間と働ける」、これら3つを満たしてくれる企業だと思い、入社を決めました。

―リクルート入社から起業をされるまでの経緯を教えてください。

  リクルート時代は人材領域の部署に所属し、名古屋で営業を担当していました。当時、名古屋は日本で一番雇用が多い地域でした。全国に求人広告を出していたので、各地から名古屋に人が集まってきて、自動車の製造現場などで働いていたんです。僕らはその方たちに優良な求人情報をご提供しているという自負がありましたし、人材を集めることで企業の成長にも貢献できているんだと、仕事に誇りを持っていました。

  そんなとき、リーマン・ショックが起こったんです。工場の営業がストップしてしまったために、契約社員の人たちが一斉に解雇されて住んでいた寮から追い出されました。地元に帰っても仕事がないという理由で、名古屋で再び職探しをするのですが、名古屋にも仕事がない。アパートを借りたいけれど、収入がない。ホテル暮らしをしながらハローワークに通うけれど、仕事が見つからないまま貯金が尽きて、ホームレスになってしまう。今まで僕らが幸せを提供できていたと思っていた人たちが、目の前でそんな状況になってしまったんです。

  当時、若年層の失業率は10%、大学を出ても6人に1人は仕事に就けない。賃金も下がり続けていて、将来を見ても年金も退職金も期待できないという状況の中、誰かこの課題を解決するために動いているかというと、誰も動いていないんですよ。じゃあ、政治はどうだろう? 僕らが定年に近づく30年後の日本の未来についての政策なんて考えてもいない。大企業も同じ。そう思ったときに、当事者である自分たちが意志を持って提案して動いていかないと、何も解決しないんだということに気づいて、何かやらなきゃと思ったことが、僕が、今、掲げているミッション「若者が未来に希望を持てる社会を創る」を誓った原点です。

自分の気持ちに対して、本気で行動できているか?

―そこからすぐに起業されたんですか?

  すぐではないですね。リクルートで働きながら、ミッション実現のために、個人事業を立ち上げました。それをやり始めたころ、たまたまリクルートの社内で新規事業の募集があって。テーマは「若者が働きにくい社会の課題を解決するようなサービス」ということだったので、個人事業でやっていた内容を含め、やりたいことを提案したら、「ホンキの就職」という就職支援プログラムを立ち上げられることになったんです。ありがたいことに、そのプログラムは約2年間で全国70拠点くらいにまで広がって、多くの方に提供できるようになりました。そこに行きつくまでには、NPO法人や大学の方たちにもたくさんご協力いただいたんです。一緒にお仕事をさせていただいて驚いたんですが、NPOで働く方々は、自分たちがやろうと決めたミッションに対して、人生をかけて本気で取り組まれてるんですよね。本質的に社会を変える人々って、こういう“志のある強い個人”なんじゃないかと思ったんです。政治でも大企業でもなく。僕も“志のある強い個人”になりたいと思いました。

  もうひとつ、「ホンキの就職」を通して思ったことがあります。求人って社会全体で見るとたくさんあるんですが、仕事を探している人と人を探している企業の間にミスマッチが起こると、仕事に就けない人が出てくるんですよね。就職支援サービスを通じて解決できるのは、このミスマッチの解消というところまでなのかなと思ったんです。でも、日本の雇用の数は減少していくので、ミスマッチの部分をいくら解消しても、ゆくゆくは働けない人が出てくる。そこはどうやったら解消できるのかと考えたときに、日本から新しい産業を生み出していく仕組みが必要だと感じました。それが最初に話した「若者が未来に希望を持てる社会を創る」というミッションにつながります。そして、そのために起業家の数を増やしたいということですね。我々には、ミッションしかないので、ミッションにはこだわり、かならず実現させたいです。

―最後に、働くことについて、悩んでいる人、迷っている人にメッセージをお願いします。

  自分のやりたいことがよくわからないという悩みを持っている人は、少なくないと思うんですが、悩んでいても何も見えてこないんです。漠然とでも、好きなこと・やってみたいことを3つ挙げるとしたら?と聞くと、何か出てくると思うんですけど、それをとにかく全部、本気でやってみるとよいかなと思っています。3つくらいやってみると、結果として自分がやりたいことが残るはずです。悩んでいるだけの人は誰も応援してくれないのですが、実際に行動していると、いろんな人が応援してくれだします。一貫して言えるのは、想いをもとに行動して、カタチにするという実績を作ることが、社会から信頼を得るためには大事であること、また、自分がやりたいことを見つける上でも大事であることです。自分の未来を、行動を通じてしっかりと作っていきましょう!


[取材] 高橋秀明、渡辺千恵 [執筆/撮影(インタビュー写真)] 渡辺千恵

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